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カテゴリ:ゴム

ゴムがオゾンで劣化するメカニズムと防止策

2021.05.7 オゾン劣化光酸化劣化劣化防止老化防止剤酸化防止剤

ゴムが劣化する原因は直射日光、摩耗などのほかオゾンがあります。大気中にオゾンは存在しているため、ゴムの劣化を防いで寿命を長くするには、オゾンへの対策が必要になります。
ここでは、オゾンがゴム劣化に関わるメカニズムや原因、オゾン劣化を防ぐ方法を解説します。オゾン濃度が高い場所やオゾンが発生しやすい場所での使用が多い場合や、オゾンによる劣化が気になる際には、ぜひ参考にしてください。

ゴムがオゾンで劣化するメカニズム

ゴムがオゾンで劣化するメカニズム

ゴムが劣化する原因のひとつに、大気中のオゾンがあります。ゴムを大気中に放置しておくと、時間が経つごとに劣化し、ゴムの表面に亀裂が入ります。オゾンによりゴムが化学変化を起こすためです。

オゾンとゴムが化学反応を起こすと、分子レベルでの切断が発生し、ゴムの表面に亀裂が入ります。オゾンによる亀裂(オゾンクラック)は、応力(ひずみ)がかかっている部分へ垂直方向に走っている、無数できているのが特徴です。

特に、二重結合(4つの結合電子が関与した2元素間の結合によって構成されていること)を主鎖にしている不飽和構造のゴムの場合、オゾンへの耐性が低くオゾンクラックが起きやすくなっています。

オゾン劣化と光酸化劣化の見分け方

ゴムのオゾン劣化と似た症状に光酸化劣化があります。光酸化劣化とは、日光の紫外線などがゴムに当たることで化学反応を起こし、劣化する現象です。光酸化劣化もオゾン劣化と同じくゴムの表面に亀裂が入りますが、光酸化劣化の場合は亀裂の方向に規則性がありません。

また、ゴムの表面色が明色の場合は光酸化劣化が起きやすい、カーボンブラックなどの暗色は起きにくい特徴がありますが、オゾン劣化はゴムの色に関係なく発生します。

オゾンとは

オゾンは大気中に含まれており、以下のような場所に発生しやすくなっています。

  • 日光の当たる場所
  • 高圧電流の近く
  • 湿度の高い場所
  • オゾン発生装置の近く
  • 水銀灯の下

オゾン濃度が高くなる場所では、ゴムのオゾン劣化が進みます。オゾン劣化の防止策が必要です。次に、具体的なゴムのオゾン劣化防止策について解説します。

ゴムのオゾン劣化防止策

ゴムのオゾン劣化防止策

オゾンが発生しやすい場所や、大気中のオゾン濃度が高くなる場所で使用するゴムは、オゾン劣化の防止策が必要になります。具体的なオゾン劣化の防止策には、以下の4つがあります。

  • 二重結合の少ないゴムの使用
  • 保管場所の考慮
  • ワックス
  • 老化防止剤

それぞれ解説します。

二重結合の少ないゴムの使用

オゾン劣化の防止策のひとつが、二重結合の少ないゴムの使用です。オゾンは二重結合への反応性が高く化学反応が起きやすいため、二重結合のゴムはオゾン劣化に弱い性質を持っています。一方、二重結合の少ない飽和構造のゴムは、オゾン劣化に強い耐性があります。

ただし二重結合のゴムのなかでも親電子反応性によって耐オゾン性が異なってきます。たとえば二重結合のゴムの天然ゴム(NR)とクロロプレンゴム(CR)で比較すると、以下の通りオゾン劣化への耐性が異なります。

天然ゴム 電子供与性基を持つためオゾンの反応性が高い→オゾン劣化に弱い
クロロプレンゴム 電子吸引基を持つためオゾンの反応性が低い→オゾン劣化に強い

耐オゾン性により、耐オゾン性ゴム、耐オゾン性が良好なゴム、耐オゾン性が劣るゴムに分類できます。

耐オゾン性ゴム

耐オゾン性ゴムとは、オゾン亀裂防止剤を使わなくてもオゾン劣化を防止できるゴムです。耐オゾン性ゴムには以下のものがあります。

  • フッ素ゴム(FKM)
  • シリコーンゴム(Q)
  • エチレンプロピレンゴム(EPM)
  • アクリルゴム(ACM)

耐オゾン性が良好なゴム

耐オゾン性が良好なゴムは、使用するオゾン亀裂防止剤の種類や、使用の有無によって耐オゾン性に影響するゴムです。以下のものがあります。

  • クロロプレンゴム(CR)
  • ブチルゴム(IIR)
  • ウレタンゴムの一部

耐オゾン性が劣るゴム

耐オゾン性が劣るゴムは、オゾン劣化しやすいゴムです。オゾン環境下で使用するには、オゾン亀裂防止剤の使用が必須となります。

  • 天然ゴム(NR)
  • ニトリルゴム(NBR)
  • スチレンブタジエンゴム(SBR)
  • ウレタンゴムの一部

保管場所の考慮

オゾンが発生しやすい場所や、オゾン濃度が高い場所でゴムを保管しないようにする対策方法です。以下のような場所を避けて、ゴムを保管するようにしましょう。

  • 日光の当たる場所
  • 高圧電流(モーターやクラッチなど)の近く
  • 湿度の高い場所
  • オゾン発生装置の近く(クリーンルームなど)
  • 水銀灯の近く

また、オゾン劣化を防ぐためにはできるだけゴムに応力がかからないように保管するのも重要です。ゴムの保管時には多くの数量を重ねる・曲げる・吊るすのは避け、応力がかからない状態で保管するようにしましょう。

ワックス

二重結合を持つゴム、またはオゾン濃度が高い・オゾンが発生しやすい場所で使用するゴムには、オゾン劣化防止のためにワックスを使用する方法があります。ワックスとは、加硫後のゴム製品の表面に少しずつ吹きだす薄い皮膜を張り、ゴムの表面を保護する役割を持っています。

ワックスの被膜により大気中のオゾンにゴムが触れないように、物理的に保護します。

炭素数20~80程度までの炭化水素の混合物である石油ワックスも、オゾン防止に使用されます。石油ワックスのオゾン亀裂防止効果は、温度に影響されます。

例:
  • 単素数40のn-パラフィン
    温度50℃前後でのみオゾン亀裂防止効果がある
  • 炭素数30および32のn-パラフィン
    40℃前後でのみオゾン亀裂防止効果がある

つまり、すべての温度領域にオゾン亀裂防止効果を発揮するワックス=幅広い炭素数分布を持っていなければいけません。

ゴムにワックスを添加する際、ワックスの影響によりゴム表面に白化や茶化が発生します。白化や茶化をおさえるためには、ワックスへのイソパラフィンの添加が必要です。

幅広い温度領域へのオゾン亀裂防止効果、およびゴム表面の白化や茶化をおさえられる条件をクリアするには、ワックスに微妙な組成のバランスが求められることになります。

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老化防止剤

老化防止剤とは、ゴムとオゾンが化学反応を起こし亀裂が生じる過程を防止する役割を持ちます。ゴムコンパウンドの製作時に老化防止剤を混ぜることで使用し、ゴムとオゾンの反応そのものをおさえる化学的保護の観点から、オゾン劣化を防止します。

老化防止剤には以下の種類があり、原料となるゴムや架橋剤の種類によって使い分けられます。なお、耐オゾン性ゴムに対して老化防止剤は使用されません。

  • 一次酸化防止剤
  • 二次酸化防止剤
  • オゾン劣化防止剤

一次酸化防止剤

一次酸化防止剤とはオゾンとゴムが触れることで起きる自動酸化の連鎖反応を防いで、亀裂を阻止する老化防止剤です。アミン系酸化防止剤やフェノール系酸化防止剤があります。

二次酸化防止剤

二次酸化防止剤とは、オゾンとゴムが触れることで自動酸化が起きた後、発生した生成物を分解して亀裂を阻止する老化防止剤です。硫黄系酸化防止剤やリン系酸化防止剤があります。

オゾン劣化防止剤

オゾン劣化防止剤とは、オゾンとゴムが触れることを物理的に保護する老化防止剤です。ほかの老化防止剤と異なり、加硫が終わりゴム製品となった後に表面へ徐々にブルームが発生し、オゾン劣化防止効果を発揮します。アミン系酸化防止剤のほか、ワックス類もオゾン劣化防止剤に含まれます。

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オゾン劣化防止策とともにオゾンに強いゴムを選ぼう

大気中に存在するオゾンによる劣化は、経年や湿気などによって徐々に進みます。オゾン劣化を防止するには、耐オゾン性ゴムを使用する、ワックスや老化防止剤を使う、保管場所に考慮する対策が重要です。

あらかじめオゾンが発生しやすい、濃度が高い場所で使用するゴム製品を選びたいときには、どのゴムがよいかを担当者へ相談するようにしましょう。使用する用途や場所に応じた、適切なゴム製品選びにつながります。

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