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カテゴリ:成形・加工方法

ゴムライニング加工とは?

2021.05.26 ゴムの種類ライニング加工

金属を腐食から守るための加工が、ゴムライニング加工です。技術が進歩し、腐食しない素材である樹脂も多くのものが製造されていますが、さまざまなメリットのあるゴムライニング加工は現在も多くのシーンで用いられています。
ゴムライニング加工のメリットや加工に使用される一般的なゴムの種類、製造過程などを解説します。ゴムライニング加工を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

ゴムライニングとは

ゴムライニングとは

ゴムライニングとは、一般的にはゴムと金属を加硫接着もしくは焼き付けした製品や、加工方法のことを指します。おもに腐食に弱い金属を水や腐食物質から保護する目的で用いられています。配管やタンク類など腐食する可能性の高い環境下で用いられる金属に対して、表面または内側に耐蝕性・耐摩耗性などに優れたゴムを接着します。

ゴムライニング加工は、欧米では1920年代、日本では1930年代から天然ゴムを用いて工業用に利用されるようになりました。初めは天然硬質ゴムによるライニング、次いで軟質ゴムのライニングが実用化され、1950年代には合成ゴムによるライニングも行われるようになりました。

接着剤の進歩もあいまって、現在ではゴムライニング加工は経済的な耐食材料のひとつとして幅広い分野で活用されています。

ゴムライニング加工の利点

ゴムライニング加工には、以下の9つの利点があります。

  • 耐食性がすぐれている
  • 耐摩耗性がすぐれている
  • 内容物の汚染を防止できる
  • 接着強度が高い
  • 確実性が高い
  • 欠陥部分が簡単に分かる
  • 正確な寸法が出せる
  • 据付現地での工事や修理ができる
  • コンクリートにも使用できる

耐食性がすぐれている

ゴムは不活性で耐食にすぐれています。また、合成ゴムは天然ゴムでは耐えられなかった強酸化性の薬品や有機溶剤にも高い耐食性を発揮します。ゴムが薬剤を汚染しないのもメリットです。

耐摩耗性がすぐれている

軟質ゴムは弾性に富み、硬質ゴムに比べて摩耗粒子の衝突エネルギーを吸収する高い耐摩耗性があります。全体を硬質ゴム、摩耗を受けやすい部分を軟質ゴムでライニングすれば、耐食性と耐摩耗性を両立させたライニングが可能です。

内容物の汚染を防止できる

ゴムライニング加工をすることで、内容物の汚染による品質や商品価値の低下を防げます。

接着強度が高い

ライニングによるゴムの接着強度は、母材の破壊強度よりも高いです。金属の前処理をしっかりと行うことにより、高温条件下でも高い接着強度を発揮できます。しかしながら、母体の金属とゴム材質の相性によっては接着強度がよくないケースもありますので、組み合わせにも気を付ける必要があります。

確実性が高い

ゴムライニング加工は、まず未加硫のゴムシートを母材にライニングしてから加硫します。複雑な形状の母材にも確実に密着して貼り合わせられること、さらに加硫後はゴムシートと母材が一体化するため、確実な接着が可能です。

欠陥部分が簡単に分かる

ゴムライニング加工品は電気的検査が可能です。ピンホールやクラックなどの欠陥部分が出た場合も、電気的検査であるピンホール検査によって、欠陥部分が簡単に分かります。

正確な寸法が出せる

加硫後にゴムライニング面の研磨加工が可能なため寸法精度を出せます。たとえば、棒状の鉄の表面にゴムを覆ったゴムローラーは、加硫後に表面のゴム部分を研磨して仕上げます。

  

条件により据付現地での工事が可能

一般的にライニング加工における加硫は蒸気釜を使用して熱を加えて行います。熱源が必要となるため、蒸気釜のある設備でないと施工できません。しかし、製品の寸法上の問題や蒸気釜への移設が難しく、据付現地で施工が必要な場合は、常温でも加硫を進めることができ、熱源が必要ない「自然加硫」によって施工することも可能です。

一方で、自然加硫は加硫を促進させる薬剤を使用するため、加硫が進まないよう材料の保管や、雨・湿気等の水分で反応しないよう作業環境にもいっそう気を配る必要があります。

また、施工後時間を置く必要があるため、すぐに使用することができない点、特殊な仕様の製品は対応できない可能性がある点、接着力が強いわけではないので高い耐久性が必要な製品には向かない点など、デメリットもあります。

上記のように様々な条件があるため、据付現地での施工が可能かどうかを知りたい場合は、専門家に相談してください。

コンクリートにも使用できる

ゴムライニング加工は、金属だけでなくコンクリートへも施工できます。

ゴムライニング加工に使用される一般的なゴムの種類

ゴムライニング加工に使用される一般的なゴムは以下の種類です。

  • ニトリルゴム(NBR)
  • スチレン・ブタジエンゴム(SBR)
  • エチレン・プロピレンゴム(EPDM)
  • クロロプレンゴム(CR)
  • ブチルゴム(IIR)
  • シリコーンゴム(Q)
  • ウレタンゴム(PUR)
  • ウレタンスポンジ
  • シリコーンスポンジ

ニトリルゴム(NBR)

耐油性、耐摩耗性、耐老化性にすぐれています。オイルホースへのライニングのほか、自動車部品関連のパッキンやシール材などに用いられています。

スチレン・ブタジエンゴム(SBR)

天然ゴムより耐摩耗性、耐老化性が高く、価格も安いメリットがあります。

エチレン・プロピレンゴム(EPDM)

耐候性、耐老化性、耐オゾン性、極性液体に対する抵抗性および電気的性質が高いのが特徴です。電線へのライニングのほか、屋上防水シート、産業廃棄物処理場の遮水シートなどに用いられています。

クロロプレンゴム(CR)

天然ゴムよりも耐候性、耐オゾン性耐熱老化性が高い、かつ耐油性、耐薬品性、機械的強度もあるバランスの取れたゴムです。ライニング材として使用されることが多く、一般資材や産業資材へも多く活用されています。

ブチルゴム(IIR)

天然ゴムよりも耐熱性、耐寒性、耐候性が高く耐薬品性も良好です。ガス透過性が低いためタイヤのインナーチューブなどに用いられています。

シリコーンゴム(Q)

耐熱性、耐寒性がとても高いゴムです。主鎖に結合する側鎖を変えると、さらに耐熱性、耐寒性、耐薬品性などを向上できます。食料品や医療分野など幅広い用途で用いられています。

ウレタンゴム(PUR)

力学的強度が特に優れているゴムです。大きな力のかかる用途に用いられています。

ウレタンスポンジ

ウレタンゴムを発泡させたスポンジ素材です。

シリコーンスポンジ

シリコーンゴムを発泡させたスポンジ素材です。

ゴムライニング加工方法・工程

ゴムライニング加工方法・工程

ゴムライニング加工の方法および工程は、以下の流れで行われています。

ライニング材の加工

ライニング材として使用するゴムシートをあらかじめ加工し、製作します。

  • 所定材料を配合する
  • 混練機で混合する
  • 練地を検査する
  • ゴムシートへ加工する

所定の材料を配合し、混練機で混ぜ合わせます。混合して出来上がった練生地を取り出し、規定通りにできているか検査をします。検査後、練生地をローラーヘッド押出機などで所定の厚みのゴムシートへ加工します(シーティング)。

ゴムライニング加工の工程

ライニング材を母材へ接着するゴムライニング加工は、以下の流れで行われます。

  • 母材表面の処理をする
  • 母材を清掃する
  • 接着剤を母材表面に塗布する
  • 裁断したゴムシートを接着する
  • 加硫前検査をする
  • 加硫をする
  • 仕上げをして完成

ライニングする母材表面を、グリットブラストまたはサンドブラストで処理します。油脂などが付着している場合は、ブラスト前に溶剤などで拭き上げます。表面処理後、入念に表面を清掃します。

ライニング材に適した接着剤を母材の表面に塗布します。ライニング材をゴムシートから裁断し、接着します。内部に残留エアーがないように、圧着成形を行います。

ライニング材接着後に加硫をします。加硫前に膨れなどがないかを検査し、規定の温度、時間、飽和蒸気による缶内加圧加硫を行います。

加硫によってはみ出したゴムなどを除去し、清掃して仕上げます。母材への塗装指示がある場合は、この時点で塗装します。外観やピンホール検査などを行い、完成です。

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金属の腐食環境から守るのがゴムライニング加工

ゴムライニング加工は、金属の表面にゴムシートでできたライニング材を接着することで、金属を腐食から守る用途で行われます。ゴム材や接着剤の技術向上により、腐食だけでなく薬品、熱、寒さ、圧力など様々な物に耐えられるゴムライニング加工が施されるようになりました。

ゴムライニング加工により、耐久性や耐候性を高めることによる修理コスト削減や、確実性の高い施工にもつながります。

ゴムライニング加工は、ライニングをする母材や用途などによって、適したゴム材が異なってきます。ゴムライニング加工を検討しているときには、ゴムメーカーなどの担当者へ相談をすれば、用途や目的に応じたゴムライニングが可能です。

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