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カテゴリ:成形・加工方法

インジェクションとは?成形に適した素材や用途

2021.05.27 インジェクション成形射出成形

樹脂やゴム製品の成形方法のひとつとして用いられているのが、インジェクション成形です。金型の形状を変えればいろいろな成形が可能なため、幅広いプラスチック製品やゴム製品の加工方法として採用されています。インジェクション成形を導入する前に知っておきたい、インジェクション成形に適した素材やメリット、デメリットを解説しています。

インジェクション成形とは

インジェクション成形とは

インジェクション成形とは、加熱して溶かした材質をシリンダーから射出圧を加えて金型に入れ充填、冷却して固めて成形する方法です。液状になった素材がシリンダーに流し込まれる様子が注射に似ているため、射出成形とも呼ばれています。

インジェクション成形は熱を加えると溶解する性質を持つ、樹脂やゴムの成形方法として用いられています。インジェクション成形と似た加工方法に鋳造がありますが、鋳造は素材の融点を超える温度、かつ低圧で金型へ押し出すのに対して、インジェクション成形は低温(180~450℃)、高圧で金型へ押し出す点が異なります。

インジェクション成形に使用する金型は、凸部を雄型またはコア(Core)、凹部を雌型またはキャビティー(Cavity)と呼ばれます。 成形機へ金型を取り付ける際には、雌型が固定側、雄型が可動側となるのが特徴です。

インジェクション成形の手順

インジェクション成形は以下の手順で進められます。

  • 素材を成形機のホッパー部分に投入する
  • 投入された素材が加熱されたシリンダーを通り、熱によって溶解あるいは軟化する
  • 熱とスクリューの回転によって圧力がかかり液化した素材が、金型のなかに押し出される
  • 金型の圧を保つ(保圧)
  • 冷却または硬化によって液化した材料が固まる
  • 材料が完全に固まったら金型から取り出して完成

インジェクション成形に適した素材や用途

インジェクション成形に適した素材や用途

インジェクション成形は、おもにプラスチック・樹脂やゴムの加工方法として用いられています。

プラスチック/樹脂

プラスチック・樹脂のインジェクション成形品は、以下の用途で使用されています。

  • 小型製品
    スマートフォンのカバー、DVDやブルーレイディスク、プラモデル、ドライバーやハサミの取っ手部分など
  • 中型製品
    電機製品の筐体、風呂の椅子、トイレの便座など
  • 大型部品
    テレビ、洗濯機、自動車のバンパーなど

プラスチック・樹脂は、以下のふたつに分類できます。

  • 熱によって溶解し、冷却すると硬化する「熱可塑性樹脂
  • 熱によって硬化し、二度と溶解しない「熱硬化性樹脂

熱可塑性樹脂か熱硬化性樹脂によって、インジェクション成形の方法や製造される製品の用途が異なります。

熱可塑性樹脂のインジェクション成形

熱可塑性樹脂は、ガラス転移点または融点まで加熱すると溶けて柔らかくなる性質があります。

熱可塑性樹脂は大きく分けて日常生活の大半で目にする汎用プラスチックと、耐熱性などに特化しているエンジニアプラスチック(エンプラ)、エンプラをさらに上回る性能を持つスーパーエンジニアプラスチック(スーパーエンプラ)があり、以下のような樹脂が該当します。

汎用プラスチック
ポリエチレン PE
ポリスチレン PS
ポリプロピレン PP
ポリ塩化ビニル PVC
アクリル PMMA
アクリロニトリル・スチレン AS
アクリロ二トリル・ブタジエン・スチレン ABS
ポリエチレンテレフタラート PET
エンジニアプラスチック
ポリブチレンテレフタレート PBT
ポリカーボネート PC
ポリアミド66 PA66
ポリアセタール POM
スーパーエンジニアプラスチック
液晶ポリマー LPC
ポリフェニレンスルファイド PPS
ポリエーテルエーテルケトン PEEK
芳香族ポリアミド PPA
ポリテトラフルオロエチレン PTFE

熱可塑性樹脂は熱によって溶けるため、インジェクション成形の金型をしっかり冷却した上で成形を行います。金型の構造が単純なため作成費用が安く、インジェクション成形後の残渣(ざんさ、残りかす)は再利用可能です。

大量生産品よりは少ロット製作に向いていますが、成形に至るまでの工数や材料があるため、プラスチックにおいては500個以上(大きさによります)、ゴムにおいては自動車や家電を生産する程度の数量が必要になるため、注意が必要です。

熱硬化性樹脂のインジェクション成形

熱硬化性樹脂は熱を加えると硬化する性質があり、ふたたび熱を加えても軟化はしません。熱硬化性樹脂に当たるのは以下の樹脂です。

  • フェノール樹脂(PF)
  • 尿素樹脂(UF)
  • メラミン樹脂(MF)
  • アルキド樹脂(ALK)
  • 不飽和ポリエステル樹脂(UP)
  • エポキシ樹脂(EP)
  • ポリウレタン(PUR)
  • ジアリルフタレート樹脂(DAP)
  • シリコーン樹脂(SI)

熱硬化性樹脂のインジェクション成形は、あらかじめ樹脂の硬化温度に設定した金型のなかに液化した熱硬化性樹脂を射出し、成形します。冷却する必要がないため、成形時間が短く大量生産にも向いています。

一方で、熱硬化性樹脂の性質上射出速度が適切でないと、摩耗による発熱硬化や成形不良などが起きる可能性があります。成形時流動性や効果性、供給性などに配慮しなければいけません。

また成形後の残渣は再利用できないため、成形を止める場合は樹脂をすべて除去する必要があります。

ゴム

インジェクション成形は、ゴムでも用いられています。プラスチックと同様に、加熱によって溶かしたゴム材料を金型に入れて、成形します。

ゴムとプラスチック・樹脂のインジェクション成形の違いは以下の通りです。

  • 金型の温度
  • 成形時間
  • 投入する材料の形状
  • バリの有無

ゴムは熱を加えることで硬化するため、熱硬化性樹脂よりもさらに高い160~180℃の金型のなかに流し込みます。さらに、熱可塑性樹脂のような冷却は必要ありません。プラスチック・樹脂素材のインジェクション成形よりも時間がかかります。

樹脂・プラスチックは投入する材料が粒状ですが、ゴムの場合はリボンやテープと呼ばれる帯状の原料を使います。樹脂・プラスチック素材のインジェクション成形はバリが出ませんが、ゴムの場合はバリが出ます。

ほかのゴム成形方法とゴムのインジェクション成形を比較すると、以下の特徴があります。

  • 加硫時間が短い
  • 大量生産に向いている
  • 材料供給を自動化すると無人化できる
  • 設備や金型など初期費用が高い

インジェクション成形のメリット

インジェクション成形のメリット

インジェクション成形には、以下4つのメリットがあります。

  • 幅広い形状のものができる
  • 後加工がほぼ必要ない
  • 大量生産に向いている
  • 製品単価を安くできる

インジェクション成形は金型を使用するため、金型を変えれば幅広い形状のものが製作できます。複雑で精巧な形状の製品製作も可能です。硬化し金型から取り出したものは後加工がほぼ不要です。

ほぼ完成したものを連続的に、かつスピーディに製造できるため大量生産に向いています。金型は一度作れば繰り返し使えるため安定した寸法形状を効率的に生産する事が可能です。しかし、金型は使用を重ねるごとに摩耗していきますので、永久的に使えるわけではないことも留意する必要があります。

インジェクション成形のデメリット

インジェクション成形のデメリット

インジェクション成形には、以下のデメリットがあります。

  • 初期費用が高くなる
  • 金型の製作期間がある
  • 極端な肉厚・薄肉製品は製作できない
  • 少量生産には向いていない

インジェクション成形は金型を用いた成形方法のため、金型の製作費用がかかります。また、成形機の購入など初期費用は高めです。金型は製作を依頼してから完成するまで時間がかかります。また、金型のなかに材料を入れて硬化させる、という成形方法から極端に肉厚または薄肉の製品の作成には向いていません。

初期費用は高めですが、一度製作した金型はずっと使用できるので、その後は材料費をおさえながら大量生産ができます。

インジェクション成形は大量生産向けの成形方法

素材に熱を加えて液化し、シリンダーから金型のなかに射出、硬化させて成形するインジェクション成形は、熱を加えると軟化する性質を持つ樹脂・プラスチックの成形に多く用いられている方法です。また、液状にしたゴムの成形方法として用いられることもあります。

インジェクション成形に用いる材料によって、金型の温度や硬化方法が異なります。金型を変えれば幅広い形状が作れる、大量生産ができるなどのメリットがある一方、初期費用がかかるデメリットがあります。

プラスチック・樹脂製品やゴム製品を製作する場合、インジェクション成形が最適な場合もあれば、ほかの成形方法の方が向いている場合もあります。製作する製品に応じて適切な成形方法が知りたい場合には、メーカーの担当者などにぜひ相談してみましょう。

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