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カテゴリ:ゴム

チオコールとは?歴史的にも古いゴムの特徴と用途

2021.06.1 チオコールLP多硫化ゴム(チオコール)用途

合成ゴムのなかでも歴史の古いチオコールは、性質を活かした用途で現在も活用されています。チオコールはほかの合成ゴムにない加工時の注意点などもあるため、使いにくいゴムというイメージかもしません。一方で、チオコールの性質を活かした商品や製品も多くあります。
本稿では試作や量産で知っておきたいチオコールの概要や用途について解説します。チオコールも含めてほかの合成ゴムと比較したいときや、製造したい製品にチオコールは向いているかどうかを知りたいときには、ぜひ参考にしてください。

チオコール(Thiokol)とは

チオコール(Thiokol)とは

チオコール(Thiokol)とは、アメリカの企業「チオコールケミカル社(現社名:ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ Northrop Grumman Innovation Systems)」における、多硫化ゴムの商品名です。

ノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズは、ロケット用の固体燃料やミサイルなどの航空宇宙産業、軍需事業を展開しています。

多硫化ゴムとはポリサルファイド系ポリマーに分類され、有機二塩化化合物と多硫化アルカリを反応させることで作られる合成ゴムです。金属酸化物、過酸化物で加硫できます。

多硫化ゴムは合成ゴムのなかではもっとも古い歴史を持っています。固形の多硫化ゴムから、液状、ラテックス状のものまであり、いずれも主鎖に硫黄を含有しているため、独特の臭気があるのが特徴です。

また、日本においては「東レ・ファインケミカル」が製造、販売している「チオコールLP」があります。

チオコールLP®

チオコールLP®とは東レ・ファインケミカルが製造、販売している液状の多硫化ゴムのことです。化学構造は主鎖にジサルファイド結合を持っています。チオール基の液状ポリマーはわずかに分岐を持つ末端から成り立っています。

優れた耐薬品性、耐油性を持ち、透湿性が小さい点が特徴です。硫黄を骨格に持つ特異なポリマーとして多種多用途のシーリング材に使用されています。さらに、柔軟性、耐久性、耐候性などの性質を樹脂やゴムに付与する変性剤としても使用されています。

チオコールLP®は、末端のチオール基をジサルファイド結合に変化させると硬化し、常温で高分子量ゴムとなります。硬化剤には、二酸化マンガンをはじめとした金属酸化物が用いられています。ただし、エポキシ、イソシアネート、アクリル、アリル基などを持つ樹脂と共重合でも、常温で硬化させることが可能です。

チオコールLP®の硬化物は、以下の性質を持ちます。

  • 各種の油に対する耐油性が優れている
  • 耐溶剤性が優れている
  • 酸、アルカリへの抵抗力があり、耐薬性に優れている
  • 耐候性、耐オゾン性、耐老化性に優れている
  • 電気特性がある
  • 水蒸気、ガスに対する遮断性に優れている
  • 使用温度範囲は一般的には-50℃~150℃だが、約3時間以内なら170℃まで使用可能
  • 金属に対する腐食性がない
  • 弾性が低く加工性が悪い
  • 独特の異臭がある

参照:チオコールLP®|東レ・ファインケミカル株式会社

チオコールの主な用途

チオコールの主な用途

チオコールは、以下の用途で使用されています。

  • 送油用などのホースパッキン
  • 建築用シーリング材
  • 複層ガラス用シーリング材
  • 工業用シーリング材
  • エポキシ樹脂の変性剤
  • 液状ゴム型取り剤

チオコールはすぐれた耐油性や耐候性から、油を使用する現場でのホースや建築用シーラントなどに多く用いられています。また、用途の中でも複層ガラス(ペアガラスとも呼ばれる)のシーラント材として優秀な性能を発揮しています。

複層ガラスは、複数枚のガラスの間に乾燥空気やアルゴンガス等を封入し中間層を作ることで、断熱効果を得られる省エネの窓ガラスです。また、結露も防ぐためサッシや床、壁も損傷を抑えます。

歴史的にも古くから使用されるチオコール

チオコールは有機二塩化化合物と多硫化アルカリを合成させることで作られる、歴史的にもっとも古い合成ゴムです。

チオコールは弾性が低く加工性が悪い、独特の悪臭があるなどのデメリットがある一方、耐油性や耐溶剤性、耐候性に優れています。油を使用するホースなどの用途のほか、需要の高まっている複層ガラスのシーラント材としてガラス対抗接着性、水蒸気の遮断性といった優れた性能を発揮します。

歴史は古いながら、今後も安定的な需要がチオコールには見込まれています。

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