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カテゴリ:ゴム

シリコンゴム成形方法と種類 シリコーンとの違い

2021.07.26 シリコーンゴムシリコン圧縮成形射出成形押出成形

シリコンゴムは工業製品や医療用の他、家庭用製品まで、さまざまな場面で使われているゴム素材です。その人気の秘密はシリコンゴムが持つ優れた耐性で、耐熱性、耐寒性、耐油性、耐溶剤性、耐オゾン性、耐候性、電気的特性とあらゆる特性を兼ね備えています。

当記事ではシリコンゴムの概要を始め、シリコンとシリコーンの違い、シリコンゴムの長所と短所、シリコンゴムの成形方法を解説します。

シリコンとシリコーンの違い

シリコンとシリコーンの違い

「シリコンとシリコーンは呼び方の問題だけで同じものじゃないの?」という疑問ですが、正確には「シリコンは天然物」、「シリコーンは化合物」という明確な違いが存在します。違いをみていきましょう。

シリコンとは

まずシリコンとは、元素の種類のひとつである「ケイ素(Si)」のことです。地球上では酸素(O)に次いで2番目に多い元素で、天然の中では石である「二酸化ケイ素(SiO2)」として存在します。この二酸化ケイ素を還元したものシリコンとなり、このシリコンをさらに加工したものがシリコーンです。

ちなみにシリコンを半導体に利用する場合は「イレブン・ナイン」と呼ばれる超高純度が必要になり、「99.999999999%」という9が11個並んだ割合が求められます。

シリコーンとは

シリコーンとは、シリコン(SI)にメチル基(-CH3)を主とした有機基が結合した有機化合物(ポリマー)のことです。ケイ素と酸素を骨格とした「シロキサン結合」であるシリコンにメチルやフェニル、ビニルなどの有機基を結合させることで製造します。

シリコーンはその形状によってさまざまな名称があり、そのうちゴム状のものをシリコンゴムやシリコーンゴムと呼びます。実はシリコンとシリコーンは天然物と化合物で区別できますが、シリコンゴムとシリコーンゴムについては同じ意味で使われることが多いのです。

原材料としてのシリコーンはさらに固形タイプの「ミラブルシリコーンゴム」と液状タイプの「液状シリコーンゴム(LIMS)」に分かれます。

またシリコーンはゴム状以外にも、シリコーンオイルやシリコーンレジン(シリコーン樹脂)といった形状でも加工されます。

シリコンゴムの特徴

シリコンゴムの特徴

シリコンゴムの基本数値は次のとおりです。

基本数値 概要
比重 0.95~0.98
JIS標準硬さ 70
可能なJIS硬さ範囲 30~90

シリコンゴムは、ほかの合成ゴムと比べると非常に優れた性能を持っています。さまざまな状況下で産業・家庭用問わず広く利用されてきました。

例えば次のような用途があります。

  • 家電製品:
    電子レンジや冷蔵庫部品
  • 自動車関連:
    エンジン周りや電線の皮膜、ヒーター周辺の部品など
  • 医療関連:
    内視鏡送水チューブや人工心肺透過膜など
  • 絶縁部品用:
    各種電線の被覆
  • 調理用器具:
    圧力鍋や炊飯器、哺乳瓶の乳首など
  • レジャー用品:
    水中メガネやマウスピースなど

このようにシリコンゴムは、医療や食品、化学、エレクトロニクスなどの分野で使用されています。

ここからは具体的に、シリコンゴムの長所や短所をみていきましょう。

シリコンゴムの長所

シリコンゴムの最大の長所はあらゆる面での耐性の強さです。人体への影響の少なさや熱・水などへの対応力など、シリコンゴムの長所を以下でご紹介します。

安全性が高い

シリコンゴムは非常に安全性の高い製品です。原材料であるシリコーンは誤飲しても人体に吸収されず、また無害かつアレルギー反応もないとされているためです。

実際にカナダ環境省では「人の健康には影響しない」とされ、欧州委員会の安全科学委員会では「経口での急性毒性は低く、遺伝毒性も陰性である」と発表しています。人体にかかわる医療関係や、安全衛生面で厳しい基準が設けられる食品などの業界でシリコンゴムを使えるのはこのためと考えられます。

また後述する温度変化への強さや絶縁性などから、どんな環境でも変形や劣化なく使いやすいという点も、シリコンゴムが安全である根拠といえるでしょう。

温度変化に強い

シリコンゴムは温度に対して非常に高い耐性を持っています。高温と低温のどちらにも対処可能です。

まず高温に対する耐熱性ですが、150℃までなら特性がほとんど変化しません。信越シリコーンで有名な信越化学工業株式会社によると、200℃でも連続10,000時間以上、短時間であれば350℃の使用も可能とする製品もあるとされています。

耐寒性についても強みを持つゴムです。-60℃~-70℃、中には-100℃というほかの有機系のゴムでは脆化する温度でも耐えうる製品が存在します。

さらにシリコンゴムは周囲の温度変化だけでなく、その熱伝導性の特徴もメリットのひとつです。約0.2W/m・Kというほかの有機系ゴムより優れた値を持ちます。

気候の変化に強い

雨風やコロナ放電によるオゾンなどに対する耐候性の強さもシリコンゴムの長所です。自然劣化に対しても非常に強く、物性も変化しません。外気に触れる場所にある配管や機械にも使用できるメリットがあります。

薬品・油に強い

シリコンゴムは耐薬品性や耐油性にも優れています。アルコールやアニリン、アセトンなどの極性有機化合物への耐性が強く、容積変化を約10~15%に抑えることが可能です。希酸や希アルカリにも対しても耐性があります。

また100℃以上の環境下においては、クロロプレンゴムよりも高い耐油性を持ちます。

ただし強酸や強アルカリに触れると分解したり、非極性溶剤や燃料油などに触れると約150~200%膨潤したりと、薬品や油の種類によっては注意が必要です。溶剤や薬品のみ取り出せれば元に戻ります。

水分に対して耐性がある

シリコンゴムは温水・冷水・熱湯などの温度に関係なく水に浸したときの吸水量が1%程度です。水分による強度や電気特性の変化はほとんどありません。

また水分への強さのほかにも「スチーム(蒸気)」への強さも併せ持ち、常圧下ではほとんど劣化しないという特徴があります。

ただし150℃以上の高圧スチームに振れるとゴム物性が低下するため、シリコーンゴムの処方や加硫剤の選択などによって、耐水性や耐スチーム性能を向上させた製品も登場しています。

絶縁性が優れている

シリコンゴムの絶縁性は1~100TΩ・mと高く、電気が関係する製品や部品の使用にも向いています。アーク放電やコロナ放電への強さや、耐トラッキング性能、絶縁破壊の強さなどを持っているため、さまざまな現場の電線に用いられています。

シリコンゴムの短所

高い耐性を持つシリコンゴムですが、もちろん万能のゴム素材という訳ではありません。シリコンゴムの短所についてもみておきましょう。

接着性が弱い

シリコンゴムの接着性は非常に弱いです。そのため、上から塗料を塗ったりほかと接合したりするのが困難になります。専用の印刷塗料や塗装塗料、両面テープ、接着剤が必要です。

ただしシリコンゴム製造時の場合は逆で、製造時点で着色しやすい透明性を持ちます。成形前に顔料を添加することで、赤や黄、青などの色鮮やかなシリコンゴムが製造可能です。しかしむしろ色が大きく変化しすぎてコントロールが難しいというデメリットもあります。

引裂き強度が弱い

他のゴム材質に比べ、シリコンゴムの引裂き強度や引張強さは劣ってしまいます。ただし、中引裂きシリコンや、高引裂きシリコンといった、引裂き強度を上げた改良品もあります。

防振性能が低い

シリコンゴムは損失係数が小さく防振性が低いです。そのため、振動が多い場所での使用は不向きとされます。

しかし防振性の悪さを改善した製品も徐々に登場してきました。信越化学工業の製品だと、-50℃~100℃の広い温度範囲で安定した防振性を獲得しています。

力学的に弱い

シリコンゴムは引裂や引張、屈曲披露などの力学的な力に弱く、変形や破損の恐れがあります。強い圧力やそのほかの動的ストレスがかかる環境で使用するのは避けたほうが無難です。

ただし動的なストレスに関する短所も、添加剤やゴム組織の改良次第で克服可能です。

シリコンゴム成形方法・種類

シリコンゴム成形方法・種類

シリコンゴムの成形方法・種類は主に次の3つです。

  • 射出成形
  • 圧縮成形
  • 押出成形

概要や特徴をご紹介します。

射出成形

射出成形(インジェクション成形)とは、あらかじめ目的の形にした金型へ圧力をかけ閉じ、そこへ液状ゴムをノズルを通して注入、その後保持して成形する方法です。金型や設備に関する初期費用が高額になる代わりに、短時間で大量の製造ができます。

圧縮成形

圧縮成形(プレス成形)とは、金型に流し込んだ液状ゴムを熱と圧力をかけて保持し成形する方法です。ゴムの成形方法としてはもっとも一般的なものとなります。金型や設備の値段が安いことと引き換えに、バリ対策を講じなければならないデメリットがあります。

押出成形

押出成形は、加熱シリンダー等の中でゴム素材を融解・流動化させつつ、スクリューやピストンで連続的に前進させながら押し出して成形する方法です。成形品の表面に滑らかさが得られたり、多数の製品を連続的に生産できたりなどのメリットがあります。

また切削やそのほかの加工を必要としないため、脆い素材でも整形しやすい特徴があります。

その他の製造① 真空注型

真空注型とは、金型に液状の材料を流し込んで成形する方法です。この製法ができる材料は二液硬化性樹脂に限られ、「ウレタン」、「エポキシ」、「シリコン」がこれに相当します。造りたい形状を液状シリコンで浸漬させ、固まった後に取り出すと、注ぎ込める型が出来上がります。

その型で製作したものをさらに精錬したければ、求める形状に加工し、新たに注型用の型を造ることで、実物化していきます。

その他の製造② 3Dプリンター

3Dプリンターも進化し、シリコンでも形状化できるようになりました。3Dで描いた図面さえあれば、実物化することができます。通常のゴムではまだ実物化できませんが、シリコンは実物化できるようになりました。

シリコンゴムを利用して現場機械や製造製品の幅をもたせよう

シリコンゴムはあらゆる要素に対し高い耐性を持つため、さまざまな産業機械や家庭用の製品に使用されてきました。当記事のまとめは次のとおりです。

  • シリコンは元素、シリコーンはシリコンを使った化合物のことである
  • 食品や医療を含め、さまざまなところで安全に利用されている
  • 耐熱性や耐寒性を始め、耐候性、耐薬品性などのあらゆる耐性を持つ
  • 接着性や物理的な耐性には弱点を持つが、添加剤等で克服可能となってきた
  • 主に射出や圧縮、押出成形で製造される

今後新たな製品開発や現場の製造ライン、そのほかのパッキン類の交換などを考えるときは、ぜひシリコンゴムの有用性を意識してご検討ください。

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