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カテゴリ:ゴム

ゴムの老化防止剤とは

2021.07.29 オゾン劣化防止剤一次酸化防止剤二次酸化防止剤老化防止剤

ゴム老化防止剤は、品質の高いゴム製品を製造するためには必ず投入すべき配合剤のひとつです。さまざまな原因で老化(劣化)するゴム製品を守るためには欠かせません。
当記事ではゴムの老化によるデメリットやゴム老化防止剤の概要、主なゴム老化防止剤の種類を解説します。

ゴム老化防止剤とは

ゴム老化防止剤とは、文字通りゴムの老化を防ぐための配合剤です。

ゴム製品は薬品や気体、流体などの物質だけでなく、動的疲労や熱、光、オゾンなどが要因でも劣化します。この劣化はゴム製品において「老化」と呼びます。影響は次のとおりです。

  • 弾性や伸び、強度などの物性が低下する
  • 製品の硬化、または軟化が起こる
  • ひび割れや引裂きが発生する
  • 滑らかな表面が失われる

上記が起こるとゴムの品質が落ち、密封や機械の摩耗防止などの役割を果たせなくなります。また表面剥がれや欠損による、他製品への異物混入につながるかもしれません。製造ライン全体の品質を保つ意味でも、ゴム老化防止剤の存在は重要といえるでしょう。

なお、同じような効果を持つ薬品として酸化防止剤があります。

ゴム製品が老化(劣化)する主な原因

ゴム製品の老化(劣化)の原因にはさまざまなものがありますが、多くの場合は連鎖反応による自動酸化 です。

老化の原因となる事象が発生すると、ラジカル と呼ばれる不対電子を持つ原子や分子が発生します。そのラジカルによって他の分子の移動や切断、成長、停止等が繰り返され、最終的にゴム製品の劣化反応が進んでしまうのです。

例えば、熱によってゴムの品質が下がると、その他の劣化反応も一気に進行します。劣化の主な原因は次のとおりです。

  • 大気:オゾンなど
  • 光(光酸化劣化):太陽光や波長など
  • 熱(熱酸化劣化):高温や低温、急激な温度変化など
  • 薬品:化学薬品との反応
  • 微生物:カビなど
  • 機械的作用:外部からの圧力や摩擦など
  • 放射線:γ線、X線、β線など

上記の要因が複雑に絡み合うことで高分子材料と酸素が反応し、酸化によってゴム製品の品質はどんどん下がります。最終的にはゴムとして適切な機能を失います。

ゴム老化防止剤を投入するメリット

ゴム老化防止剤を投入して老化を防ぐメリットは次のとおりです。

  • 老化防止によって製造ラインや製品の機能・品質低下を防止できる
  • 交換頻度削減による生産効率の向上とコスト削減ができる
  • 長期間保存によって加工のタイミングが図りやすくなる など

もちろん、ゴム老化防止剤を投入しても老化を完全に防げるわけではありません。製造ラインの機械的作用やゴムを使用した製品の用途などを考慮し、メンテナンスや交換頻度を設定する必要があります。

ゴム老化防止剤の種類

ゴム老化防止剤には主に次の3種類が用いられます。

  • 一次酸化防止剤
  • 二次酸化防止剤
  • オゾン劣化防止剤

それぞれの特徴をみていきましょう。

一次酸化防止剤

一次酸化防止剤の役割は、自動酸化による連鎖反応(ラジカル連鎖)を防止することです。

主にアミン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤の2種類が存在します。

アミン系酸化防止剤は老化防止性能には優れるものの、ゴムへの着色や周囲への移行汚染などの汚染性が強いです。自動車のタイヤによく使われています。

一方、フェノール系酸化防止剤は汚染性が少ないものの、アミン系と比べると老化防止効果が小さいです。白色の配合や明色配合、周囲への汚染が好ましくない部分に使用されます。使用用途が広いのも特徴です。

二次酸化防止剤

二次酸化防止剤の役割は、自動酸化によって発生する生成物(ヒドロペルオキシド)を分解させ、酸化反応を抑制することです。過酸化物分解型老化防止剤とも呼ばれます。主に硫黄系酸化剤とリン系酸化剤の2種類が使われます。

ただし二次酸化防止剤は、単独で使用すると老化防止効果をほとんど得られません。前述した一次酸化防止剤と一緒に用いることで初めて効力を発揮します。そのため、一次と二次は原則として併用します。

オゾン劣化防止剤

オゾン劣化防止剤の役割は、オゾンが要因となるゴムの劣化を防止することです。主にアミン系老化防止剤の化学的作用と、ワックスの物理的作用が関係します。

オゾン劣化を防止する原理として、ゴム表面に配合剤がにじみ出たり結晶化したりする現象であるブルーム (ブルーミング)を利用します。
ブルームは、薬品の飽和状態やそれ以外の要因でも発生しやすく、特にCR(クロロプレンゴム)は出やすい傾向です。
そのため、お客様からは

  • ブルームを汚れや古いから出ていると思った
  • 異物や粉がついている

とクレームが出ることもありますが、オゾン劣化防止剤はブルームによってオゾンとよく反応する化合物を表面に出し、オゾンと反応させて保護層を形成させており、その安定した保護層によって老化を防いでいます。
また、ブルームが出ないのは良いことではなく、原因として薬品不足が考えられる場合もありますので注意してください。

一方、ワックスもアミン系と同様にブルームによるオゾンとの化学反応を利用します。形成された保護層は物理的にオゾンとの接触を遮断できるため、それ以上のオゾン劣化を防ぐことが可能です。通常はアミン系とワックスを併用します。

ゴム成分の主鎖に二重結合を含むジエン系ゴムと含まない非ジエン系に分けることができます。
二重結合を含まない非ジエン系ゴム(EPなど)には対候性があり、オゾンは二重結合に作用するので二重結合を含むニトリルブタジエンゴム(NBR)などはオゾンアタックを受けやすい為、オゾン劣化防止剤を使用します。

ゴム老化防止剤はゴム製品の品質を保つために欠かせないもの!

ゴム老化防止剤は、ゴム製品の老化を防ぐために欠かせない配合剤です。長期間の保管 を可能にしたり、高品質を保って交換頻度を下げたりなど、ゴム製品と取り扱う現場にとってなくてはならないものといえます。

もちろん、ゴム老化防止剤が入っているからといって安心ではありません。あくまでも劣化/老化を減らす添加剤になります。 より長く使うためにも、ゴムの保管 環境や摩耗・薬品対策などの見直しも進めることを大切です。例えば、工場の身近なところでは、水銀灯からオゾンが発生します。そのため、水銀灯の下でゴム製品を保管することでクラックしていたという事例もあります。ゴム老化防止剤だけに頼らず、まずは保管環境のチェックから始めるようにしましょう。

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