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カテゴリ:ゴム

エチレンプロピレンゴム(EPR)とは?特徴や用途

2021.08.4 エチレンプロピレンゴムエチレンプロピレンジエンゴム

耐候性に優れている合成ゴムであるエチレンプロピレンゴム(EPR)は、屋外で使用される用途で多く用いられています。ただし、耐油性が低いなど他の合成ゴムとは異なる性質もあるため、用途に合ったものか見極めるのが重要です。
エチレンプロピレンゴムの概要と特徴、用途について解説しています。また、エチレンプロピレンゴムを硫黄加硫できるようにした、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)についても解説しています。製品製造の用途に応じた合成ゴム選びに、ぜひお役立てください。

エチレンプロピレンゴム(EPR)とは

エチレンプロピレンゴム(EPR)とは、エチレンとプロピレンのランダム共重合によって製造される合成ゴムです。エチレンとプロピレンの配合比率やポリマーの分子量に応じて、いろいろな性質や状態のもの があります。中でもエチレン含有量が30~70%、ジエン類が5~10%のゴム状物質のものが、合成ゴムとして用いられています。

エチレンプロピレンゴムは飽和ゴムのため、硫黄による加硫ができません。一方、硫黄加硫ができるように、不飽和結合を持ったジエンモノマーを三元共重合体として製造されたのがエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)です。
従来の硫黄を使った加硫方法ではなく、硫黄を使わないで加硫する過酸化物加硫(パーオキサイド加硫)という方法もあります。

エチレンプロピレンゴムの特徴

エチレンプロピレンゴムには、以下の特徴があります。

  • 耐オゾン性に優れている
  • 耐候性に優れている
  • 耐熱老化性に優れている
  • 耐薬品性に優れている
  • 耐水性に優れている
  • 電気的性質に優れている
  • ゴムの中でもっとも比重が小さい
  • 発色性がよい
  • 人体に対して無害
  • 他のゴムとブレンドすると共加硫できない
  • 引き裂き強度や耐摩耗性が低い
  • 耐油性が低い

エチレンプロピレンゴムは主鎖に不飽和基がないため、直射日光やオゾンによる構造への影響を受けにくくなっており 、耐オゾン性や耐候性に優れているため、屋外やオゾン濃度の高い環境、寒さの厳しい状況で使用しても、ひび割れ などのゴム劣化を起こさないのがメリットです。

酸化や熱、化学薬品にも強く、薬剤や電気を使用する場所などでも用いられています。

発色性が高く、製造過程で着色もできます。また、人体へも無害のため、子ども用の遊具などの用途でも使用されています。

一方で、他のゴムとブレンドすると加硫ができない、引き裂き強度や耐摩耗性は他のゴムよりも劣る、耐油性は低い、などのデメリットがあります。ガソリンや油、 特に鉱山油には一切の耐性がないため一緒に使用できません。
また、金属や繊維の洗浄剤としても広く使用されているトリクレンや有機酸にも弱いので注意が必要ですが、 屋外をはじめとしたさまざまな環境下で使用できる汎用性の高い合成ゴムです。

エチレンプロピレンゴムの用途

エチレンプロピレンゴムは、以下の用途で使用されています。

  • 自動車用ゴム製品(バンパーなど)以前はNBRやCRが多く使用されていましたが近年はEPゴムが使用される傾向にあります。
  • 工業用ゴム製品
  • 屋外のゴム電線
  • 道路や橋梁の防振材
  • 子ども用遊具
  • 流体移送配管接合部(水道管など)のガスケット、Oリング、パッキン

エチレンプロピレンゴムは、耐オゾン性や耐候性の高さから、屋外で使用されるゴム製品の用途に多く使用されています。また、耐水性が高いため水道管の中のOリングやパッキンなどにも使用されてきました。

一方、近年水道水の中の残留塩素濃度が高い傾向にあり、内部にあるエチレンプロピレンゴムが経年とともに溶け出してしまう場合も多くなっています。

エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が在庫薄に?

エチレンプロピレンゴムにジエンモノマーを加えたことで、硫黄との加硫が可能になった合成ゴムが、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)です。バンパーをはじめとした、自動車用ゴム製品に多く用いられています。

一方、エチレンプロピレンジエンゴムが全世界的に在庫薄になっています。新型コロナウイルス感染症の影響による需要減により、世界中のメーカーがエチレンプロピレンジエンゴムの製造を停止、または減少させました。

ところが、2020年10月ごろから中国や米国の自動車産業が生産を急激に再開したことにより、エチレンプロピレンジエンゴムの需要が一気に高くなってしまったのです。

さらに、米国寒波により2021年2月にはDOW、EXXONMOBIL.LIONELSTOMERの米国のすべてのEPDM工場が2週間停止、さらに同年2月13日、福島沖地震により日本の三井化学千葉工場のEPDM工場が2週間停止と、災害によりエチレンプロピレンジエンゴムの製造が一時的にストップしてしまいました。

三井化学のEPDM工場は再稼働しましたが、バナジウム触媒のエチレンプロピレンジエンゴムの製造ラインの再稼働が3月下旬までずれこんだため、従来のグレードのエチレンプロピレンゴムの在庫が世界中で品薄になっています。日本の自動車製造にも打撃を与えてしまう可能性もあるでしょう。

日本においては、2021年初頭よりエチレンプロピレンジエンゴムをはじめ、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどで納期が遅延するといった問題が生じていますが、こうした場合の供給先はあらゆる要素を考慮したうえで検討・決定されます。

エチレンプロピレンゴムは安定した需要のある合成ゴム

エチレンプロピレンゴムは耐オゾン性や耐候性の高さから、主に屋外で長期的に使用されるゴム製品に多く使用されています。硫黄との加硫を可能にしたエチレンプロピレンジエンゴムは、自動車製品としての需要が高いです。道路などの防振材、ゴム電線など、身近な場所でも多く用いられているため、耐油性の低さに注意すれば、今後も安定した需要が見込める合成ゴムです。

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