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カテゴリ:ゴム

ゴムの原料不足はいつまで続く?

2021.10.8 ウレタンゴムエチレンプロピレンジエンゴムカーボンブラックシリコーンゴムフッ素ゴム価格高騰原料不足天然ゴム

新型コロナウイルス感染症は、医療だけでなく経済や製造、物流などにも大きな影響を与えています。ここで懸念されているのが、製造や物流が止まることによるゴム原料の不足です。新型コロナウイルス感染症を背景とした、現在のゴム原料の不足状況や原因、今後の見通しについて解説します。ゴム製品は特に医療用ゴム手袋の需要が伸びています。ゴム原料不足に不安を感じている人は、ぜひ参考にしてください。

コロナの影響で物流が止まる?

新型コロナウイルスが中国・武漢市で猛威を振るい始めたのは2019年年末から2020年初頭にかけてです。2020年2月以降、新型コロナウイルスが少しずつ物流に影響を出し始めます。旧正月以降中国の都市部に人が戻っていないため、港の積み出しが遅れていることから、物流が止まると考えられたのです。

物流が止まることで影響を受けるのは、ゴム原材料ではなくゴム薬剤です。中国のゴム原材料メーカーは武漢市のある湖北省にはほとんどありません。一方、ゴム製品の製造に使用する促進剤やゴム老化防止剤は、中国製を使用している日本のメーカーは多くあります。そのため、ゴム原料のなかでもゴム薬剤の品不足が懸念されました。

2021年10月現在、中国の港の物流が遅れたことによるゴム原料への深刻な影響は出ていませんが、すでにほかの国での影響は散見されています。

たとえば、現在のウレタン材料の在庫ひっ迫は、2021年初頭のオランダの物流が滞留してしまったことも要因の一つです。新型コロナウィルスの対策の一環としてロックダウンを実施した結果、港における経済活動の停滞によりウレタン材料が劣化してしまったのです。

他にも、アメリカでは新型コロナウィルスによる生産の減少や労働力の減少、また需要の増加によって深刻なコンテナ不足と回転率の低下が続いています。カリフォルニア沖では何十隻ものコンテナ船が停泊し、混雑を極めている状況にあるほどで(通常、コンテナ船の停泊は1隻程度)、これにより日本への輸入が難しい状況になっています。

ゴム業界においてはフッ素ゴムが日本に入らず、結果として日本ではフッ素ゴムの価格が高騰し、プレミア価格となる苦しい状態になってしまっています。

また、新型コロナウイルス感染症による海外出張のキャンセルが相次いでいます。中国以外のゴム原料の産地へ出向くことができないことから、さらなるゴム価格の高騰などの二次被害が懸念されています。

現在も天然ゴムの需給がひっ迫

新型コロナウイルスの影響が拡大した2021年に入ると、さまざまな要因によってゴム原料の価格が上昇しました。

  • 原油価格上昇による合成ゴム価格の上昇
  • 医療用ゴム手袋需要による天然ゴム需要高
  • ゴム薬品不足
  • 天然ゴム産地のタイでの入庫減少

合成ゴムやゴム薬剤の価格上昇について

2021年に入ると、原油価格が上昇を続けました。原油を原料とする合成ゴムの価格上昇は今後もしばらく続くと予測されています。予測では、原料の価格は数倍、十数倍までに上るとされています。ただし、原油価格の上昇ピークは2021年11月~2022年1月と推測され、その後は徐々に原油価格が落ち着いていくことが期待されています。

また、新型コロナウイルス感染症の影響で製造や物流が止まったことで、ゴム薬品も不足。ゴム薬品の価格も上昇しています。2021年6月には、50~100円/kg前後の値上がりが発表されています。カーボンブラックはすでに2021年5月に値上がり、8月にはさらなる値上がりが発表され、プレミアム価格がついています。

2021年年内は合成ゴムの値上がりが続くと予想されています。特に2021年8月より大幅な値上げがはじまり、11月にはピークに。ただし、原油価格の上昇が止まり始める2022年1月ごろからは、合成ゴムの価格も落ち着くとの予想です。

タイの供給不足を受け天然ゴムの需要ひっ迫

合成ゴムだけでなく、2021年10月現在天然ゴムの需要ひっ迫による価格上昇も続いています。天然ゴムは医療用ゴム手袋の原料として使われるため、新型コロナウイルスによる影響で、天然ゴムの需要が高まりました。

天然ゴムの生産シェア世界一の国はタイです。タイ国内での新型コロナウイルスの拡大、労働者不足、さらに新葉枯病の流行や洪水の発生、2020年10月の長雨や台風による影響で、天然ゴムの供給量が減少しています。タイからの天然ゴム供給量の減少から、天然ゴムの需要に原料が追い付かず、天然ゴムの価格上昇の原因となっています。

天然ゴムの価格上昇は、今後は落ち着いていくことが予想されています。新型コロナウイルスワクチンの開発および接種の開始により、経済の回復が見込まれるためです。また、医療用ゴム手袋だけでなく経済回復による自動車産業のゴム需要増も予想されています。タイ国内での天然ゴム原料の供給量が徐々に回復傾向にあるため、2022年以降は天然ゴムの原料価格の安定が期待されています。

エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)市況もかなりタイトに

合成ゴムのなかでも、EPDM市況はかなりタイトとなっています。EPDMは、日本国内のほかアメリカでも品不足です。EPDMだけでなく、フッ素ゴムやシリコーンゴムも品不足が続いています。

EPDMの国内在庫が減少した原因

新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年に入ってから日本国内のメーカーはEPDMをふくめた合成ゴム原料の製造を減らしていました。その一方、中国やアメリカでは2020年10月に自動車の需要が回復し、EPDMの需要が高まります。

日本国内のEPDMが減り続けているなかで、2021年2月にアメリカで大寒波が発生。DOW、EXXONMOBIL、LIONELSTOMERと、アメリカのすべてのEPDM工場が2週間の稼働停止を余儀なくされます。日本でも2021年2月13日の福島沖地震で、三井化学千葉工場のEPDM工場が2週間停止。さらにEPDM製造過程で故障原因が見つかったことで、稼働再開が3月下旬にずれこんでしまいました。

EPDMの国内在庫がタイトとなったことで、日本の自動車産業にも影響が出ています。輸出成約の意識的な減少や、自動車以外の用途ではEPDM以外の合成ゴムも検討することなどが求められています。

EPDMは日本だけでなく、世界中で不足傾向が続いています。上記の理由に加えて、新型コロナウイルスの影響で世界中のEPDM工場が稼働停止、閉鎖に追い込まれました。中国の米国製EPDMの制裁的アンチダンピング税の決定や、韓国EPDMのアンチダンピング税が予想よりも低かったことなども加わり、世界中でのEPDMのサプライの流れが変化しつつあります。

フッ素ゴム、シリコーンゴムもタイトに

EPDMだけでなく、合成ゴムのなかでは先述したフッ素ゴム、シリコーンゴムも世界的に不足しています。シリコーンゴムは約5~10%の値上げ、フッ素ゴムは約15~20%の値上げが実施されました。価格が値上がりしても不足は解消されていないため、2021年内でのEPDM、フッ素ゴム、シリコーンゴムの品不足解消は不可能と予測されています。

ゴム原料不足により、注目されているのがシリコーンゴムのバリ、端材、ゴムの不活性在庫買取サービスです。もともとSDGsの取り組みとして行われていたサービスですが、ゴム原料不足にアプローチできるサービスとして、人気が高まっています。回収したシリコーン端材を海外の工場で分解し、シリコーンゴム、オイルの原料まで戻します。それをシリコーンオイルに再生し、再度市場に出す、という循環型のプロセスが特徴です。

ゴム原料不足による価格上昇が気になるなら

新型コロナウイルス感染症をはじめとした、いろいろな原因によってゴム原料の不足や価格の高騰が続いています。ゴム原料の価格は徐々に落ち着いていくことが予想されていますが、価格が落ち着いてもゴム原料不足は解消されません。2021年以内のゴム原料不足の解消は、難しいと予想されています。ゴム原料不足や価格上昇により、ゴム製品の製造への影響が不安な場合は、ゴムのプロに相談するのが有効です。ゴム製品に使用するゴム原料や加工方法を見直すことで、不足しているゴム原料ではなく、ほかのゴム原料を代替として使用できる可能性もあります。ゴム原料不足によるゴム製品の製造でお悩みなら、まずは相談をしてみましょう。

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