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カテゴリ:ゴム

オイルシールとは

2021.11.8 オイルシールガスケットパッキン

オイルシールとは、潤滑用のオイルが外に漏れないようにしたり、外からの異物混入を防いだりを可能にする、産業機械や自動車部品にとって重要な部品です。
当記事では「オイルシールとは?」という基本的な部分について、役割や仕組み、オイルシールに使用されるゴム材料の種類、オイルシールの主な用途などを解説します。

オイルシールとは?

オイルシールとは、その名前の通り油(オイル)を封印(シール)するために用いるパッキンの一種です。金属とゴムを組み合わせた環状のタイプが一般的に用いられます。

なぜオイルシールが重要であるか。それは機械にとってオイルは非常に重要であり、オイルの漏えいは機械の保全面で大きな悪影響につながるからです。

まず工業用機械や車のエンジン・モーターなどは、動作する金属同士がお互いに噛み合って動いたり隣接したりしている構造になっています。もし金属同士が直接触れ合ったまま動かすと、硬い金属同士の接触によって、破壊、摩耗、摩擦による高温変形の恐れがあります。

そうした不具合を防ぐために、金属同士の摩擦が起きそうな箇所にオイル(潤滑油)を注入します。このオイルによって部品表面にオイルの膜を張る事で直接的な摩擦を減らしたり、発生する熱を逃がしたりすることが可能です。

しかしオイルは液体であることから、金属の間にあるわずかなすき間や機械動作時のブレなどによって外に漏れていきます。そのままではオイルが枯渇し、再び機械の故障が発生するかもしれません。

そこで使用するのがオイルシールです。オイルシールによってオイルが外に漏洩することを防ぎます。

オイルシールの仕組みと役割

オイルシールは主に回転する軸から漏れるオイルを防ぐ役割で用いられます(往復運動のピストン用のタイプもあり)。

回転する軸からの漏れをどうやって防ぐかというと、バネの力を利用して回転体との接触面にうまく圧力を発生させることで、中から液体が漏れないようにします。リップと呼ばれる部分が運動する部分に対して楔状に設計された接触面の摩擦を逃す構造となっているため、機械が激しく動いていても問題なくシールできます。

また外部からのホコリや砂利、その他の異物などの侵入物を防ぎ、オイルや機械内部の部品を保護するのもオイルシールの重要な役割です。

回転軸をシールするオイルシールは、主に以下の構造となっています。

  • シールリップ部
  • リップ先端部
  • ダストリップ
  • バネ
  • 金属環
  • はめあい部

リップ先端部

リップ先端部とは、軸の表面に密着して実際に壁の役割を担う部分のことです。リップ先端部と軸を接触させることで隙間をなくし、オイル漏れや異物混入を防ぎます。

リップ先端部は運動する機械と接触する部分であるため、摩耗や傷を防ぐためにゴムで作られるのが一般的です。

シールリップ部

シールリップ部とは機械の振動や軸の振れ、シールする対象の温度や圧力の変動などの外部からの影響に対し、リップ先端部と軸の表面との接触の安定させる役割を担う部分です。

このシールリップ部が仕事を行うことで、動作する機械の状態に合わせてリップ先端部をほどよく押し付けられるため、接触面を傷つけることなく機械内部のオイルをシールすることが可能です。

シールリップは通常、回転体の振動やブレなどに合わせられるよう、たわみを持たせたりフレキシブルなゴム材質を用いたりするなどを考慮して設計します。

バネ

バネはシールリップ部の内側に取り付けられ、リップ先端部の押し付け力など接触に関わる力を調整する役割を担います。このバネが運動エネルギーを受けて伸び縮みすることで、回転軸の運動に合わせた接触を可能にします。

ダストリップ部

ダストリップ部とは、機械の外側から侵入するホコリや異物などを防ぐために付けられた補助的なリップです。バネは付いていません。

はめあい部

はめあい部(嵌め合い部)とは、いわゆるオイルシールの外周部分のことです。オイルシールを取付部(ハウジングとも呼ぶ)に固定する役割を持っています。

オイルシールに用いられるその他の部品

オイルシールには他にも以下の部品が用いられています。

金属環 オイルシールに剛性を付与し、取付部にうまく固定するための力を確保する部分
ノーズ オイルシールにおけるオイル側の正面部分
バックフェイス オイルシールにおける機械外側の表面
ヘリックス オイルシールの密封性や寿命の向上を高めるためにリップ部に付けられる部品

など

パッキン・ガスケット・Oリングとの違いは?

オイルシールと似たような言葉として、パッキンやガスケット、Oリングなどが挙げられますが、似ているようでそれぞれに違った意味があります。

パッキンとは、ピストンや回転体といった往復・回転運動が発生する箇所の漏れを防止するタイプのシールです。つまりオイルシールはピストン部や回転軸からのオイル漏れを防ぐことを目的にしていることから、パッキンに属します。

一方、ガスケットとは運動が発生しない静止箇所の漏れを防止するタイプのシールです。配管用のフランジやパイプの継ぎ目といった部分に使用します。

Oリングは文字通りOの形をしたゴム状のリングです。断面がOの形になっていればOリングと呼ばれることから、パッキンとしてのOリングとガスケットとしてのOリングの両方が存在しています。

なお、オイルシール、パッキン、ガスケットおよびOリングをまとめて「シール」と呼ぶこともあります。

オイルシールに使用されるゴム材料

動作する機械部分やオイルと直接接するオイルシールにとって、リップ部に使用するゴム材料の種類は重要です。

オイルシールに使用されるゴム材料として大切なことは、「使用環境への耐性があること」「長時間の寿命を持つこと」などが挙げられます。

一般的にオイルシールに用いられるゴム素材は「ニトリルゴム(NBR)」です。ニトリルゴムは優れた耐油性、耐摩耗性、耐老化性を有している上に、コスト面も抑えられます。交換頻度が決して少なくないオイルシールと非常に相性がよいゴム素材です。

ただし広い範囲での温度変化がともなう環境や、強い耐候性が必要となる環境で使用する場合は、ニトリルゴム以外に「フッ素ゴム(FKM)」「水素化ニトリルゴム(HNBR)」などが選ばれます。

リップ部によく用いられるゴム素材を以下でまとめました。

ゴム材料の種類 概要
ニトリルゴム(NBR) 一般用、耐ガソリン用、耐寒用、食品用などの種類あり
フッ素ゴム(FKM) 非常に優れた耐熱性を持つため高温度の箇所に適する
シリコーンゴム(Q) 優れた耐熱性や耐寒性を持つため温度変化が激しい箇所に適する
アクリルゴム(ACM) ニトリルゴムとフッ素ゴムの中間程度の耐熱性を持ち、耐油性にも優れる
クロロスルホン化ポリエチレン(CSM) 耐熱性、耐油性、耐薬品性、耐候性、耐摩耗性に優れる
水素化ニトリルゴム(HNBR) ニトリルゴムよりコストが高いが耐候性や耐熱性、機械的特性が付与されている
ブチルゴム(IIR) 優れたガス透過性
フッ化エチレン樹脂(PTFE) 耐熱性、耐寒性、耐薬品性などを有すが、シール性能自体は若干劣る

オイルシールの用途

結論からいえば、オイルシールは潤滑油が必要となる機械にはほぼ使われているため、私たちの見えないところでも大量に使われています。例えば車のエンジンには回転体・ピストン部など、オイルシールが必要な部分が数十箇所にも及びます。

オイルシールが使われている機器は次のとおりです。

  • 自動車
  • 航空機
  • 船舶
  • 鉄道
  • 建設機械
  • 農業機械
  • 産業用ロボット全般

など

細かい用途を見ていくと、エンジンのピストン部、サスペンション、ショックアブソーバーなどにオイルシールを用います。

産業機械や自動車部品として欠かせないオイルシール

機械のオイルの漏洩やオイルへの異物混入を防ぐために、オイルを用いた機器にオイルシールは必ずといっていいほど使われています。産業機械や自動車部品にオイルシールは欠かせないものです。

オイルシールを選定するときは、オイルシールに使われているゴム材料にも注目し、適切なタイプを選べるようにしましょう。

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