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カテゴリ:成形・加工方法

打ち抜き加工とは?加工法の種類や用途について

2022.02.26 加工方法打ち抜き加工

素材を加工するためには、様々な加工方法があります。その中のひとつに抜き打ち加工という方法がありますが、素材によって性質が違い、加工方法にも注意が必要となります。抜き打ち加工の種類やメリット・デメリット、素材ごとの加工方法、抜き打ち加工の用途例について解説します。ゴムの場合についても記載していますので、ゴム製品製造を検討している人はぜひ参考にしてください。

打ち抜き加工とは

打ち抜き加工とは、抜型と板の間に加工したい素材を挟んで、上から抜きたい型を押して打ち抜く方法です。

打ち抜き加工は料理にたとえるとクッキーのような加工方法です。クッキーを作るときに、ハートや星の型を上から押し当てて、生地をくり抜いていく作業がありますが、これと似ています。加工素材がクッキー生地、型がハートや星の型と言えます。
型を一度作れば、何度でも同じ形状のものを成型できるのが抜き打ち加工の特徴です。

打ち抜き加工の種類

抜き打ち加工の種類は多岐にわたります。それぞれ紹介していきます。

ハーフカット

加工材料をすべてカットせず、台紙となる部分を残す方法です。つまり、台紙は切り落とされることなく、シールのように残すことができます。そのため、次工程での作業性向上・数量管理のしやすさといった点でメリットがあります。

オールカット

台紙まですべてカットする方法です。
シールやテープなど、薄く剥がす必要のある製品は余分な台紙部分がないことによって剥がしにくくなってしまいます。こうしたケースでは台紙に切り込み(背割れ加工・スリット加工)を施し、製品に貼りやすくする加工も必要となります。

トムソン抜き

抜き打ち加工の代表的な加工方法。
アメリカのジョン・S・トムソン氏が設立したトムソン社製造した打抜き機が広まったことからこの名前が付いたと言われています。
板などに刃をつけたものを用いますが、この刃の種類によっても仕上がりが変わってきます。トムソン刃・ピナクル刃・彫刻刀についてそれぞれ説明します。

トムソン刃

木板に溝を掘り、溝に加工した刃を埋め込んだ「抜き打ち型」を使って成形します。まな板にクッキー型を取り付けたようなイメージです。

一枚ものの抜き加工に向いており、型抜きと同時に折りスジ・ミシン目入れまでできるので、最も使われている型抜き加工です。木板が基盤となっているので、刃の形状を自由に変えられるだけでなく、金型成形に比べ低コストで短納期に向いていますが、刃につなぎ目があるため完成品に段差ができてしまうデメリットがあります。

ゴムの加工においては、ゴムシートの上からスジ・ミシン目を入れて打ち抜くと、大量に同じものを作ることができます。
具体的な例としては防振ゴム、パッキング材、屋外用敷きゴム、難燃性シート、タイヤ、脚ゴム、窓枠用シール材、Oリングやローラー、ダンパー、プ―リー、パッキング、クッション材、緩衝材、自動車部品、靴底など本当に幅広いゴム製品に対応できます。
ゴム素材も、天然ゴムからクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴムやシリコン、ウレタンゴムといったさまざまゴム素材に対応できます。

ピナクル刃(腐食刃型)

薄い金属板をエッチング(腐食)させて立ち上げた刃で、上から打ち抜く加工方法です。トムソン刃と異なり、ピクナル刃は板と刃が一体化しているため、繋ぎ目による段差ができません。このため、より精度が要求されるような形状にも対応可能です。

しかしピクナル刃は金属の金型のため、金型を作るのに高いコストと長い製作期間がかかってしまいます。また、刃が少しでも欠けた場合は修復が難しく、新しく交換しなければならないことや、一枚の金属板から作っているため、出せる刃の高さに限界があり、分厚い素材を加工できないことも難点です。

彫刻刃

金属を削りだして作った刃を使います。ピナクル刃と同じように繋ぎ目がありません。そのうえ、刃の高さに制限がないため、分厚い素材も加工できます。一方で、その分金型を作るためのコストもかさんでしまいます。

ブッシュ抜き

書籍や雑誌などの何枚もの数を型抜きする必要があるものに向いています。
大量に重ねた紙などを一度に型抜くことができるので、大量生産が可能な点が特徴です。一気に作業するため、非常に厳密な精度を求められるものには不向きです。一度にたくさんの型抜きを行うため耐久性に優れた型を使う必要があり、コストがかかります。

ポンス抜き

ブッシュ抜きと同様、重ねた加工素材に抜き型を置いて、上から押して一度に型抜きします。ブッシュ抜きよりも大きな素材を抜くことができます。紙はもちろんですが、ゴムシートの加工にも使われることはあります。
大きな素材を抜く際は型にさらなるコストがかかるうえ、手動の工程が多いため、大量生産が難しい面もあります。

ゴム製品も溝などを付けた打ち抜き加工ができますが、大量に必要な場合は余裕を持った製作期間が必要となります。

プロッターカット(フリーカット)

カッター刃をコンピュータ制御してカットする「カッティングプロッター(カッティングマシン)」による加工。
カッター刃を用いるため、「型抜き」と言いがたい部分はありますが、すべて決まった形に切り抜くという点で「抜き」加工に所属します。

抜き型は不要なので低コストで、小ロットやサンプル作成に最適です。
しかし、一枚ずつ形をなぞってカットしますので製作期間が長く必要になり、一つあたりの生産コストも高くなります。また、切断面にバリ・めくれ・剥がれができやすく、精度の求められる形は不向きです。
ゴム製品では、クッション部品などの比較的簡単な形状の生産にも使われています。

レーザーカット

レーザー光を照射してカットする「レーザーカッター(レーザー加工機)」による加工方法。
抜き型やカッター刃などを使わず、レース模様のような複雑な形も可能です。しかし、レーザーで焼き切るため切断面が焦げやすく、紙の加工には向いていません。

角丸(角R)

印刷物の角を丸くする角丸加工(角R加工)です。
角丸機(角丸切機・コーナーカッター)で刃を交換することで角の丸みの大きさを変更できます。角丸の丸みの大きさは円の半径(R)で表します。

打ち抜き加工のメリット・デメリット

では、打ち抜き加工にはどんなメリットとデメリットがあるでしょうか。

抜き打ち加工のメリット

メリットとしては他の製造方法と比較しても、型の製造コストが抑えられていることが挙げられます。低コストで大量生産できるのは生産性の面から見ても優れていると言えるでしょう。

抜き打ち加工のデメリット

デメリットとしては、抜き打ち加工は平たい素材の加工に限られており、形状が違うものを成形するには型を変えなければいけません。
ビク刃を使えば小ロットの生産もできますが、生産性や効率を考えると小ロット生産には向かないという特徴があります。

打ち抜き加工の用途例

打ち抜き加工は様々なものに用いることができる汎用性の広い加工方法です。幾つか実例を紹介します。

パッキンなどのゴム製品

ゴム製品の代表格といえばパッキンなどがあります。打ち抜き加工はピナクル刃などで一気に多くの製品を作ることが多いです。
管を繋いでいるつなぎ目の部分などの部品なども多いため、高精度で均一な製品を生み出しています。
他には、スジ・ミシン目を入れることができるため靴のゴム底などの加工にも使われています。机などの滑り止めも、同じ形状のものを大量に生産するので打ち抜き加工が最適です。

ディスプレイ保護フィルムなどのフィルム製品

フィルム製品は、オールカットを用いて製造します。材料をロール状に巻いて、流れるように加工を加えていきます。例えば、精密機械のフィルムなどを製造するのに向いています。大きさや形状も均一で、大量に生産されていくことが多いでしょう。
近年では、特にスマートフォンや電子機器の保護フィルムの生産量が増えています。

名刺などの紙製品

ブッシュ抜きで打ち抜き加工していきます。裁断と似ているように思えますが、きれいに打ち抜くためには高精度に揃えられるように大量生産する場合と、小ロットの場合が最も適しています。ノートや書籍・付箋紙など、形が揃ったものを打ち抜くには最適です。
小ロットであれば、ポンス抜きを用いることもあります。

板金などの金属製品

板金などの金属製品は、特に精度が求められます。ピナクル刃で寸分の違いも出ないように精度の高い打ち抜き加工で対応します。
精密機械の部品などを製造するのに向いています。大量生産する場合には、複雑すぎない形状が最も打ち抜き加工に向いていると言えそうです。

打ち抜き加工は製品に求める精度や素材で考えよう

以上、打ち抜き加工について紹介しました。刃や打ち抜き加工の方法も素材によって違うことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
加工したい素材と作りたい形状によって変わりますので、製品によって専門家に相談するなど、検討を重ねてみることをおすすめします。

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