ものづくりプレス

2026-10-17

射出成形と押出成形の違い|ゴム・樹脂部品での選び方を解説

ゴムや樹脂の成形方法には複数の種類があり、押出成形と射出成形はどちらもよく使われる方法です。しかし工程や向く形状は異なります。

この記事では、射出成形と押出成形の違いを、工程・メリット・デメリットから整理します。

作成者 中村(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月17日 最終更新日 2026年10月17日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

射出成形と押出成形は、どう違いますか?

射出成形はスクリューで材料を押し出し、金型に注入して成形します。押出成形はスクリューで材料を押し出し、ひも状に成形します。金型に注入するか、口金から押し出すかが大きな違いです。

項目 射出成形 押出成形
工程金型に注入して成形口金から押し出してひも状に成形
向く形状複雑な形状長いひも状の形状
初期投資金型が高額になりやすい口金のみで安価
向く数量大量生産長尺品の連続生産

どちらも当社の事業内容に含まれる成形方法

当社の事業内容には、ゴム金型成形(コンプレッション成形、射出成形、押出成形 他)、プラスチック金型成形(射出成形、押出成形、真空成形 他)が含まれます。ゴム・樹脂のどちらでも、両方の成形方法に対応しています。材質によって向く工法が変わる点にも注意が必要です。

主力は金型によるゴム成形品

当社の主力製品は金型によるゴム成形品で、その次がOリング、樹脂成型品と続きます。射出成形・押出成形は、この主力製品を支える成形方法の一部という位置づけです。

出典:富士ゴム化成「会社案内」ページ(事業内容)(自社情報・2026年10月確認)。

射出成形のメリット・デメリットは何ですか?

自動化・大量生産で安価に作れる点がメリットです。一方、金型が高額になりやすく、少量生産には向かない点がデメリットです。

射出成型は、スクリューでゴム材料を押し出し金型に注入して成形します。

メリットは自動化・大量生産で安価に作れること、デメリットは金型が高額で少量生産が行えないことです。

複雑な形状ほど、射出成形の強みが活きる

金型に注入する方法のため、複雑な形状や、精度が求められる部品にも対応しやすい方法です。一方、金型を作る工程があるため、設計変更が多い段階では不向きな場合があります。設計がどこまで固まっているかによって、進め方の判断が変わります。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

押出成形のメリット・デメリットは何ですか?

長いひも状の形状を安価な初期投資で作れる点がメリットです。一方、少量生産に不向きで、高い精度が出しにくい点がデメリットです。

射出成形と押出成形の工程・メリット・デメリットの違いを対比した図 図1 射出成形と、押出成形の違い 射出成形 押出成形 金型に注入して成形 複雑な形状に対応 自動化・大量生産向き 金型費用が高額になりやすい 口金から押し出して成形 長いひも状の形状に対応 初期投資は口金のみで安価 少量生産・高精度には不向き 向く形状と数量によって、選ぶべき成形方法が変わります。

口金のみで作れる分、初期投資を抑えやすい

押出成形は金型そのものを使わず、口金という比較的シンプルな治具で成形します。この分、射出成形に比べて初期投資を抑えやすい方法です。ただし形状の自由度は射出成形より限られます。

ゴム・樹脂部品では、どちらを選べばよいですか?

作りたい形状が複雑か、長尺のひも状か、想定する数量がどれくらいかの3点から判断します。迷う場合は、用途をうかがったうえでご提案します。

形状・数量の確認から成形方法の提案までを4段階で示す図 図2 成形方法を選ぶときの確認の流れ STEP 1 形状を確認 複雑な形状か 長尺のひも状か STEP 2 数量を確認 想定する 生産数量 STEP 3 工法を比較 射出・押出・ コンプレッション STEP 4 提案 用途に合う 方法をご提案 形状と数量の2点から、向く成形方法を絞り込みます。 生産数量が少ない場合と多い場合とで向く成形方法の幅が変わることを示す図 図3 生産数量の規模で、向く成形方法の幅が変わる 数量が少ない 数量が多い 数量が多いほど、射出成形のような自動化に強い方法が向きやすい。 数量が少ない場合は、コンプレッション成形や切削加工もあわせて検討します。

複雑な形状と長尺形状、両方が必要な場合もある

1つの製品の中に、複雑な部分と長尺のひも状の部分が混在することもあります。そうした場合は、部位ごとに成形方法を分けて検討することもあります。製品全体の構成を伝えていただくと、部位ごとの組み合わせをご提案しやすくなります。

コンプレッション成形という選択肢もある

少量生産や多機種対応を重視する場合は、射出成形・押出成形とは別にコンプレッション成形も選択肢になります。数量と形状の両面から比較します。金型費用を抑えたい場合は、この成形方法もあわせてご検討ください。

設計変更が多い段階では、金型を使わない工法を先に検討する

開発段階で設計変更が多い場合、射出成形の金型を先に作ると負担が大きくなります。まず切削加工や3Dプリントで試作を重ね、設計が固まった段階で射出・押出・コンプレッションのどちらに進むかを検討する進め方もあります。金型を作ってよいタイミングが見えない場合は、まずこの進め方からご相談ください。

相見積もりでも、形状・数量をそろえて伝える

複数社に相談する場合は、形状のイメージと想定数量を同じ内容でそろえて伝えることが比較の前提になります。当社は相見積もりを歓迎しています。

自社の製品は、どちらの成形方法が向いていますか?

当てはまる項目が多いほど、それぞれの成形方法の検討が進めやすい傾向にあります。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

射出成形・押出成形の検討チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜2個まずは形状と数量から整理すると、相談がスムーズです。
3〜4個射出成形・押出成形どちらかが向いている可能性があります。用途をご相談ください。
5〜6個複数の工法を比較検討する段階です。形状・数量をそろえてご相談ください。

過去に似た成形の実績があれば、伝えてほしい

以前に近い形状・材料で射出成形や押出成形を依頼した経験があれば、その内容を伝えていただくと確認がスムーズになります。記録が無くても、わかる範囲で構いません。時期がわかれば、あわせてお知らせください。

多品種少量の計画でも、工法の組み合わせを相談できる

多品種少量のため在庫やコストを抑えたいという計画も、射出成形・押出成形・コンプレッション成形の組み合わせから相談いただけます。品種ごとの数量をお伝えいただければと思います。

段階的に進めたい場合も、相談できる

いきなり量産用の工法を決めるのではなく、まず試作で形状や精度を確認したいというご相談にも対応しています。確認した結果は、そのあとの工法選びの判断材料として十分に活用できます。

工場視察や監査にも、必要に応じて対応している

成形の体制を確認したうえで依頼を決めたい場合、工場視察や監査にも対応しています。金型や成形ラインの様子を直接ご確認いただくことも可能です。お申し付けください。

設置環境も、材質選びに影響する

使用する温度や接触するもの、圧力といった設置環境によって、向いている材料は変わります。射出成形・押出成形いずれの場合も、使用条件をお伝えいただくと材料のご提案がしやすくなります。わかる範囲で結構です。

射出成形と押出成形について、よくいただくご質問は?

向く形状、コストの違い、少量生産の可否、材料の対応範囲についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

射出成形と押出成形は、同じ材料で両方使えますか?
材料によります。対応可否は、材質と形状をうかがったうえでお答えします。

長いひも状の製品には、どちらが向きますか?
押出成形が向きます。口金から押し出す形のため、長いひも状の形状を作りやすい方法です。

少量生産には、どちらが向きますか?
どちらも少量生産には不向きな面があります。少量であれば、金型を使わない切削加工やコンプレッション成形のほうが向く場合があります。

複雑な形状には、どちらが向きますか?
射出成形が向きます。金型に注入するため、複雑な形状にも対応しやすい方法です。

射出成形と押出成形、どちらが安く作れますか?
押出成形は口金のみで初期投資が安価です。射出成形は金型が高額になりやすい一方、大量生産では単価を抑えやすい傾向があります。

見積りを依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面(または現物)、仕様・用途、数量、材料・材質の4点です。すべてが決まっていない状態でも構いません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

射出成形・押出成形を相談する

どちらが向くか決まっていない段階でも構いません。形状と数量からご相談ください。

見積りを依頼する

射出成形と押出成形の違い|ゴム・樹脂部品での選び方を解説

記事検索

NEW

  • 射出成形と押出成形の違い|ゴム・樹脂部品での選び方を解説
    2026/10/17
    射出成形と押出成形の違い|ゴム・樹脂部品での選び方を解説
    ゴムや樹脂の成形方法には...
  • 試作から量産への進め方|移行のときに決めておく4つのこと
    2026/10/16
    試作から量産への進め方|移行のときに決めておく4つのこと
    試作がうまくいったあと、...
  • 切削加工のバリ・面粗さは、どう指定すればよいか|基本を解説
    2026/10/15
    切削加工のバリ・面粗さは、どう指定すればよいか|基本を解説
    切削加工を依頼するとき、...
  • 試作を切削加工で短納期に|金型を作らず急ぐための進め方
    2026/10/14
    試作を切削加工で短納期に|金型を作らず急ぐための進め方
    試作を急いで形にしたいが...

CATEGORY

ARCHIVE