ものづくりプレス

2025-08-15

汎用性の高いプラスチック「ポリプロピレン(PP)」とは

安価で大量生産向いているため、生活用品や工業製品の原料として使用されている熱可塑性樹脂である「汎用プラスチック」。ポリエチレンやポリ塩化ビニルなどが含まれますが、その中でも生産量の上位に位置しているのが「ポリプロピレン(PP)」です。その特性から、今やプラスチック製品には欠かすことのできない材料のひとつとなっています。


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▪️ポリプロピレン(PP)の特徴

ポリプロピレン(PP)は、プラスチックの中でも最も比重が小さい部類に入る樹脂です。軽量でありながら比較的高い強度や耐熱性を持ち、さらに加工がしやすいなどの特徴があります。そのため多様な分野において、さまざまな製品に利用されています。


◇ポリプロピレン(PP)の長所と短所

それでは、ポリプロピレン(PP)にはどのような長所と短所があるのでしょうか。以下に、具体的に挙げていきます。


▼ポリプロピレン(PP)の長所

・軽量

比重はわずか0.9程度。水よりも軽いため、例えば自動車のバンパーやコンソールパネルなどの内装部品に使用されており、車体の軽量化に貢献し、その結果として燃費向上にもつながります。



・強度

引張、衝撃、圧縮などの機械的強度に優れています。ポリプロピレン(PP)の圧縮強度は38~55MPaとされており、一般的なコンクリートの30~60MPaとほぼ同等です。またヒンジ特性(折り曲げに対する耐久性)や耐摩耗性が高いのも特長です。


・耐熱性

種類にもよりますが、耐熱温度は100~140度程度、融点が165度と樹脂の中では最高ランクです。電子レンジや煮沸消毒が必要な衛生用品などでの使用にも対応しています。


・耐薬品性

薬品に対して反応しづらいため、酸、アルカリ、有機溶剤などに使用できるなど、耐薬品性は良好です。ただし、硝酸や鉱物油などには使用できません。


・生体適合性

異物反応や拒絶反応を起こしにくい生体適合樹脂です。非分解性の縫合糸のほか、人工肝臓、人工肺膜などの原料にも採用されています。


・加工性

ポリプロピレン(PP)は、分子量を調節することで流動性を変えることができます。そのため、流動性が高い場合は金型内への充填が容易になり、射出成形に適します。反対に、低いと溶融した樹脂が垂れにくくなるため、押出成形がしやすくなります。


・リサイクル性

マテリアルリサイクル(再生利用)、ケミカルリサイクル(原料化して再利用)、サーマルリサイクル(固形燃料として再利用)のすべてに対してリサイクルが可能です。


・電気的特性

プラスチックにおける電気的特性は、絶縁性、帯電性、誘電性を指しますが、ポリプロピレン(PP)はいずれに対しても優れた性能を発揮します。


・光沢

表面に光沢やツヤがあるため、見た目にも美しい製品づくりができる素材です。また透明性が高く、キズが付きにくいのも特長です。


▼ポリプロピレン(PP)の短所


・耐候性

酸素、塩素やオゾンなどにより酸化されやすく、紫外線劣化や白化が起こります。特別な加工を施さない場合では、概して屋外用途には不向きです。


・低温に弱い

樹脂がゴム状態から硬質のガラス状態になる温度をガラス転移点と言いますが、ポリプロピレン(PP)は0度前後で起こります。そのため低温環境下ではガラスのように脆くなる性質があります。


・銅害

一般に、銅や銅合金と長時間触れた状態にしておくと、酸化劣化が起こります。高温下では、劣化がさらに加速します。


・接着性、表面印刷

水を弾く疎水性のため、接着面に何らか加工を施さない場合は接着性が劣ります。また同様の理由で表面にインクが密着しにくく、そのままでは表面印刷に不向きです。


・成形収縮率

成形収縮率は、温度や圧力の変化で体積が収縮する割合を指します。ポリプロピレン(PP)は1.0~2.5パーセントほどで、生産の際には収縮率を考慮する必要があります。


◇人体影響は?ポリプロピレン(PP)の安全性


ポリプロピレン(PP)は耐熱温度が高く、例えば電子レンジなどで加熱し過ぎた場合でも、容器が軟化して変形したり、穴があくことはあっても、成分が溶けて滲み出ることはありません。また燃焼した際に、ダイオキシンや環境ホルモンなどは発生しません。 食器や食品包装に関しては、食品衛生法で規格基準が設けられています。さらに、万一誤飲した場合でも、体内で化学変化を引き起こすことはなく、消化されずに体外に排出されることが動物実験で確認されています。

このようにポリプロピレン(PP)そのものは、健康や環境に対して安全な素材だと言うことができます。


▪️繊維や3Dプリント材料にも応用可能なポリプロピレン(PP)


日用品や工業用品など、幅広い分野で使用されているポリプロピレン(PP)ですが、もっとも身近な製品としては、食品トレーやラップなどが挙げられます。しかしこれだけではありません。分子量を調節することでさまざまな加工方法に適応し、形状や性質の異なる製品を作り出すことが可能です。例えば繊維や3Dプリンタの造形用材料など、その用途はさらに広がっています。


◇食品包装、食品容器・トレー


厚みや形状などにより異なりますが、一般に耐冷温度は-20度ほど、熱に対しても100~120度程度まで耐えるため、冷凍庫や電子レンジ、食洗器などでの使用にも対応します。また用途に合わせた加工が容易であり、衛生性や安全性が高いのもその理由です。


◇繊維



軽量かつ耐光性、耐薬品性、耐汚性などに優れているほか、リサイクルがしやすいなどの特長を持ち、地球に優しい繊維とも言えます。燃焼しても有害ガスがほとんど発生しないため、マットやカーペット、ロープ、テントなどに使用されることが多いようです。しかしその反面、染色が難しい、風合いが悪いなどの理由から、衣料品に使用されることはほとんどありません。 またポリプロピレン製の不織布は、フィルターとしての要素にも優れており、医療用のサージカルマスクにも採用されています。


◇3Dプリント材料




3Dプリンターのプリント素材としても、ポリプロピレン(PP)は活躍しています。その特性から、衝撃に強く、また柔軟性や光沢を備えた寸法性にも優れた造形物を作り出すことができるのが特長です。


▪️ポリプロピレン(PP)の種類と特徴



ポリプロピレン(PP)は、重合する分子によって3種類に分類できます。


種類

重合形態

特徴

主な用途

ホモポリマー

プロピレン単独で重合

·高剛性

·高光沢

·高耐熱性

·高結晶性

·高融点

·低耐寒性

·食品用トレー

·食品包装フィルム

·梱包用延伸テープ

·不織布(紙おむつ)

ランダムコポリマー

重合時にエチレンを混入

·高透明性

·高光沢

·高耐衝撃性(常温)

·ヒンジ特性良好

·高耐白化性

·低融点

·低剛性

·低結晶性

·低ガラス転移温度

·透明衣装ケース

·透明ボトル

·クリーニング袋

ブロックコポリマー

(インパクトコポリマー)

ホモポリプロピレン重合時にEPR(エチレンプロピレンゴム)を同時に重合

·剛性、耐衝撃性バランス良好

·低温耐衝撃性良好

·低透明性

·自動車部品

·スーツケース

·家庭電化製品

·家庭用雑貨

·冷凍食品用トレー




▪️幅広い用途に使用できる樹脂素材




各種プラスチック製品から繊維、3Dプリンタの材料など、ほかの樹脂と比較して応用範囲が広いポリプロピレン(PP)。加工が容易で、コストも安いため特に大量生産に向いています。さらに、短所を改善した新素材も次々と開発されていることから、今後ますます期待ができる素材のひとつです。


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