ものづくりプレス

2024-11-26

国産ナフサの価格が上昇!?その原因と日本の産業への影響

最近、国産ナフサの価格が上昇しており、これが石油化学製品にどのような影響を及ぼすか注目されています。

ナフサは原油から得られる基本的な原料であり、その価格変動は業界全体に波及効果をもたらすことになります。

この状況は、化粧品や医薬品、農薬などの消費者製品に波及する可能性があります。

本記事では、ナフサとは何か、価格上昇の原因は何かなど詳しく解説していきます。

ナフサ 工場

ナフサとは?

ナフサは、原油を常圧で蒸留して分離することで得られる石油製品の一種です。

見た目は透明な液体で、ガソリンに似ており、常温や常圧下で容易に気体に変化するという揮発性の高い特性を持っています。


ナフサを精製することでガソリンが生成されるため、未精製のガソリンとして「粗製ガソリン」とも呼ばれています。

このナフサをクラッキング(熱分解)することで、ポロプロピレン(PP)の原料となるプロピレンや、ポリエチレン(PE)の原料となるエチレンなどのプラスチック原料が得られます。

ナフサのクラッキングでは、エチレンが約22〜25%、プロピレンが約12〜16%の割合で生成されます。

国産ナフサ価格が上昇、石油化学製品への影響が拡大

石油化学製品の主要原料であるナフサの価格上昇が目立っています。

2021年4〜6月期の国産ナフサ価格は、前の四半期に比べて約20%増加しました。

また、7月にはスポット価格が約3年ぶりの高値を記録。これは原油価格の上昇に加え、石油化学製品の需要が回復しつつあることが背景にあります。

さらに、7〜9月期にはナフサ価格がさらに約10%上昇する見通しで、合成樹脂などの製品価格にも影響を与える要因となりそうです。

日本への影響は?

国産ナフサの価格が上昇すると、日本国内の化学工業や石油化学製品の製造に影響を及ぼす可能性があります。

ナフサは石油化学製品の主要な原料であり、価格の上昇は製品のコスト増加を引き起こすことが考えられます。

これにより、消費者には価格上昇が波及する可能性があります。


具体的には、化粧品、医薬品、農薬などの製品に影響が出ることが予想されます。また、エネルギー価格の上昇により、電力やガスの料金も上がる可能性があります。


このような状況に対して、企業はコスト削減や代替原料の検討を行うことが求められるかもしれません。

ナフサ価格が上昇した理由

2022年上半期にナフサ価格が高騰した要因にはいくつかの背景があります。

プラスチックの原料であるナフサは原油から製造されるため、原油価格の変動がナフサの価格にも大きく影響します。


そもそも、価格は需要と供給のバランスによって決まります。

原油の需要が低ければ価格は下がり、逆に需要が高まれば価格は上昇します。

このような需給バランスに加えて、日本が原油を輸入に依存しているため、為替相場の変動も価格に影響します。

2022年には円安が進行し、原油の仕入れコストも増加しました。


また、原油の需給バランスには世界的な情勢が密接に関わっています。

中東の紛争、米露間の対立、欧州や中国の動向などが影響を及ぼし、需給バランスが不安定になりがちです。


特に2022年上半期では、新型コロナウイルスの影響に加え、ウクライナ危機が大きな要因として価格の上昇に拍車をかけました。


ナフサ価格の変動は、石油化学製品の供給チェーンにも影響を及ぼし、今後の展望を考える上で無視できない要因となるでしょう。

これらの課題に対処するためには、業界全体での連携と革新が求められます。

記事検索

NEW

  • タイヤ
    2024/12/08
    合成ゴムSBRの基礎知識 その製造方法と特徴
    スチレンブタジエンゴム(sbr...
  • 富士ゴム画像①-3
    2024/12/07
    ゴムの架橋とは?加硫との違いもご紹介!
    ゴムの弾力性や耐熱性などの...
  • 富士ゴム画像①-2
    2024/12/07
    研磨加工とは?加工の特徴や費用、製品の具体例をご紹介!
    研磨加工は、製品の表面を滑...
  • 富士ゴム画像①
    2024/12/07
    金型とゴムの接着加工とは?喰い切りと洗浄の基本を解説
    ゴム製品の製造は、接着、成...

CATEGORY

ARCHIVE