ものづくりプレス

2026-10-16

試作から量産への進め方|移行のときに決めておく4つのこと

試作がうまくいったあと、量産にどう進めればよいのか、何を決めればよいのかが見えにくいことがあります。

この記事では、試作から量産へ進めるときに決めておきたい4つのことを、当社の受注フローに沿って整理します。

作成者 橋本(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月16日 最終更新日 2026年10月16日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

試作から量産へは、どのような手順で進みますか?

お問い合わせ・ヒアリング、現物調査・材料分析、設計・図面作成、試作・評価、量産・納品という5段階が基本の流れです。試作評価の結果を踏まえて、量産の条件を決めていきます。

試作から量産までをヒアリングから納品まで5段階で示す図 図1 試作から量産までの5段階 STEP 1 ヒアリング 現物調査・ 材料分析 STEP 2 設計・図面 CADで 図面を作成 STEP 3 試作・評価 寸法・外観・ 機能を確認 STEP 4 量産判断 工法・検査体制 を決める STEP 5 量産・納品 決めた条件で 生産を開始 試作評価の結果が、量産の工法や検査体制を決める材料になります。

この流れは、廃盤部品の再現でも同じ考え方を使っている

当社では、廃盤部品を再現する際にも、ヒアリング→現物調査→設計→試作評価→量産納品という同じ流れを使っています。試作から量産への進め方も、この基本形に沿って考えられます。扱う部品の種類が違っても、確認する順番の考え方は変わりません。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ(対応フロー)(自社情報・2026年10月確認)。

量産移行のとき、何を決める必要がありますか?

工法をそのまま使うか見直すか、検査体制をどう設定するか、数量に応じた金型の考え方、納期と生産計画の4つが、量産移行時に決める主な項目です。

決めること 試作段階 量産移行で見直す点
工法切削加工などで短期に試作数量に応じて金型成形へ切り替えることも
検査体制試作評価で確認抜取り検査か全数検査かを量産用に設定
金型試作用の簡易的な対応も量産数量に応じて見直す場合がある
納期・生産計画試作1回分の納期量産の生産計画に組み込む

工法の切り替えは、試作評価の結果から判断する

試作を切削加工で進めていた場合でも、量産では数量に応じて金型成形に切り替えることがあります。切削加工は精度・強度耐久性に優れますが、量産の数量次第では金型成形のほうが向く場合もあります。切り替えるかどうかは、試作評価で見えた課題と想定数量の両方から判断します。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

検査体制は、量産でどう設定しますか?

当社では品質保証部を設置し、ご要望に合わせて抜取り検査または全数検査を自社内で実施しています。量産移行のタイミングで、どちらの体制にするかをご相談いただけます。

品質保証部を設置し、ご要望に合わせ抜取り検査・全数検査を自社内で実施しています。

量産での検査体制は、用途や数量によってご提案します。

試作評価で見えた課題が、検査項目の材料になる

試作評価の段階で寸法や外観に気になる点があった場合、その内容が量産時の検査項目を検討する材料になります。気になった点は、量産移行の相談時にあわせてお伝えください。小さな気づきでも、検査項目を検討する材料として活用できます。

全数検査が必要な用途は、早めに伝えてほしい

医療機器や高圧がかかる部品など、全数検査が前提となる用途もあります。そうした用途であることを早めに伝えていただくと、量産の計画に組み込みやすくなります。

過去の不具合は、量産の検査項目を決める材料になる

同種の部品で過去に不具合が出た経験があれば、その内容を伝えていただくと、量産の検査項目を検討する材料として活用できます。記録が無くても、わかる範囲で構いません。発生した時期や状況がわかれば、あわせてお伝えください。

量産の数量が決まっていない場合、どう進めますか?

概算の数量からでも相談を始められます。数量によって工法や金型の考え方が変わるため、幅があっても構わないので、想定の範囲を共有してください。

量産数量が決まっている場合と決まっていない場合で検討の進み方の違いを対比した図 図2 数量が決まっている場合と、決まっていない場合 数量が決まっている 数量が決まっていない 工法・金型の判断が早い 見積りの確定も早い 生産計画への組み込みやすい 検査体制も具体的に決めやすい 概算の範囲で検討を開始 幅を踏まえた提案になる 数量確定後に見積りを確定 工法によっては保留する判断も 数量が決まっていない段階でも、概算からご相談いただけます。 量産数量が少ない場合と多い場合とで工法の向き不向きの幅が変わることを示す図 図3 数量の規模で、工法の向き不向きが変わる 数量が多い 数量が少ない 数量が少ないほど、金型費を抑えられる工法が向きやすい。 数量が多い場合も、まずは想定の範囲からご相談いただけます。

設計変更が残っている場合は、量産判断を急がない

開発段階で設計変更が多い場合、量産の判断を急ぐと手戻りが生じやすくなります。設計が固まっていない部分がある場合は、その旨を伝えていただくと進め方をあわせてご提案できます。一部だけ固まっている場合も、固まった部分から検討を始められます。

多品種少量の計画も、量産移行の相談対象になる

多品種少量のため在庫やコストを抑えたいという計画も、量産移行の相談に含めていただけます。品種ごとの数量をお伝えいただくと、工法の組み合わせを検討しやすくなります。品種が多いほど、まとめて検討したほうが効率的な場合があります。

相見積もりでも、試作評価の内容をそろえて伝える

複数社に量産の相見積もりをする場合は、試作評価で確認した寸法・材料・検査項目を同じ内容でそろえて伝えることが比較の前提になります。当社は相見積もりを歓迎しています。条件がそろっているほど、各社の提案を比較しやすくなります。

工場視察や監査は、量産移行前の確認にも使える

量産を任せる前に生産体制を確認したい場合、工場視察や監査にも必要に応じて対応しています。検査体制や生産ラインの様子を直接ご確認いただくことも可能です。

同じ部品を複数のラインで使う計画は、まとめて伝える

同じ部品を複数のラインや機種向けに量産する計画がある場合、まとめて伝えていただくと数量全体をとらえた工法・金型の検討がしやすくなります。使用先を洗い出してお伝えください。

自社の試作は、量産移行の検討段階にありますか?

当てはまる項目が多いほど、量産移行の検討が進めやすい傾向にあります。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

試作から量産への移行チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜2個まず試作評価の内容を整理すると、相談がスムーズです。
3〜4個量産移行の検討段階に近づいています。概算の数量からご相談ください。
5〜6個量産移行の相談に向いている状況です。試作評価の内容を添えてご相談ください。

試作評価の記録は、量産判断の材料として残しておく

試作評価で確認した内容を記録しておくと、量産移行の判断や検査項目の検討にそのまま活用できます。当社でも、確認した内容を記録として残しています。

段階的に進めたい場合も、相談できる

いきなり量産の条件を決めるのではなく、まず検査体制だけ相談したい、まず数量に応じた工法だけ確認したいというご相談にも対応しています。

試作から量産への進め方について、よくいただくご質問は?

工法の切り替え、検査体制の決め方、数量が未確定な場合、窓口の一本化についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

試作が終われば、そのまま量産に進めますか?
試作の評価結果によります。評価で見えた課題を踏まえて、量産での工法や検査体制を決めていきます。

試作と量産で、工法が変わることもありますか?
あります。試作は切削加工で進め、量産では金型成形に切り替えるといった進め方もご提案しています。

量産移行の際、検査体制はどう決まりますか?
抜取り検査か全数検査か、ご要望に合わせて自社内で設定します。用途や数量によってご提案します。

量産の数量が、まだ固まっていなくても相談できますか?
はい。概算の数量からでもご相談いただけます。数量が固まった段階で見積りを確定します。

試作から量産まで、同じ窓口で進められますか?
図面や試作評価の内容を踏まえてご対応しますので、経緯を共有したうえで進めやすくなります。

量産移行を相談するとき、何をそろえればよいですか?

試作評価の内容(図面・現物)、想定の数量、希望する検査体制、納期の目安があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

量産移行を相談する

数量や検査体制が固まっていない段階でも構いません。試作評価の内容からご相談ください。

見積りを依頼する

試作から量産への進め方|移行のときに決めておく4つのこと

記事検索

NEW

  • 試作から量産への進め方|移行のときに決めておく4つのこと
    2026/10/16
    試作から量産への進め方|移行のときに決めておく4つのこと
    試作がうまくいったあと、...
  • 切削加工のバリ・面粗さは、どう指定すればよいか|基本を解説
    2026/10/15
    切削加工のバリ・面粗さは、どう指定すればよいか|基本を解説
    切削加工を依頼するとき、...
  • 試作を切削加工で短納期に|金型を作らず急ぐための進め方
    2026/10/14
    試作を切削加工で短納期に|金型を作らず急ぐための進め方
    試作を急いで形にしたいが...
  • 金型の修正は、いつ相談すればよい?|判断の4つの目安とは
    2026/10/13
    金型の修正は、いつ相談すればよい?|判断の4つの目安とは
    金型で成形した部品に、微...

CATEGORY

ARCHIVE