ものづくりプレス

2026-11-03

樹脂の丸物をNC旋盤で1個から削り出し|旋盤とフライスの4観点

軸、ブッシュ、リング、ローラ。樹脂の丸い部品を、金型を作らずに1個だけ削り出しで用意したい。ところが依頼先を探すと「旋盤」「フライス」といった加工の呼び名が並び、自分の部品がどちらに当たるのか分からない。依頼の前には、こうした迷いが起こりがちです。

この記事では、丸物に向く旋盤と、角物・平面に向くフライスの使い分けを4つの観点で整理します。あわせて、材料を棒材から取るか板材から取るかの考え方と、依頼前に伝える項目をまとめます。加工できる寸法や精度の具体的な数値は、品物ごとの個別相談としています。

作成者 柴田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年11月3日 最終更新日 2026年11月3日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

樹脂の丸い部品を1個から削り出すとき、最初に何を決めますか?

最初に決めるのは、部品の形が丸物中心か、角物・平面中心かという見立てです。この見立てによって、検討の入り口が旋盤になるか、フライスになるかが分かれます。当社の事業内容にも、プラスチック加工としてNC旋盤とフライス旋盤が含まれています。

丸物とは、中心の線を軸にした形の部品を指す

ここでいう丸物は、軸、ブッシュ、リング、ローラのように、中心の線を軸にして回したような形の部品です。断面が円形で、外側も内側も丸いものが典型です。一方で、四角い板や、平らな面が主役の部品は角物として考えます。自分の部品がどちらに近いかを先に見立てておくと、この後の説明が読み取りやすくなります。

事業内容に含まれることと、個別の部品を引き受けることは別

NC旋盤やフライス旋盤が事業内容に含まれていても、すべての部品が対象になるわけではありません。径や長さ、材質、数量の組み合わせによって、検討の中身は変わります。この記事では能力の数値には触れず、「どう整理して相談するか」に絞って説明します。

当社の公開情報では、切削加工は精度や強度・耐久性の面で3Dプリントより優れるとされ、機能部品や摺動部品に適した用途として挙げられています。

出典:富士ゴム化成「会社概要」ページ(事業内容)・「切削加工・3Dプリント」ページ(切削と3Dプリントの比較)(自社情報・2026年10月確認)。

旋盤とフライスは、丸い部品でどう使い分けて考えますか?

旋盤は材料のほうを回して刃物を当てる加工で、丸い形に向く傾向があります。フライスは刃物のほうを回して削る加工で、平面や角、溝に向く傾向があります。部品の形を4つの観点で見ると、どちらが主になりそうかの見当がつきます。

部品の形が丸物中心の場合は旋盤、角物や平面が中心の場合はフライスが検討の入り口になることを示す図 図1 部品の形から見た、旋盤とフライスの傾向 丸物中心 角物・平面中心 丸いほど旋盤、平らで角ばるほどフライスが検討の入り口になります。 両方の特徴を持つ部品は、工程の組み合わせも含めて個別にご相談ください。
観点 旋盤寄りの傾向 フライス寄りの傾向
輪郭軸を中心に回した丸い形四角や多角形の輪郭
面の構成外径・内径・端面が中心平面や段差が中心
あとから付く形軸方向の溝や段横穴・平面・複数の面の溝
材料の形棒材との相性がよい板材との相性がよい

丸物に平面や横穴が付くときは、どちらが主かを伝える

丸い部品の側面に、工具を掛けるための平らな面が付いていたり、横から穴があいていたりすることがあります。こうした形は、旋盤だけで足りるのか、フライスの工程も加えるのかで検討が変わります。図面や現物のどこにその形があるかを示し、全体として何が主なのかを一言添えると、見立てが早くなります。

寸法を測る基準が、中心の線なのかを示す

丸物の図面では、中心の線を基準に寸法が書かれていることが多くあります。現物しかない場合も、どの面を基準に測ったかをメモしておくと、読み取りがぶれにくくなります。中心の線が示された図や写真があれば、形の見立てもしやすくなります。

切削加工と3Dプリントの違いは切削加工・3Dプリントのページにまとめています。

棒材から削り出すか、板材から削り出すかは、どう考えますか?

丸物は棒材、角物や平面の部品は板材から削り出すのが、基本的な考え方です。ただし、手に入る材料の形は材質や大きさで変わるため、最終的には個別に確認します。

丸物は断面が丸い棒材から、角物や平面の部品は平らな板材から削り出す考え方を対比した図 図2 棒材と板材の、削り出しの考え方 棒材から削り出す 板材から削り出す 断面が丸い材料を使う 丸物と形が近い 旋盤の工程と合いやすい 材質で手に入る形が異なる 平らな材料を使う 角物・平面の部品と形が近い フライスの工程と合いやすい 板の厚みが部品の高さを左右 部品の形に近い材料を選ぶほど、削り落とす部分が少なくなる傾向があります。

丸物を、板材から削り出す場合もある

手に入る材料の形に合わせて、板材から丸く削り出す検討をすることもあります。その場合は、材料の形と部品の形が離れる分、削り落とす部分が多くなる傾向があります。材料の形を決める前に、部品の形とあわせて相談していただくほうが、無理のない選び方になります。

材料の形は、材質のご希望とあわせて決まる

同じ樹脂でも、材質によって手に入る材料の形は異なることがあります。棒材で出回っていても板材は少ない、あるいはその逆といったことも起こります。そのため、材質のご希望を先にお知らせいただくと、材料の形の候補が絞り込みやすくなります。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

依頼の前に、どの項目を伝えればよいですか?

形と寸法の分かる図面または現物、材質のご希望、数量、使う環境、ほかの部品との嵌め合いの5項目です。すべてが決まっていなくても、分かるところから伝えていただければ相談を始められます。

樹脂の丸い部品の削り出しを依頼する前に、形と寸法、材質の希望、数量と環境、嵌め合いの順に整理する流れを示す図 図3 依頼前に伝える項目の流れ STEP 1 形と寸法 図面または 現物 STEP 2 材質の希望 決まっていれば 候補でも可 STEP 3 数量・環境 今回の数と 使う場所 STEP 4 嵌め合い 相手の部品との 関係 4つの塊に分けて控えておくと、問い合わせの文面が短くまとまります。

嵌め合いは、丸物で特に伝える価値が高い

軸と穴、リングと溝のように、丸物は相手の部品と嵌め合って使われることが多い部品です。相手が金属か樹脂か、どちらの寸法を基準に合わせたいのかが分かると、検討の進みが早くなります。寸法の許容は品物ごとに決めていくため、相手側の図面か現物も、可能であれば一緒にお知らせください。

使う環境は、回るのか止まっているのかも含めて書く

温度、接触するもの、かかる力に加えて、その部品が回転するのか、止まったまま使われるのかも、材質を相談するうえで大切な情報です。擦れる相手があるかどうかも、分かる範囲で書き添えてください。

数量は、今回の数と今後の見込みに分けて書く

今回は1個だけでも、評価のあとに数が増える見込みがあるかどうかで、考える進め方が変わります。当社の事業内容には、プラスチックの金型成形として射出成形、押出成形、真空成形も含まれています。数量の見込みを一言添えていただくと、削り出しを続けるのか、別の進め方に切り替えるのかを視野に入れて相談できます。

工法ごとの費用の分かれ目は切削・射出成形・3Dプリントのコスト比較でも整理しています。

複数社に尋ねるなら、削り出しの前提をそろえる

当社は相見積もりを歓迎しています。複数社に尋ねる場合は、形と寸法、材質、数量、嵌め合いの条件を同じ内容で伝えると、比較しやすくなります。見積りに必要なものとして、当社は図面、仕様や用途、数量、材料・材質を挙げています。

出典:富士ゴム化成「会社概要」ページ(事業内容)・「お問い合わせ」ページ(見積り時にご用意いただくもの)(自社情報・2026年10月確認)。

その丸い部品は、依頼に必要な情報がそろっていますか?

当てはまる項目が多いほど、依頼に必要な情報が欠けている状態です。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

丸い部品の削り出しを依頼する前の情報チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個依頼に必要な情報がほぼそろっています。図面か現物と条件をお送りいただければ、検討に入れます。
2〜3個形か使い方のどちらかが不足しています。現物の写真と、使われている場所の様子から整理してください。
4〜6個情報が不足した状態です。まず手元の現物を確保し、丸い部分と平らな部分を見分けるところから始めることをおすすめします。

樹脂の丸い部品の削り出しについて、よくいただくご質問は?

旋盤とフライスの関わり方、1個だけの依頼、棒材と板材、図面がない場合、加工できる範囲についてご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

丸い部品でも、旋盤とフライスの両方が関わることはありますか?
あります。輪郭は丸くても、側面に平面や横穴、溝が付く部品では、旋盤の工程に加えてフライスの工程を検討することがあります。どちらが主になるかは形で変わるため、図面か現物を拝見して個別に確認します。

1個だけでも、相談できますか?
まずはご相談ください。金型を使わない削り出しは、1個だけの依頼とも相性のよい進め方として検討できます。個別の部品が対象になるかどうかは、形と材質、数量をうかがったうえでお答えします。

棒材か板材かは、自分で決めておく必要がありますか?
決めておく必要はありません。部品の形、使う環境、材質のご希望をお知らせいただければ、材料の形も含めて一緒に検討します。手元に同じ材質の端材があれば、あわせてお送りください。

図面がなく、現物の樹脂部品しかありません。
現物があれば、そこから形と寸法を読み取って検討を始められます。すり減っていたり欠けていたりしても手がかりになります。ほかの部品と嵌め合っていた場合は、相手側の部品も一緒にお預けください。

加工できる径や長さ、精度の限界を教えてください。
径・長さ・精度は、材質や形、数量によって変わるため、一律の数値でお答えすることはしていません。図面か現物をもとに、品物ごとに個別にご相談ください。

依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面か現物、使い方、数量、材質のご希望の4点があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

樹脂の丸い部品の削り出しを相談する

図面が無い段階でも構いません。現物と使い方をお知らせいただければ、進め方をご提案します。

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