ものづくりプレス

2026-10-31

自動車関連のゴム部品を少量で試作する|作り方を選ぶ4つの観点

自動車に関わる設備や部品のゴム部品を、試作として少量だけ作りたい。ただ、数個のために金型を起こすのは重い。かといって、どの方法で作れば評価に使えるのかが見えない。開発・設計の現場では、こうした迷いが起こりがちです。

この記事では、自動車関連のゴム部品を少量で試作するときに、数量と評価したい内容から3Dプリント・切削加工・金型成形のどれで始めるかを整理します。あわせて、依頼前にそろえる項目と、量産への引き継ぎ方も紹介します。

作成者 西田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月31日 最終更新日 2026年10月31日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

自動車関連のゴム部品を少量で試作するとき、作り方は何で選びますか?

選ぶ観点は、評価したい内容、数量、形状、使用環境の4つです。最初に決めたいのは評価したい内容で、形の確認か、取り付けの確認か、機能の評価かで、始める作り方が変わります。

自動車関連のゴム部品を少量で試作するときに、評価したい内容、数量、形状、使用環境の順に整理する流れを示す図 図1 作り方を選ぶときの4つの観点 STEP 1 評価したい内容 形・取り付け・ 機能のどれか STEP 2 数量 今回の数と 量産の見込み STEP 3 形状 平面的か 立体的か STEP 4 使用環境 接触するもの・ 温度・振動 上から順に決めていくと、作り方の候補が絞れます。

当社の廃盤部品の再現のページでは、主な納入業界として設備機器、医療機器、自動車、建機、建築部材、エレベータが挙げられています。自動車は、その一つです。個々の部品に対応できるかどうかは、図面か現物を拝見して個別にご相談ください。

評価したい内容は1行で言い切れる形にし、数量は再試作の可能性も含めて数えると伝わります。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ・「3Dプリント」ページ(自社情報・2026年10月確認)。

形の確認・取り付けの確認・機能の評価で、始める作り方はどう変わりますか?

形の確認は3Dプリント、機能の評価は切削加工や金型成形、というのが検討の入り口です。取り付けの確認は、どこまでの精度を見たいかで二つに分かれます。

評価したい内容 検討の入り口 補足
形の確認3Dプリント金型を作る前に形状を確かめたいときに向く
取り付けの確認3Dプリント、または切削加工位置や干渉を見るなら前者、はめ合いの寸法まで見るなら後者も検討
機能の評価切削加工、または金型成形板から削り出す、または量産に近い方法で作る
形の確認では3Dプリントが、機能の評価では切削加工や金型成形が、検討の入り口になることを示す図 図2 評価したい内容と、作り方の寄り方 形の確認 機能の評価 形の確認に近いほど3Dプリントから、機能の評価に近いほど切削加工や金型成形から検討します。 取り付けの確認は、その中間のどこを見たいかで入り口が変わります。

形の確認は、金型を作る前の手戻りを減らす段階

自社ページには、金型を作る前に形状確認をしたいという悩みが挙げられています。形を先に確かめておけば、金型を作ってからの手戻りを避けやすくなります。

取り付けの確認は、相手の部品に当てて見る

相手の部品を一緒にお預けいただけるなら、必要な寸法を現物から読み取って検討できます。位置や干渉の確認なら形を作って当ててみて、はめ合いの寸法まで見たくなった段階で作り方を見直す進め方もあります。

機能の評価は、作り方が結果の読み方を左右する

自社ページの比較では、機能部品や機能評価に向く方法として切削加工が挙げられています。評価の記録には、どの作り方の試作品かも書き添えてください。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ(お客様が抱える悩み・切削加工と3Dプリントの比較)(自社情報・2026年10月確認)。

3Dプリントと切削加工は、少量の試作でどう使い分けますか?

形の自由度を優先するなら3Dプリント、精度と強度・耐久性を優先するなら切削加工、と考えます。自社ページの比較でも、得意なところが分かれています。

3Dプリントは形状の自由度が高く、切削加工は精度と強度・耐久性に優れるという自社ページの比較を対比した図 図3 3Dプリントと切削加工の得意なところ 3Dプリント 切削加工 形状の自由度が高い 精度や耐久性は課題が残る デザイン確認や簡易治具に向く 金型を使わずに形を作れる 精度と強度・耐久性に優れる 形状の自由度は3Dプリントより低い 機能部品や機能評価に向く ゴム板から削り出して作る 評価したい内容に合わせて、どちらから始めるかを決めます。

3Dプリントは、初期に形を見比べるのに向く

データから直接形を作るため、形を少しずつ変えた案を見比べたい段階に向いています。対応材質には、エラストマーやシリコンも挙げられています。

切削加工は、板から削り出して物性を確かめたいときに向く

ゴム板から切削加工を行うことで、3Dプリントよりも物性の高い部品を製作できる、と自社ページで説明しています。

切削加工と3Dプリントの詳細は切削加工・3Dプリントのページにまとめています。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ(切削加工の位置づけ・比較表・FAQ)(自社情報・2026年10月確認)。

少量の試作でも、金型成形を選ぶのはどんなときですか?

量産で使う成形方法に近い状態で評価したいときに、金型成形が候補に入ります。金型成形のうちコンプレッション成形は、金型費用を抑えやすい方法とされています。

自社ページは、コンプレッション成形のメリットとして、金型費用を抑えられること、少量生産などに柔軟に対応できることを挙げています。得意な製作方法にも、コンプレッション成形と焼付成形が含まれます。一方、金型を作る以上、準備は増えます。

試作の段階で量産と同じ成形方法を使えば、評価結果を量産品に当てはめやすくなる傾向があります。切削加工や3Dプリントの試作品は、読み替えのときに差の確認が必要です。

自社ページには、開発段階で設計変更が多いため金型製作に踏み切れないという悩みも挙げられています。形が動く段階では金型を使わない方法で固め、落ち着いてから金型成形を検討する順序が取りやすくなります。費用面の考え方は、切削・射出成形・3Dプリントのコスト比較でも整理しています。

出典:富士ゴム化成「ゴム・プラスチックとは」ページ(コンプレッション成形)、「廃盤部品の再現」ページ(得意な製作方法)、「3Dプリント」ページ(自社情報・2026年10月確認)。

試作を依頼する前に、何をそろえて伝えればよいですか?

取り付け相手、使用環境、必要数、評価の観点の4つです。図面が無くても、取り付け相手と使う場所が分かれば検討を始められます。

そろえる項目 伝える内容 分からない場合
取り付け相手相手の部品の寸法・取り付ける位置相手の部品と、取り付け状態の写真を添える
使用環境接触するもの・温度・振動の有無設備の種類と使う場所だけでも伝える
必要数今回の試作数と、直したあとの再試作の見込み概算で構わない
評価の観点形・取り付け・機能のどれを確かめたいか1行で書ければ十分

使用環境は、接触するもの(油・水・薬品・日光など)、使う温度の上限と下限、振動の有無で伝えます。振動が加わる場所では取り付け方や形の考え方が変わることがあります。試作する部品を測る前に、取り付ける相手の部品を測るほうが、求められる形が絞れます。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ(見積り時にご用意いただくもの)(自社情報・2026年10月確認)。

試作の結果は、量産にどう引き継ぎますか?

評価で確かめたことと、その作り方を記録に残して引き継ぎます。当社の廃盤部品の再現も、試作・評価のあとに量産・納品がある流れです。

評価の記録には、確かめたかったこと、結果、試作品をどの方法で作ったかの3点を残します。この3点があれば、量産の検討に入ったときに、どこまで確認済みかを整理できます。

切削加工や3Dプリントで試作したものを金型成形で量産する場合は、作り方が変わります。仕上がりに差が出る可能性があるため、量産に入る前に差を確認すると安心です。試作を急ぐ場合の考え方はゴム試作を短納期で進める考え方でも触れています。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ(自社情報・2026年10月確認)。

自社の試作依頼は、情報がそろっていますか?

当てはまる項目が多いほど、依頼に必要な情報が欠けています。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

試作を依頼する前の情報チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個依頼に必要な情報がほぼそろっています。図面か現物と条件をお送りいただければ、検討に入れます。
2〜3個評価の観点か使用環境のどちらかが不足しています。取り付け状態の写真と、使う場所の情報から整理してください。
4〜6個情報が不足した状態です。まず取り付け相手の部品を確保し、確かめたいことを1行にまとめるところから始めることをおすすめします。

自動車関連のゴム部品の少量試作について、よくいただくご質問は?

数個だけの試作、相手部品しかない場合、3Dプリントでの機能評価、材質未定、量産への移行についてご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

試作は数個だけですが、相談できますか?
まずはご相談ください。数が少ないほど、金型を使わない方法が入り口になることが多くなります。対応できるかどうかは、内容を拝見して個別にお答えします。

取り付ける相手の部品しか手元にありません。
それでも相談できます。相手の部品の寸法と、取り付ける位置が分かる写真を添えていただければ、試作する部品に求められる形を一緒に整理します。

3Dプリントで作った試作品を、そのまま機能の評価に使えますか?
評価したい内容によります。自社ページでは、3Dプリントは精度や耐久性に課題が残ると説明しています。機能の評価では、切削加工や金型成形を含めて検討します。

ゴムの材質がまだ決まっていません。
決まっていない状態のままで構いません。接触するもの、温度、振動の有無をうかがい、用途に合う材質の候補をご提案します。

試作のあと、量産に進むかどうかはまだ分かりません。
その段階でも相談できます。評価の結果を見てから、量産に進むかどうかを決める流れで問題ありません。

依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面か現物、使い方、数量、材料の4点があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

ゴム部品の少量試作を相談する

数個の試作でも構いません。取り付け相手と使う環境をお知らせいただければ、始める作り方をご提案します。

見積りを依頼する

自動車関連のゴム部品を少量で試作する|作り方を選ぶ4つの観点

記事検索

NEW

  • 自動車関連のゴム部品を少量で試作する|作り方を選ぶ4つの観点
    2026/10/31
    自動車関連のゴム部品を少量で試作する|作り方を選ぶ4つの観点
    自動車に関わる設備や部品...
  • 長尺部品の3Dプリント試作を依頼するとき|決める4つの項目
    2026/10/31
    長尺部品の3Dプリント試作を依頼するとき|決める4つの項目
    細長い棒状の部品や、帯状...
  • 真空成形で試作・小ロットを作る|相談前に整理する4つの点
    2026/10/30
    真空成形で試作・小ロットを作る|相談前に整理する4つの点
    プラスチックの試作品や、...
  • PEEKの試作を依頼する前に|3Dプリントと切削を分ける5項目
    2026/10/30
    PEEKの試作を依頼する前に|3Dプリントと切削を分ける5項目
    耐熱性や耐薬品性が求めら...

CATEGORY

ARCHIVE