ものづくりプレス

2026-11-06

ゴム部品で検査成績書を求めるとき|依頼時に伝える4つの項目

取引先から、納品するゴム部品に検査成績書を付けてほしいと求められた。何を測った結果を、どんな形で出してもらえばよいのか。依頼の文面に何を書けばよいのかが分からない。品質や調達の担当者が、初めて書類を頼むときに迷う点です。

この記事では、ゴム部品の発注で検査成績書を求めるときに、依頼の段階で伝えておく4つの項目を整理します。当社の検査体制の公開情報を土台にしています。

作成者 橋本(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年11月6日 最終更新日 2026年11月6日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

ゴム部品で検査成績書を求めるとき、依頼時に何を伝えますか?

伝えるのは、書類が必要な理由と提出先、測定してほしい箇所と項目、検査の範囲、書類の形式と納品との関係の4つです。すべてが決まっていなくても、分かるところから伝えれば相談を始められます。

ゴム部品の検査成績書を依頼するときに、必要な理由と提出先、測定箇所と項目、検査の範囲、書類の形式と納品との関係を伝える流れを示す図 図1 成績書を頼むときに伝える4つの項目 STEP 1 理由と提出先 誰に、何のために 提出するか STEP 2 測定箇所と項目 どこを、何で 見るか STEP 3 検査の範囲 抜取りか、 全数か STEP 4 形式と納品 書類の様式と 納品の時期 上から順に決めると、後の項目が選びやすくなります。

「成績書をください」だけでは、何を測るかが決まらない

検査成績書という言葉は、測定した数値を並べた書類を指すこともあれば、合否の結果だけを記した書類を指すこともあります。呼び方は同じでも、受け取る側が想定している中身は会社ごとに違うことが多いものです。そのため、言葉だけで頼むと、納品されてから「求めていた書類と違う」というずれが起こりえます。

当社の検査体制は、ご要望に合わせて抜取りと全数を選ぶ形

当社は品質保証部を設置し、ご要望に合わせて抜取り検査と全数検査を自社内で行う体制を整えています。ただし、検査成績書の書式や記載できる項目は、品物ごとに異なります。発行の可否や記載項目は、図面か現物をうかがったうえで、個別に確認します。

出典:富士ゴム化成「会社概要」ページ(品質保証部・抜取り検査/全数検査)(自社情報・2026年10月確認)。

成績書が必要な理由と提出先は、なぜ最初に伝えるのですか?

理由と提出先が分かれば、載せるべき内容の見当がつくからです。社内の受入確認のためなのか、取引先への提出なのかで、求める書類の重さが変わります。

必要な理由 提出先の例 先に確認しておくこと
社内の受入確認自社の品質管理部門社内で決まった様式があるか
取引先への提出納入先の購買・品質部門提出先から様式や項目の指定があるか
不具合時の原因確認社内や納入先との共有測定値まで残す必要があるか
初回納品の確認新規取引の審査初回のみか、毎回か

提出先の指示は、そのまま転記して伝える

提出先から「この項目を記載すること」と指示されている場合は、その指示の文面をそのまま写して伝えてください。言い換えると、項目の意味がずれることがあります。指示書や発注書の該当箇所を、写真かコピーで添えるのが確実です。

毎回必要なのか、初回だけなのかも書き添える

同じ品物を繰り返し発注する場合、成績書が毎回必要なのか、初回のみでよいのかで、検査の組み立てが変わります。年間でどのくらい発注する見込みかとあわせて、概算でもよいので書き添えてください。初回納品の確認に求められる最小限の証拠については、FAI・PPAPの最小限の証拠で整理しています。

測定してほしい箇所と項目は、どう決めますか?

図面の中で機能に関わる部位を先に挙げ、その部位について何を見るかを決めます。すべての寸法を成績書に載せるのではなく、組み付け先の相手部品に関わる箇所から選ぶのが出発点です。

機能に関わる部位は、組み付け先から逆算する

ゴム部品は、相手部品と接する面や密封する部分が機能に直結します。それ以外の部位は、多少ずれても使い方に影響しないことがあります。組み付け先の図面があれば、どの面がどの部品に当たるかを確認し、その部位を測定の候補として挙げてください。図面上の部位の重みづけは、ゴム部品の図面公差は「1段緩める」が正解でも扱っています。

寸法のほかに、外観や硬さを見るかどうかも決める

測定の対象は寸法だけとは限りません。外観の状態や、硬さを確認したい場合もあります。外観は数値で合否を決めにくいため、写真や限度見本で基準を決めておく方法が一般的です。何を成績書に載せるかは、提出先の要求と品物の使われ方の両方から決めます。外観の見分け方はゴム部品の外観不良で解説しています。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

検査の範囲と書類の形式は、どう伝えればよいですか?

検査の範囲は「抜取りか全数か」を項目ごとに、書類の形式は「測定値を載せるか、合否のみか」を伝えます。全数検査そのものの考え方は別の記事で扱っているため、ここでは書類に何を残すかに絞ります。

検査成績書に合否の結果だけを記す場合と、測定値まで記す場合とで、後から確認できる範囲が異なることを対比した図 図2 書類に残す内容の違い(合否のみ/測定値まで) 合否の結果のみ 測定値まで記す 合格か不合格かを記す 書類が簡潔にまとまる 個々の数値は残らない 後から原因を追いにくい 測った数値を残す 傾向の変化を追える 書類の量が増える 測定の手間も増える どちらが適切かは、提出先の要求と品物の使われ方で変わります。

範囲は、項目ごとに分けて書くと伝わりやすい

「全数で測定値を出してほしい」と、品物全体にまとめて頼むと、見積りの前提が重くなりがちです。寸法のこの2か所は全数で測定値まで、外観は抜取りで合否のみ、というように、項目ごとに分けて伝えると、必要なところに検査と記録が集まります。

書類の様式は、見本があれば添える

社内や提出先に決まった様式がある場合は、見本を添えてください。見本がなければ、載せてほしい項目を箇条書きにするだけでも伝わります。指定の様式に合わせられるかどうかは、個別に確認します。

納品とあわせて必要か、別に先に必要かを決める

成績書を製品と同時に受け取りたいのか、製品より先に確認したいのか。納品のたびに必要か、ロットが変わるときだけかも、伝えておく項目です。検査の設計は納品の流れに合わせて組むため、後から変えるほど調整が増えます。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ(見積り時にご用意いただくもの)(自社情報・2026年10月確認)。

検査成績書は、発行できますか?

書式・発行の可否・記載項目は、個別に確認します。当社の検査体制を前提に、ご要望の内容を拝見してから、どこまで対応できるかをお答えします。

検査成績書へのご要望が簡単なものから細かいものまで幅があり、要望の内容によって個別の確認が必要になることを示す図 図3 書類のご要望と、確認の幅 合否のみ 測定値と様式指定 要望が細かくなるほど、発注の段階で確認する事項が増えます。 対応できる範囲は品物ごとに異なるため、個別にご説明します。

相見積もりでは、書類の要望も同じ内容でそろえる

複数社に見積りを依頼するときは、成績書の要否と載せてほしい項目を、同じ内容で各社に伝えてください。書類の有無が違うと、見積りを比べにくくなります。当社は相見積もりを歓迎しています。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ(相見積もり・見積り時に必要な情報)(自社情報・2026年10月確認)。

自社の依頼は、成績書を頼む情報がそろっていますか?

当てはまる項目が多いほど、依頼前に整理しておくと見積りの前提がそろいます。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

成績書を頼む前の整理チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個依頼に必要な情報がほぼそろっています。図面と要望をお送りいただければ、検討に入れます。
2〜3個提出先の要求か、測定する項目のどちらかが未整理です。提出先の指示書を見直すところから始めてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず成績書が必要な理由と提出先を書き出し、指示書があれば手元にそろえることをおすすめします。

検査成績書の依頼について、よくいただくご質問は?

発行の可否、書式、後からの依頼、測定項目の決め方、相見積もりについてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。個別の品物については、図面か現物を拝見したうえでお答えしています。

検査成績書は、どのゴム部品でも発行してもらえますか?
品物や検査の内容によって異なるため、一概にはお答えできません。当社は品質保証部を設置し、ご要望に合わせて抜取り検査と全数検査を自社内で行う体制を整えています。成績書の書式や記載項目も含め、図面か現物と、必要な理由をうかがったうえで個別に確認します。

成績書の書式は、こちらの指定どおりにできますか?
書式のご指定がある場合は、発注の段階でお知らせください。指定の様式に合わせられるかどうかは、内容を拝見して個別にお答えします。社内に決まった様式がなければ、載せてほしい項目だけをお伝えいただく形でも構いません。

納品の後から、成績書だけを追加でお願いできますか?
後から頼むと、検査の時点で測っていない項目が出てくることがあります。成績書が必要だと分かっている場合は、最初の見積りのときに伝えていただくのが基本です。後からの依頼については、状況を確認してご相談します。

測定してほしい項目が、自分では決められません。
決められない状態のままで構いません。図面を拝見し、機能に関わる部位と使い方をうかがいながら、候補をいっしょに整理します。提出先から指示されている項目がある場合は、その指示をそのままお知らせください。

他社にも見積もりを取って構いませんか?
相見積もりを歓迎しています。成績書の要否と載せてほしい項目を同じ内容で各社に伝えていただくと、見積りの前提がそろい、比較しやすくなります。

成績書を含めて見積りを依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面、仕様・用途、数量、材料に加えて、成績書の要否と載せてほしい内容をお伝えください。未定の項目は未定とお書きいただければ、確認とお打ち合わせで一緒に整理します。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

提出先から指示書や様式が出ている場合は、見積り依頼のときに写しを添えていただくと、確認が早く進みます。

成績書の要望を含めて見積りを依頼する

載せてほしい項目が決まっていない段階でも構いません。図面と使い方、提出先の事情をお知らせいただければ、進め方をご提案します。

見積りを依頼する

ゴム部品で検査成績書を求めるとき|依頼時に伝える4つの項目

記事検索

NEW

  • ゴム部品で検査成績書を求めるとき|依頼時に伝える4つの項目
    2026/11/06
    ゴム部品で検査成績書を求めるとき|依頼時に伝える4つの項目
    取引先から、納品するゴム...
  • 3Dデータがない試作の依頼|手元の資料別に整理する4つの場合
    2026/11/05
    3Dデータがない試作の依頼|手元の資料別に整理する4つの場合
    3Dプリントや切削で試作品...
  • 樹脂チューブを特注で少量だけ頼む|相談前にそろえる4つの情報
    2026/11/04
    樹脂チューブを特注で少量だけ頼む|相談前にそろえる4つの情報
    装置の一部に使う樹脂のチ...
  • 樹脂の丸物をNC旋盤で1個から削り出し|旋盤とフライスの4観点
    2026/11/03
    樹脂の丸物をNC旋盤で1個から削り出し|旋盤とフライスの4観点
    軸、ブッシュ、リング、ロ...

CATEGORY

ARCHIVE