ものづくりプレス

2026-10-29

ゴム製品のOEMを少量から依頼する|先に決めておく4つの取り決め

自社の製品に組み込むゴム製品を、他社に作ってもらうことになった。数は多くないが、図面の扱いも、金型の持ち方も、検査の範囲も、まだ何も決まっていない。見積りを頼む前に、何から話せばよいのか分からない。

この記事では、ゴム製品のOEMを少量から依頼するときに、委託する側が最初に決めておく4つの取り決めを整理します。金額や納期の話ではなく、「何を決めてから頼むか」に絞っています。

作成者 久保(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月29日 最終更新日 2026年10月29日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

ゴム製品のOEMを少量から頼む前に、何を決めておきますか?

決めておくのは、仕様と図面の扱い、金型の持ち主と保管場所、継続して頼む見込みの量、検査の基準と範囲の4つです。価格の相談に入る前に、この4つを整理しておくと、見積りの前提がそろいます。

ゴム製品のOEMを依頼する前に、仕様と図面、金型、見込み量、検査の4つを順に決める流れを示す図 図1 先に決めておく4つの取り決め STEP 1 仕様と図面 渡す範囲と 扱い方 STEP 2 金型 持ち主と 保管場所 STEP 3 見込みの量 今回と 今後の分 STEP 4 検査と品質 基準・範囲・ 不具合時の動き 上から順に決めると、あとの項目が決めやすくなります。

「OEM」と言っても、依頼側と受ける側で想定がずれることがある

OEMという言葉は、図面を支給して作ってもらう場合にも、仕様だけを伝えて形づくりから相談する場合にも使われます。どちらを想定しているのかを最初に確認しないと、見積りの前提が食い違います。

当社の相談範囲には、「検査やアッセンブリ、OEM」が含まれる

当社のお問い合わせページには、相談範囲として「検査やアッセンブリ、OEM」が挙げられています。含まれているのは相談の範囲までです。品物ごとに対応できるかどうか、どのような形で進めるかは、図面か現物を拝見して個別にご説明します。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ(対応できる相談範囲)(自社情報・2026年10月確認)。

仕様と図面は、どこまで渡し、どう扱いますか?

渡す範囲と、渡したあとの扱い方の2つを決めます。範囲は図面・仕様・用途・材料、扱い方は版の管理と、秘密にしたい部分の確認です。

取り決める項目 決める内容 決まっていない場合
図面の版どの版を正とするか版と日付を図面に書き添える
仕様と用途どこに使い、何に触れるか使用条件を文章で渡す
図面の取り扱い秘密にしたい範囲、他社への開示の可否渡す前にその旨を伝える
変更の連絡図面を変えたときの知らせ方連絡の窓口を1人に決める

図面は、版と日付をそろえてから渡す

少量の依頼でも、図面は途中で直されることがあります。手元に複数の版がある状態で渡すと、どれが正なのかが分からなくなります。正とする版を1つに決め、図面に版と日付を書き添えておいてください。

図面の取り扱いは、渡す前に言葉にしておく

秘密にしたい部分があるのか、他社への開示は避けたいのか、といった図面の取り扱いは、渡す前に言葉にして伝えます。渡したあとで確認すると、決める順序が逆になります。具体的な取り決めの形や契約の内容は、案件ごとに異なるため、個別に確認して進めます。

図面に載らない条件は、使用条件として別に渡す

温度、接触するもの、圧力、使用時間は、図面とは別の文章にして渡してください。材質のご指定がある場合も、その理由が使用条件から説明できると、話が進めやすくなります。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ(見積り時にご用意いただくもの)(自社情報・2026年10月確認)。

金型は、誰が持ち、どこで保管しますか?

金型の持ち主と、保管する場所と、使わない期間の扱いを、金型を作る前に決めておきます。作ってしまってから決めようとすると、話が長引きます。

金型を依頼する側が持つ場合と、受ける側が持つ場合とで、あらかじめ決めておく内容が異なることを対比した図 図2 金型の持ち主で、先に決めておくことが変わる 依頼する側が持つ場合 受ける側が持つ場合 預け先の保管場所を確認する 管理の台帳に載せておく 他社へ移すときの手順を決める 定期的に現在地を確かめる 誰の金型かを書面で示す 保管する期間を決める 修理の費用の持ち方を決める 不要になったときの扱いを決める どちらの場合も、使わない期間が長くなったときの扱いは決めておきます。

使っていない金型の調査依頼が、取引先から出てきている

当社が2026年8月時点で取引先から聞いた動向として、長期間使っていない金型についての調査依頼が出てきています。金型は作ったあとも、どこにあり、誰のもので、いつから使われていないのかを把握しておく対象です。OEMで頼む場合も、この点は最初に決めておくと、のちの問い合わせに答えやすくなります。

出典:富士ゴム化成の取引先動向(2026年8月時点・自社ヒアリング)。

保管場所と、使わない期間の扱いは、初回の依頼で書いておく

金型をどこに置くのか、使わない期間が続いたときは誰が状態を確かめるのかを、依頼の最初に書いておきます。

継続して頼む見込みの量は、どう伝えますか?

今回の数と今後の見込みを分けて、見込みは約束ではない数として伝えます。見込みが継続に寄るほど、金型の持ち方や保管の取り決めが重要になります。

一度きりの依頼から継続して発注する依頼まで、見込みによって金型や保管の取り決めの重要度が変わることを示す図 図3 継続の見込みで、取り決めの重みが変わる 一度きり 継続して発注 継続の見込みが高いほど、金型の持ち方、保管、検査の取り決めを先に固める必要があります。 見込みがはっきりしない場合は、はっきりしないとお伝えください。

見込みは、約束ではない数として書く

「来年以降も同じものが要るかもしれない」という程度の見込みでも、書き添えてください。確定していない数であることが伝わっていれば、金型の考え方を段階的に検討できます。

見込みが変わったときの知らせ方を、決めておく

当初の見込みよりも増えそうなとき、あるいは減りそうなときに、いつ誰に知らせるのかを決めておきます。数量が変われば、向く成形方法の考え方も変わります。当社の自社ページでは、コンプレッション成形は金型費用を抑えやすく少量生産に柔軟、射出成形は大量生産に向く一方で金型が高額になる傾向があると説明しています。

成形方法ごとの違いはゴム・プラスチックとはのページにまとめています。

出典:富士ゴム化成「ゴム・プラスチックとは」ページ(コンプレッション成形・射出成形の特徴)(自社情報・2026年10月確認)。

検査の基準と範囲は、どう取り決めますか?

何を基準に、どの範囲を、誰が検査するかの3点と、不具合が出たときの動きを決めます。当社には品質保証部があり、ご要望に合わせて抜取り検査と全数検査を自社内で行っています。

取り決める点 決める内容 決まっていない場合
基準図面の寸法、外観の見本見本か写真を添える
範囲抜取りか全数か、どの項目を見るか品物の使われ方を伝える
実施する人受ける側か、受け入れる側でも行うか受け入れ時に見る項目を伝える
不具合時の動き連絡先、確認する内容の記録最初の連絡窓口だけでも決める

外観の基準は、言葉でなく見本で示す

「きれいに仕上げてほしい」という言葉は、人によって受け取り方が変わります。良品と不良品の見本、あるいは写真で示すと、同じ基準を共有しやすくなります。

抜取りか全数かは、品物の使われ方で決める

その部品が止まったら製品全体が止まるのか、見た目だけの問題なのかによって、必要な検査の範囲は変わります。使われ方を伝えたうえで、抜取りと全数のどちらを依頼するかを決めると、検査の範囲に納得感が出ます。当社では、品質保証部がご要望に合わせて自社内で実施しています。

出典:富士ゴム化成「会社概要」ページ(検査体制)(自社情報・2026年10月確認)。

不具合が出たときの動きまで、取り決めに含める

どこに連絡し、どの品物をどう保管して、何を確認するのか。少量の依頼でも、最初の連絡先と確認する内容だけは決めておくと、慌てずに済みます。

自社の依頼は、取り決めの整理ができていますか?

当てはまる項目が多いほど、先に決めておくことが残っている状態です。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

OEM依頼前の取り決めチェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個先に決めることがほぼそろっています。図面か現物と条件をお送りいただければ、検討に入れます。
2〜3個決めていない項目があります。金型の持ち方と、検査の範囲から整理してください。
4〜6個決めることが多く残っています。まず図面の版と、今後の見込みを書き出すところから始めることをおすすめします。

ゴム製品のOEMについて、よくいただくご質問は?

少量の相談、図面の取り扱い、金型の持ち主、検査の範囲、相見積もりについてご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

少量のOEMでも、相談できますか?
当社の相談範囲には、検査やアッセンブリ、OEMが含まれています。数量が少ない場合の進め方や、対応できるかどうかは内容を拝見して個別にお答えします。今回の数と今後の見込みを分けてお知らせいただくと、話が進めやすくなります。

図面は他社に見せたくありません。どう伝えればよいですか?
図面を渡す前に、どの範囲を秘密にしたいのか、他社へ開示してよいのかを、言葉にしてお伝えください。取り扱いの取り決めや契約の内容は、案件ごとに個別に確認します。

金型は、依頼する側が持つものですか?
一律にこうなる、とはお答えできません。誰が持つか、どこで保管するか、使わない期間をどう扱うかを、金型を作る前に話し合って決めておくことをおすすめします。

検査は、全数でお願いできますか?
当社には品質保証部があり、ご要望に合わせて抜取り検査と全数検査を自社内で行っています。品物によって検査できる項目が変わるため、基準と範囲は図面か現物を見たうえで個別に確認します。

他社にも見積もりを取って構いませんか?
相見積もりを歓迎しています。図面の版、使用条件、数量の見込み、検査の範囲を同じ内容で各社に伝えていただくと、比較しやすくなります。

依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面、仕様と用途、数量、材料の4点があれば話を始められます。4つの取り決めまで決まっていない状態でも構いません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

ゴム製品のOEMを相談する

少量でも構いません。取り決めがまだ決まっていない段階でも、現状をお知らせいただければ、進め方をご提案します。

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