ものづくりプレス
2023-09-10
クロロプレンゴムの特徴と用途
ウェットスーツの材料としても知られているクロロプレンゴムは、性質のバランスがよく、合成ゴムの中でも一般的な存在として知られています。いろいろな用途やシーンに活用できるというメリットがある一方で、デメリットもあります。 この記事では、クロロプレンゴムを製品や加工品に用いる際に知っておきたい特徴や短所、長所、主な用途について解説しています。ほかの合成ゴムと比較して検討したい、またはクロロプレンゴムを活用して加工品を製造したい場合などに、ぜひ参考にしてください。
クロロプレンゴム(CR)とは
クロロプレンゴム(CR)は、クロロプレンを乳化重合してつくられた合成ゴムです。
1930年にアメリカ合衆国にあるデュポン社の化学者ウォーレス・カロザースによって開発され、1931年から製造を開始したという古い歴史を持ち、合成ゴムの草分け的存在でもあります。
天然ゴムの弱点でもある耐油性を改良したほか、それ以外の特性についても全体的にバランスが取れているため、主に工業用品などに使用されています。
クロロプレンゴムの特徴
クロロプレンゴムは、天然ゴム(NBR)が持つ長所に加えて、バランスの取れた性質、不純物の入りにくさ、安定した価格、加工のしやすさなど、天然ゴムより多くの優れた特性を持っています。
しかしその一方で、燃やすとダイオキシンなどの発生原因となる有機塩素化合物であることから、焼却や廃棄の際には適切な処置が求められます。
クロロプレンゴムをゴム加工に用いる場合には、長所と短所を知っておくことが重要です。
クロロプレンゴムの長所と短所をそれぞれ解説していきます。
クロロプレンゴムの長所
クロロプレンゴムは、以下の性質が特に優れています。
・機械的強度
・反発弾性
・耐候性
・耐油性
・耐老化性
・難燃性
・貯蔵のしやすさ
・ガス透過率の小ささ
・接着力の強さ
クロロプレンゴムは、天然ゴムのような高い弾性を持つほか、機械的強度や耐油性、燃焼性などにも優れているため、過酷な負荷のかかる工業製品や、パッキン、Oリングなどの用途に多く用いられています。
さらに、主鎖の二重結束部分がトランス体であり、シス体の二重結束主鎖を持つ合成ゴムよりも直射日光などによる化学変化を受けないことから、耐候性や耐老化性が高いという特長も持っています。 また天然ゴムよりは劣るものの、80~90℃での連続使用に耐える耐熱性と、マイナス20~30℃の耐寒性の両方を兼ね備え、貯蔵時にも安定した特性を維持できます。
このほか、接着力の強いゴム糊としても使用できるなど、幅広い用途に活用できる合成ゴムです。
クロロプレンゴムの短所
クロロプレンゴムには、以下の短所があります。
・耐水性が低い
・電気絶縁性が低い
・低温で結晶化しやすい
性質のバランスが取れているクロロプレンゴムですが、耐水性や電気絶縁性は低くなっています。
また、耐寒性は高いものの低温環境下では結晶化しやすく、伸びや弾性が低下して硬化することから、破断や亀裂を引き起こすことがあります。
クロロプレンゴムの用途
クロロプレンゴムは、主に以下の用途で用いられています。
・自動車用部品(ホース、ベルトなど)
・電線(ワイヤー、ケーブル、電線用被膜)
・建築用ゴム製品 ・窓枠の気密部品 ・一般工業用品(ホースなど)
・ロール
・ライジング
・グロメット
・ベルト(コンベヤ、搬送、伝動など)
・Oリング
・スポンジ製品
・梱包材
・靴底
・ウェットスーツ
・防振ゴム
・難燃ゴム
・接着剤、塗料 など
クロロプレンゴムは、特に反発弾性や機械的強度に優れているため、大きな負荷のかかる一般工業用品や、自動車用品、建設用のゴム製品に多く用いられています。
また耐候性、耐寒性、耐熱性など環境に対する耐性が高く、靴底やウェットスーツなど負荷のかかる日用品にもクロロプレンゴムは活用されています。
クロロプレンゴムはバランスの取れた優秀な合成ゴム
天然ゴムの耐油性の低さを補う目的で1930年に開発され、長い歴史を持つクロロプレンゴム。耐水性や電気絶縁性は低く、低温環境での使用には向いていませんが、バランスのよい性質と安定した加工性が特長です。
さらに、優れた機械的強度や耐油性を持ち、過酷な環境や負荷のかかる用途にも使用できることから、自動車製品や工業用製品のほかにも、レジャーやアウトドア用品まで幅広く活用できる、優秀な合成ゴムです。
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