ゴムのコーティング加工とは？特徴と用途をご紹介

ものづくりプレス

2024-09-16

ゴムコーティングとは、基材の表面にゴム系のコーティング剤を均一に塗布し、薄い膜を形成する技術です。この技術は、私たちの日常生活において多岐にわたる製品に利用されています。たとえば、パソコンのマウスやテレビのリモコン、ゲームコントローラー、スマートフォンケース、家電製品など、手に触れる機会が多いアイテムに施されることで、触感や耐久性が向上します。特に基材の表面が凹凸している場合でも、コーティングはその質感を活かしながら表面を覆い、機能性を高めます。

次に、ゴムコーティングがどのような目的や特徴を持っているのか、詳しく見ていきましょう。

ゴムコーティングの目的

1. グリップ力の向上 ゴムの持つ柔軟で滑りにくい特性を活かし、表面にコーティングを施すことで滑り止め効果が得られます。このため、工具のハンドルやスポーツ用品など、手にしっかりとしたグリップ力が求められる製品に広く利用されています。手汗や湿気などによる滑りを防ぎ、安全性や使用感の向上に寄与します。

2. 絶縁性の付加 ゴムは電気を通さない絶縁体であるため、電気機器のパーツにゴムコーティングを施すことで、基材を絶縁体に変えることが可能です。電気を扱う製品やデバイスにおいて、コーティングが漏電やショートを防ぐ役割を果たし、安全性を高める手段として広く用いられています。

3. 耐摩耗性や耐衝撃性の向上 基材の表面をゴムでコーティングすることにより、外部からの摩擦や衝撃に対する保護機能が強化されます。これにより、耐久性が増し、製品の寿命が延びる効果が期待できます。特に工業用機器や工具など、激しい使用環境にある製品でこの効果は非常に重要です。

4. 非付着性の付与 シリコーンゴムを用いたコーティングは、基材の表面に非付着性を与えます。これにより、接着剤や粘着物質が付きにくくなり、清掃やメンテナンスが容易になるメリットがあります。例えば、搬送ベルトにシリコーンゴムをコーティングすることで、接着剤やその他の粘着性物質が付着しづらくなり、作業の効率が向上します。

このように、ゴムコーティングは、グリップ力の向上や絶縁性の付与、耐久性の強化、そしてメンテナンスの簡素化など、多様な目的で活用されています。

ゴムコーティングの種類

ゴムコーティングには、主にシリコーン系コーティングとフッ素系コーティングの2種類があります。それぞれの特性に応じて、製品の用途に適したものが選ばれます。

1. シリコーン系コーティング シリコーン系コーティングは、最も一般的なゴムコーティングの一種であり、古くから広く用いられてきました。手触りが柔らかく、透明感を持つため、ラバースイッチなどの精密機器や家庭用製品に適用されます。エアガンを使用して基材の表面に均一にコーティングを施すことで、滑りにくい質感を与えることができます。ただし、透明なゴムに塗布すると透明感が失われることがあるため、見た目の美観を重視する場合には注意が必要です。

2. フッ素系コーティング フッ素系コーティングは、シリコーン系コーティングに比べて摩耗性や滑り性が優れており、耐久性が非常に高い点が特徴です。そのため、耐摩耗性が求められる製品や部品に対して効果的です。ただし、フッ素は非常に高価な材料であるため、コストが大きな課題となります。このため、フッ素コーティングを選ぶ際には、機能性とコストのバランスを考慮することが重要です。

結論

ゴムコーティングは、基材に対して多くの機能性や保護効果を付与する重要な技術です。シリコーン系コーティングはグリップ力や絶縁性を向上させるのに適していますが、摩耗に弱いという欠点があります。一方で、フッ素系コーティングは耐摩耗性や滑り性に優れており、耐久性を求める用途に適しています。ただし、フッ素コーティングは高価なため、用途や予算に応じて最適なコーティングを選定することが求められます。