水膨張ゴムとは？不思議な特性と、その用途をご紹介します！

ものづくりプレス

2024-09-15

水膨張ゴムは、水を吸収するとその体積が増大する特性を持つゴム材料です。この特性により、主に漏水防止に優れた効果を発揮します。地下構造物やトンネルなどの建設現場では、コンクリートの打ち継ぎ部分や接合部に生じる隙間から漏水が発生しやすいため、このような場所で水膨張ゴムが用いられます。

例えば、深層シールドトンネルや地下鉄工事では、複数のコンクリート部材を組み合わせる必要があり、継ぎ目が生じます。これらの継ぎ目は漏水のリスクが高く、構造物全体の強度や耐久性を損なう原因となります。水膨張ゴムは、継ぎ目からの水の侵入を防ぎ、長期間にわたり高い止水性能を維持することができます。このため、地下コンクリート工事においては、欠かせない材料としてほとんど必ず使用されています。

水膨張ゴムの仕組み

水膨張ゴムの基本的なメカニズムは、吸水と膨張によって隙間を密閉するというシンプルなものです。以下のプロセスで機能します。

1. 吸水
水膨張ゴムは、水と接触するとその水分を吸収します。この吸水性が水膨張ゴムの鍵となる特性です。

2. 膨張
吸収した水分はゴム内部の分子構造に変化をもたらし、ゴムが膨張します。膨張の度合いは使用するゴムの種類や水の量に依存しますが、通常の体積から数倍まで膨張することが可能です。

3. 止水
膨張したゴムは、コンクリートの隙間や継ぎ目をしっかりと埋めることで、漏水を防止します。ゴムが隙間を完全に塞ぐことで、水の流入を防ぎ、構造物の耐久性を維持します。

水膨張ゴムの様々な用途

水膨張ゴムは、様々な工事現場で止水材として活用されています。以下に代表的な用途を詳しく説明します。

1. トンネル工事
シールドトンネルや地下鉄の建設では、複数のセグメント材を連結してトンネルを構築しますが、この連結部分からの漏水を防ぐために、水膨張ゴムが使用されます。ゴムが水を吸収して膨張し、隙間を埋めることで漏水を防ぎます。特に深層化が進むトンネル工事では、高水圧に耐え、長期間にわたる止水効果を発揮するため、水膨張ゴムは必須の材料です。

2. コンクリート打ち継ぎ部
地下のコンクリート工事では、部位ごとにコンクリートを打設するため、多くの継ぎ目が存在します。これらの打ち継ぎ部は水の侵入経路となりやすいため、水膨張ゴムを使用して漏水を防ぎます。結果として、構造物の強度や耐久性を長期間維持できるようになります。

3. 止水板
水膨張ゴムは、地下部のコンクリート打ち継ぎ部で使用される止水板としても広く利用されています。ゴムの膨張圧が地下水の圧力に対抗し、隙間を完全に塞ぐため、信頼性の高い止水性を提供します。

4. プレキャストコンクリート
下水道管やボックスカルバートといったプレキャストコンクリート部材の接合部分でも、水膨張ゴムが活躍します。これらの部材は現場で組み立てられますが、接合部分から漏水が発生するリスクがあるため、水膨張ゴムを使用することでそのリスクを最小限に抑えます。

5. その他の公共工事
高速道路、地下鉄、トンネルなどの公共工事においても、水膨張ゴムは不可欠です。耐久性と耐候性に優れ、長期にわたって信頼性の高い止水性を提供するため、多様なインフラ整備において採用されています。

水膨張ゴムの製品

水膨張ゴムには、使用する環境や用途に応じて様々な製品が存在します。以下に代表的な製品をいくつか紹介します。

1. アクアケルシーラー
水と接触すると体積が膨張し、目地や打継部の隙間を密閉します。特にシールドトンネル工事やコンクリート打ち継ぎ部の止水材として使用され、優れた止水性能を発揮します。

2. ベストシールEW
自己膨張圧によって目地部や打継部の隙間を完全に閉塞します。土木建築工事での止水材として広く使用されており、膨張性能が安定しているため、長期にわたる止水効果が期待できます。

3. リステンシールB・EB
コンクリートの収縮や圧力変化に対して柔軟に対応し、膨張することで止水効果を発揮します。特に、コンクリート構造物の止水材として信頼性が高く、長期間の耐久性を提供します。

これらの水膨張ゴム製品は、それぞれの特性を活かし、様々な建設プロジェクトで使用されています。使用する環境や条件に応じて最適な製品を選ぶことで、より安全かつ長持ちする構造物を実現することができます。

結論：水膨張ゴムの重要性

水膨張ゴムは、その膨張特性を活かし、漏水防止のために幅広い建設現場で使用されています。トンネル工事や地下コンクリートの打ち継ぎ部、さらにはプレキャストコンクリート部材に至るまで、水膨張ゴムは構造物の耐久性を向上させ、安全性を確保するために欠かせない材料です。各種の製品がそれぞれの用途に応じて使用されることで、より高品質な建設プロジェクトを支える役割を果たしています。