ものづくりプレス

2025-01-15

加水分解しやすいウレタンゴムとは?長持ちさせるための対策を解説

ゴム製品がベタつく原因の多くは、加水分解と呼ばれる化学反応にあります。この現象ではゴムが水分と反応し、構造が変化して劣化やベタつきを引き起こします。本記事では、加水分解の仕組みを詳しく解説し、製品の寿命を延ばすための対策について具体的にご紹介します。


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加水分解とは何か

ゴム製品がベタつく主な原因は加水分解です。加水分解とは、化学物質が水と反応し分解することで新たな化合物を生成する現象を指します。
空気中には見えない水蒸気、つまり湿気が常に存在しています。この湿気がゴム製品に影響を与え、加水分解を引き起こします。特に高湿度の環境下では反応が加速し、日本の夏や梅雨時期は特に注意が必要です。
ゴム製品の製造時に使用される可塑剤(プラスチックを柔らかくするための添加剤)は水分と反応しやすく、これが分解するとゴムの表面にベタつきが生じるのです。


ウレタンゴムの特性と構造

ウレタンゴムは、合成ゴムの柔軟性とプラスチックの硬さを兼ね備えた素材です。この弾力性を持つ高分子材料は、原料や構造を調整することで多様な特性を持たせることができます。
ウレタンゴムはその結合構造によりポリエステル系ポリエーテル系の2種類に分類されます。ポリエステル系は耐久性が高いものの、水分と反応しやすい性質を持つため、加水分解が起こりやすいとされています。一方、ポリエーテル系は加水分解に対する耐性が比較的高いですが、他の特性では劣る場合があります。用途に応じた選択が重要です。


ウレタンゴムが加水分解しやすい理由

ウレタンゴムの加水分解が進みやすい理由は、その化学的な組成にあります。
特にポリエステル系ウレタンゴムの構造である―COO―部分が水(H₂O)と反応しやすい性質を持っています。この反応によって酸(COOH)とアルコール(OH)が生成され、ゴムの劣化が進行します。これが「ウレタンゴムは耐水性が低い」と言われる理由です。
ポリエーテル系は水との反応性が低い―O―結合を持つため、加水分解に強いですが、完全に劣化を防ぐことはできません。


加水分解を防ぐ方法

1. 製品を清潔に保つ
使用後のウレタンゴム製品に汚れや水分が付着している場合は、速やかに拭き取りましょう。汚れが水分を吸収することで加水分解が進行するため、日常的な清掃が重要です。
2. 撥水スプレーで保護する
撥水スプレーを使用することで、製品表面に水をはじく膜を形成できます。この膜が水分の付着を防ぎ、加水分解のリスクを軽減します。特に屋外で使用する製品には効果的です。
3. 湿度管理を徹底する
保管場所の湿度が高いと空気中の水分が増え、劣化が進みやすくなります。風通しの良い場所で保管し、湿度を低く保つようにしましょう。
4. 乾燥材の使用
長期保管の際には乾燥材を活用しましょう。タンスやクローゼット用の乾燥材、小物にはシリカゲルなどの乾燥剤を併用することで、湿度を下げて製品を保護できます。また、乾燥剤付き保存袋を使うのも有効です。


まとめ:製品寿命を延ばすために

加水分解は完全に防ぐことは難しいものの、適切な手入れと保管によって進行を大幅に遅らせることができます。本記事で紹介した対策を参考に、大切なウレタンゴム製品を劣化から守り、長持ちさせてください。


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