ものづくりプレス

2026-10-30

PEEKの試作を依頼する前に|3Dプリントと切削を分ける5項目

耐熱性や耐薬品性が求められる用途の部品を、試作で確かめたい。材料はPEEKなどのスーパーエンプラを考えているが、3Dプリントで作るのがよいのか、切削加工で作るのがよいのか、判断がつかない。開発や設計の現場では、こうした迷いから依頼が止まることがあります。

この記事では、スーパーエンプラで試作するときに、3Dプリントと切削加工のどちらを選ぶかを決めるために、依頼の前に整理しておきたい5つの項目をお伝えします。

作成者 柴田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月30日 最終更新日 2026年10月30日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

PEEKで試作するとき、依頼の前に何を決めますか?

作り方を決めるために、使う条件、かかる荷重、形状の複雑さ、数量、試作で評価したい内容の5つを整理します。材料名だけで依頼するより、この5つが伝わっているほうが、3Dプリントか切削加工かを一緒に絞り込みやすくなります。

スーパーエンプラの試作で、使う条件の整理から荷重の確認、形状と数量の確認を経て、作り方を相談するまでを4段階で示す図 図1 PEEKの試作を、作り方の相談につなげる流れ STEP 1 使う条件 温度や薬品など 置かれる環境を書く STEP 2 荷重と評価 かかる力と、 確かめたいことを決める STEP 3 形状と数量 形の複雑さと 必要な個数を見る STEP 4 作り方を相談 3Dプリントか 切削かを絞り込む 材料名の前に、使い方を言葉にすることが出発点です。

3Dプリントで扱える材質に、スーパーエンプラが含まれる

自社ページに載っている3Dプリントの対応材質は、PLA・ABSなどの汎用樹脂、PEEK・PPS・PEIなどのスーパーエンプラ、エラストマー、シリコンです。スーパーエンプラが選択肢に入っているため、耐熱性や耐薬品性が求められる用途の試作も、まず3Dプリントで相談できます。ただし、実際に造形できるかどうかは形状や大きさによって変わるため、個別に確認します。

PEEKは、耐熱性や耐薬品性が求められる用途で選ばれる材料

PEEKは、耐熱性や耐薬品性が求められる用途で検討されることの多い材料です。依頼のときに、材料名とあわせてその理由を一言添えていただくと、代わりの材質で足りるのかどうかも含めて、話を進めやすくなります。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ FAQ(対応材質)(自社情報・2026年10月確認)。

3Dプリントと切削加工は、それぞれ何が得意ですか?

3Dプリントは形状の自由度が高く、切削加工は精度と強度・耐久性に強みがある、というのが自社ページの整理です。自社ページでは、3Dプリントは形状の自由度が高い反面、精度や耐久性に課題が残る、としています。

比べる点 3Dプリント 切削加工
精度△◎
強度・耐久性△◎
形状の自由度◎△
適した用途デザイン確認、簡易治具機能部品、機能評価、ギヤ、摺動部品、高圧部品
3Dプリントと切削加工を、形状の自由度と、精度・強度耐久性の観点で対比した図 図2 3Dプリントと切削加工の、自社ページでの位置づけ 3Dプリント 切削加工 形状の自由度が高い 内部に空洞のある形も検討できる 精度や耐久性に課題が残る デザイン確認や簡易治具向き 精度に強みがある 強度・耐久性に強みがある 形状の自由度は3Dプリントより低い 機能評価や摺動部品向き 何を優先するかで、選ぶ作り方が変わります。 出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ(2026年10月確認)

試作の目的が「形」なのか「性能」なのかで分かれる

組み付く位置や大きさを確かめたいのか、実際の使用条件に近い状態で性能を確かめたいのか。この違いが、作り方を選ぶいちばんの分かれ目になります。形の確認が目的なら3Dプリント、性能の確認が目的なら切削加工が候補に上がりやすくなります。

機能評価を目的にするなら、切削加工を並べて検討する

自社ページでは、切削加工の適した用途に、機能部品・機能評価・ギヤ・摺動部品・高圧部品を挙げています。耐熱性や耐薬品性のある材料を選ぶ理由が、実際の条件で性能を確かめることにあるなら、切削加工も候補に入れて比べる価値があります。

当社の事業内容には、プラスチック加工としてNC旋盤、フライス旋盤、彫刻が含まれています。スーパーエンプラを切削で試作できるかどうかや、材料の入手の見通しは品物ごとに変わるため、個別に確認します。

3Dプリントと切削加工の全体像は切削加工・3Dプリントのページにまとめています。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ・「会社概要」ページ(自社情報・2026年10月確認)。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

使う温度や薬品は、どのように伝えればよいですか?

分かる範囲で、温度、触れる薬品、その状態が続く時間の3つを書き出してください。材料名のご指定だけでなく、この使用条件が分かると、代わりの材質も含めた提案がしやすくなります。

温度は、使う範囲と、その状態が続く長さを分けて書く

「高温で使う」とだけ書くより、普段の温度の範囲と、一時的に上がる場面があるかを分けて書くほうが伝わります。さらに、その温度に触れ続けるのか、短い時間だけなのかも、材料を考える手がかりになります。

薬品は、名称が分かる形で控える

触れる薬品が、洗浄液なのか、溶剤なのか、ガスなのかを控えておきます。

かかる荷重と形状の複雑さは、作り方をどう分けますか?

力がかかる部品ほど切削加工が候補になりやすく、形が複雑なほど3Dプリントの自由度が活きやすくなります。両方が当てはまる場合は、どちらを優先するかを先に決めます。

形状が単純な場合から複雑な場合まで、形状の複雑さが増すほど3Dプリントの自由度が活きやすくなることを示す図 図3 形状の複雑さで、3Dプリントの活きる度合いが変わる 形が単純 形が複雑 形が複雑になるほど、3Dプリントの自由度が活きやすくなります。 力のかかる部品では、強度の面も含めて個別に検討します。 出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ(2026年10月確認)

荷重は、かかる場所と向きを図に書き込む

どこに、どの向きで、どのくらいの頻度で力がかかるのか。数値が分からなくても、図面に矢印を書き込むだけで伝わる情報は大きく変わります。

造形前に、強度の足りない所を提案してもらう

自社ページには、ゴム・樹脂のノウハウにより、造形前に強度の足りない所や、ご要望の品物をどうすれば造形できるかを提案できる、と載っています。荷重のかかる場所を先に伝えておけば、造形してから壊れて作り直す、という手戻りを減らす提案につなげやすくなります。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ FAQ(造形前の提案)(自社情報・2026年10月確認)。

数量や、確かめたい内容は、どう伝えればよいですか?

必要な個数と、試作で確かめたいことを一緒に伝えてください。数量が少なく、形の確認が中心であれば3Dプリントに、性能の確認が中心であれば切削加工に、それぞれ寄せて検討します。

複数の案を見比べたいなら、形状の自由度を活かす

形状の案が複数あり、どれを選ぶか迷っている段階では、形状の自由度が高い3Dプリントが向いています。性能の確認は、形が絞り込めた後に切削加工で行う、という二段構えにする進め方もあります。

標準の材質で足りないときは、配合の相談もできる

自社ページには、オリジナル配合のフィラメントはご使用量や物性により製造可能、ただし要問い合わせ、と載っています。標準の材質で求める物性が出ない場合は、使用量と、求める物性を添えてお問い合わせください。可否は条件によるため、個別にお答えします。

金型や量産に進む場合は、試作との違いを先に聞く

自社ページには、お客様の悩みとして、金型を作る前に形状を確認したい、開発段階で設計変更が多い、といった内容が挙げられています。試作のあとに量産を考えている場合は、試作で選んだ作り方と量産の作り方との違いを、依頼の時点で聞いておくと、試作の結果を量産の判断に結びつけやすくなります。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ・FAQ(オリジナル配合・お客様の悩み)(自社情報・2026年10月確認)。

自社の依頼は、作り方を相談できる状態ですか?

当てはまる項目が多いほど、依頼に必要な整理が進んでいない状態です。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

スーパーエンプラ試作を依頼する前の整理チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個相談に必要な整理がほぼ進んでいます。図面か3Dデータと条件をお送りいただければ、作り方の検討に入れます。
2〜3個一部が未整理です。使う条件と、試作で確かめたい内容から先に言葉にしてみてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず試作の目的と、使う場所の条件を書き出すことをおすすめします。

スーパーエンプラの3Dプリント試作について、よくいただくご質問は?

3Dプリントでの対応、作り方の選び方、条件が未定の場合、配合の相談、相見積もりについてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

PEEKで試作したいのですが、3Dプリントで作れますか?
自社ページには、3Dプリントの対応材質としてPEEK・PPS・PEIなどのスーパーエンプラが載っています。ただし、造形できるかどうかは形状や大きさ、使い方によって変わるため、図面かデータを添えてご相談ください。個別に確認します。

3Dプリントと切削加工は、どちらで試作すればよいですか?
一概には決められません。形状の自由度を優先するなら3Dプリント、精度や強度・耐久性を優先するなら切削加工、というのが自社ページの整理です。使う条件と、試作で確かめたい内容から、一緒に絞り込みます。

使う温度や薬品が、まだ正確に決まっていません。
決まっていない状態でも構いません。分かっている範囲で、どのような場所で使うか、何に触れるかをお知らせください。不明な項目は不明としたまま、確認すべき点を整理するところから始められます。

材料メーカーの標準とは違う配合のフィラメントを使いたいのですが。
自社ページには、オリジナル配合のフィラメントはご使用量や物性により製造可能、ただし要問い合わせ、と載っています。可否は条件次第のため、使用量と求める物性をお知らせいただいたうえで、個別にお答えします。

相見積もりで、3Dプリントと切削を比べても構いませんか?
相見積もりを歓迎しています。使う条件、荷重、数量、評価したい内容を同じ内容で各社に伝えていただくと、作り方の違いも含めて比べやすくなります。

依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面(または現物)、仕様・用途、数量、材料・材質の4点があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

PEEKの試作を相談する

3Dプリントにするか切削にするか、決まっていない段階でも構いません。使う条件と試作の目的をお知らせください。

見積りを依頼する

PEEKの試作を依頼する前に|3Dプリントと切削を分ける5項目

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