ものづくりプレス

2026-09-25

Oリングの材質変更を相談する|切り替え前に伝える3つの情報

今使っているOリングの材質が、実は使用条件に合っていないのではないか。あるいはコストを下げたい、規格の要求を満たしたい。理由はさまざまですが、材質変更を検討する場面は多くあります。ただし何をどう伝えれば話が進むのか、分からずに相談をためらうこともあります。

この記事では、Oリングの材質変更を相談する前に伝えておくとよい3つの情報を整理します。当社の材質選定・公差の公開情報を土台にしています。

作成者 柴田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月25日 最終更新日 2026年9月25日 本記事は2026年9月時点の情報です 読了時間 約8分

材質変更の相談は、何から始めますか?

変更したい理由、現在の材質と症状、使用条件の3つを伝えることから始まります。この3つがそろえば、候補となる材質をご提案しやすくなります。

Oリングの材質変更相談を理由の整理から候補提案まで3段階で進める流れを示す図 図1 材質変更の相談を進める3段階 STEP 1 変更理由を整理 劣化・コスト・ 規格対応など STEP 2 現状を伝える 材質と症状 使用条件 STEP 3 候補を提案 試作評価 を経て決定 3段階のうち、現状の伝え方が候補の的確さを左右します。

「変更したい理由」で、提案する候補が変わる

劣化が早いから変えたいのか、コストを下げたいのか、それとも新しい規格に対応したいのか。理由によって優先すべき性能が変わるため、最初に理由を整理していただくと話が早く進みます。複数の理由が重なっている場合は、優先順位も伝えていただくと検討がしやすくなります。

現在の材質での症状は、具体的なほど手がかりになる

硬くなって割れた、膨らんで抜けた、変色した、密封性が落ちた。こうした具体的な症状が分かれば、避けるべき条件が絞り込めます。現物調査では、寸法と硬度に加えてこうした状態も確認します。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ(現物調査での確認内容)(自社情報・2026年9月確認)。

使用条件は、どう伝えればよいですか?

温度、接触するもの、圧力、使用時間の4つです。材質変更の相談では、とくに現在の材質で問題が出ている条件を詳しく伝えていただくと、同じ問題を繰り返さない候補を選びやすくなります。

条件 確認すること 材質変更で見る点
温度常用と最高・最低現在の材質の耐熱・耐寒の限界を超えていないか
接触するもの油・薬品・水・粉じん現在の材質が苦手とする物質に触れていないか
圧力かかる範囲と方向密封性への影響
使用時間連続か断続か、年数劣化の進み方との関係

苦手な条件が分かれば、避けるべき材質も分かる

当社が公開している主要合成ゴムの特性では、材質ごとに得意・不得意が整理されています。例えばフッ素ゴムは耐熱・耐油に優れる一方で耐寒性が低く、シリコーンゴムは耐熱・耐寒に優れる一方で油や薬品への耐性は個別確認が必要です。材質同士の得意・不得意を比較したうえで検討することをおすすめします。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

材質を変更すると、寸法にどう影響しますか?

材質によって収縮率が異なるため、同じ金型を使っても仕上がりの寸法が変わることがあります。材質変更にあわせて、公差の考え方も見直す必要があります。

材質変更の際に寸法をそのまま流用した場合と公差を見直した場合の違いを対比した図 図2 寸法をそのまま流用した場合と、材質変更にあわせて見直した場合 公差を見直した 寸法をそのまま流用 収縮率の違いを反映 機能に効く部位を再確認 試作評価で確認 密封性のずれが少ない 収縮率の違いが未反映 機能部位の再確認をしていない 試作評価を省略 密封性にずれが出るおそれ 材質変更は寸法の見直しとセットで検討することをおすすめします。

機能に効く部位を、材質変更のタイミングで再確認する

相手部品と接する面や密封する部分の寸法は機能に直結します。材質が変わって硬さや弾性が変化すると、この機能に効く部位の当たり方も変わることがあります。公差の考え方はゴム部品の図面公差の考え方にまとめています。

試作での評価を挟むと、変更後の性能を確認できる

当社では量産に移る前に試作で評価する段階を置いています。材質変更の場合、以前と同じ場所が同じように機能するかを実機で確認できると、量産後の不具合を防ぎやすくなります。

出典:富士ゴム化成「ゴム・プラスチックとは」ページ(主要合成ゴムの特性)(自社情報・2026年9月確認)。

材質変更相談の情報が少ない場合と3つの情報がそろった場合とで候補提案の的確さが変わることを示す図 図3 伝える情報の詳しさで、候補提案の的確さが変わる 「材質を変えたい」だけ 理由・症状・条件がそろう 情報が詳しいほど、変更後に同じ問題を繰り返さない候補を選びやすくなる。 3つの情報は変更理由・現在の症状・使用条件です。

相見積もりでも、症状と条件をそろえて伝える

材質変更の相見積もりを取る場合も、変更理由・現在の症状・使用条件を同じ内容で各社に伝えることが比較の前提になります。材質名だけを伝えると、各社が異なる候補を提案し、比較が難しくなります。当社は相見積もりを歓迎しています。

コスト重視での変更は、性能とのバランスを見る

コストを下げる目的での材質変更では、価格の安さだけでなく、現在の使用条件を満たせるかを確認することが重要です。価格を優先しすぎて性能が不足すると、かえって早期の再交換につながることがあります。

自社の材質変更の相談準備は、どこまで整理できていますか?

当てはまる項目が多いほど、相談前に整理しておくと的確な候補提案が受けられます。下のチェックは診断ではなく、3つの情報のどこが未整理かを確かめるための整理です。個人情報の入力はありません。

材質変更相談の準備チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個相談の準備が整っています。見積り依頼に進めます。
2〜3個一部が未整理です。変更理由の整理から始めてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず現在の材質での症状を書き出すことをおすすめします。

複数箇所で同時に材質変更を検討する場合

設備内の複数箇所で同じ材質のOリングを使っている場合、まとめて見直す機会にもなります。箇所ごとに使用条件が異なることもあるため、それぞれの温度・接触するもの・圧力・使用時間を分けて整理してください。すべて同じ材質に統一できるとは限らず、箇所によって候補が変わることもあります。優先順位をつけて、機能への影響が大きい箇所から順に検討することをおすすめします。

Oリングの材質変更について、よくいただくご質問は?

寸法への影響、理由を伝える必要性、症状の伝え方、機能への影響、変更後の発注についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。個別の品物については、現品か図面を見たうえでお答えしています。

過去に使った材質の履歴も、参考になる

過去に別の材質を試したことがあれば、その結果も伝えてください。うまくいかなかった材質が分かれば、同じ轍を踏まない候補を優先的にご提案できます。試した時期が分かれば、なお参考になります。

材質を変更したいが、寸法は同じままでよいですか?
材質によって収縮率が異なるため、寸法をそのまま流用できるとは限りません。公差は品物ごとに決めていく必要があるため、現在の寸法と使用条件をあわせてご相談ください。

なぜ材質を変更したいのかを伝える必要がありますか?
あります。劣化が早い、コストを下げたい、規格を満たしたいなど、変更の理由によって提案する候補が変わります。理由を伝えていただくと、的確な候補をご提案しやすくなります。

現在の材質で困っている症状を伝えればよいですか?
はい。硬くなって割れた、膨らんで抜けた、変色したなど、具体的な症状が分かれば、避けるべき条件が見え、新しい材質の候補を絞り込めます。

材質を変えると、機能に影響が出ることはありますか?
あります。硬さや弾性が変わることで、密封性や相手部品との当たり方に影響することがあります。試作での評価を挟むことをおすすめします。

変更後、以前と同じ寸法で発注し直せますか?
材質の変更にあわせて公差を見直すことをおすすめします。同じ寸法のまま材質だけ変えると、収縮率の違いで仕上がりが変わることがあります。

相談するとき、何をそろえればよいですか?

変更理由、現在の材質と症状、使用条件があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

材料の選び方と寸法表を先に確認する

SF-JOINT総合カタログ・施工要領・Oリング寸法表などの資料をご用意しています。会社名とご連絡先のご入力でダウンロードいただけます。

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