ものづくりプレス

2026-10-10

パッキンを切削加工で試作する|金型を作らずに進める4点

新しいパッキンの形状を試したいが、金型を作ってからでないと試作できないと思っていた。金型費と納期がネックになり、検討が進まないという声をよく聞きます。

この記事では、パッキンを切削加工で試作するときに押さえる4点を整理します。当社の切削加工・3Dプリントの公開情報を土台にしています。

作成者 久保(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月10日 最終更新日 2026年10月10日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

パッキンは、金型を作らずに試作できますか?

できます。切削加工はゴムシートやブロックから削り出す方法で、金型を使いません。形状によって工具が届くかどうかで、対応できる範囲が決まります。金型費と納期をかけずに、まず形を確かめたいときの選択肢になります。

当社の公開情報では、切削加工について解説しています。

ゴムに関しては、切削のほうが材料の選択肢が多くなるとしています。

工具が届く形状かどうかが、最初の判断基準

切削加工は刃物やエンドミルで削り出すため、内部に入り組んだ形状や、深い溝の奥までは加工しづらいことがあります。図面や現品を見て、工具が届く範囲かどうかをまず確認します。

出典:富士ゴム化成「切削加工・3Dプリント」ページ(材料の選択肢・工具が届く形状)(自社情報・2026年10月確認)。

切削加工で試作するときに押さえる4点は、何ですか?

形状が工具の届く範囲か、材質の候補、数量、そして量産時の工法の4つです。この4点を先に整理しておくと、試作の進め方を具体的に検討しやすくなります。

確認点 内容 理由
形状工具が届く範囲か内部形状や深い溝は加工が難しいことがある
材質の候補使用条件から絞る切削に適した材料かどうかも影響する
数量試作数と量産見込み金型成形との比較に使う
量産時の工法切削のまま量産か金型成形か数量と形状で判断が変わる

材質は、使用条件から候補を絞る

接触するもの、温度、圧力、使用時間の4条件から材質の候補を絞り込みます。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

試作から量産までは、どう進みますか?

形状確認、材質の検討、切削加工での試作、実機評価の4段階です。金型を作らない分、試作のサイクルを早く回せます。

パッキンを切削加工で試作する流れを4段階で示す図 図1 パッキン切削加工試作の4段階 STEP 1 形状を確認 工具が届く 範囲かを判断 STEP 2 材質を検討 使用条件から 候補を絞る STEP 3 切削加工で試作 金型を作らず 削り出す STEP 4 実機で評価 密封性能等を 確認 金型を作らない分、試作のサイクルを早く回せます。

量産が見えてきたら、工法を再検討する

試作段階で切削加工を使っていても、量産の数量が増える場合は金型成形との比較が必要になります。数量によって1個あたりの費用の見え方が変わるため、年間見込みが分かればお伝えください。

打ち抜き加工という選択肢もある

シート状のパッキンであれば、型を使ってシートから抜く打ち抜き加工という方法もあります。形状や数量に応じて、切削加工と打ち抜き加工のどちらが向くかをご提案します。

出典:富士ゴム化成「金型を作る前に形状確認する方法」ページ(金型を使わない試作の進め方)(自社情報・2026年10月確認)。

密封性能は、試作の段階で確認できますか?

実機に取り付けて評価する段階で確認します。切削加工の試作品は成形品と成り立ちが異なるため、量産での最終判断は使用条件を踏まえて検討します。

金型を作った場合と切削加工で試作した場合の違いを対比した図 図2 金型を作った場合と、切削加工で試作した場合 切削加工で試作 先に金型を作る 金型費がかからない 短期間で形状を確認 少量での検討がしやすい 量産は別途工法を検討 量産と同じ成り立ち 金型費と納期がかかる 形状変更のたびに金型修正 数量が多いほど単価が下がる どちらが向くかは、試作の目的と数量によって変わります。 数量が少ない場合と多い場合とで切削加工と金型成形のどちらが向くかを示す図 図3 数量で、適した工法が変わる 少量 継続量産 少量なら切削加工から。継続して使うなら金型成形のほうが1個あたりを抑えられる。 分かれ目は形状と年間数量によって変わります。数量計画をうかがったうえでご提案します。

複数の形状候補を比較したい場合にも向く

形状の候補が複数あり、どれが機能するか比較したい場合、金型を複数作るのは現実的ではありません。切削加工であれば、候補ごとに試作して比較する進め方がしやすくなります。

形状変更が多い段階では、切削加工が向く

設計変更が見込まれる段階で金型を作ると、変更のたびに金型を直す費用と時間がかかります。形が固まっていない段階では、切削加工で試作を重ねたほうが手戻りを抑えられます。

同じ設備が社内に複数あれば、まとめて数える

1個ずつ考えると数量が少なく割高になりますが、同じパッキンを使う設備が社内に複数あれば、まとめて数量を出すことで検討が現実的になります。予備も含めて、使用箇所を洗い出してみてください。

段階的に進めたい場合も、相談できる

いきなり量産工法を決めるのではなく、まず切削加工で形状を確認してから金型成形に進めたいというご相談にも対応しています。試作の段階で評価した条件は、そのまま量産の検査基準に引き継げます。

相見積もりでも、形状と数量をそろえて出す

複数社に相談する場合、形状(または現品)と数量を同じ内容で各社に伝えることが比較の前提になります。当社は相見積もりを歓迎しています。

試作の目的を伝えると、提案がより具体的になる

形状を確認したいだけなのか、密封性能まで評価したいのかによって、提案する試作の進め方が変わります。目的をお伝えいただくと、必要な確認項目をご提案できます。

過去の不具合は、材質選びの材料になる

前のパッキンが硬化して漏れた、膨潤して機能しなくなったという情報があれば、次の材質選びに反映できます。思い出せる範囲で構いません。

設置環境も、材質選びに影響する

屋外に設置されるパッキンは紫外線やオゾンの影響を受け、屋内でも油や薬品に触れる環境では求められる耐性が変わります。設置場所と周辺環境をお伝えいただくと、材質の検討がより具体的になります。

工場視察や監査で、試作の様子を確認できる

当社では必要に応じて工場視察や監査に対応しています。切削加工の様子や検査体制を現地でご確認いただくことも可能です。

自社のパッキン試作は、どこまで準備できていますか?

当てはまる項目が多いほど、依頼前に整理しておくと検討がスムーズになります。下のチェックは診断ではなく、4つの確認点のどれが未整理かを確かめるための整理です。個人情報の入力はありません。

パッキン切削加工試作の準備チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個準備が整っています。現品か図面を送っていただければ検討に入れます。
2〜3個一部が未整理です。形状と使用条件の確認から始めてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず試作の目的を明確にすることをおすすめします。

パッキンの切削加工試作について、よくいただくご質問は?

成形品との性能差、複雑形状の可否、打ち抜き加工との違い、少量対応、量産への移行についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

切削加工のパッキンは、成形品と同じ性能になりますか?
切削加工はゴムシートやブロックから削り出すため、成形品とは成り立ちが異なります。試作段階での機能確認には使えますが、量産での最終判断は使用条件を踏まえて検討します。

複雑な断面形状のパッキンでも、切削加工で試作できますか?
形状によります。工具が届く範囲であれば対応できますが、複雑な内部形状は難しいことがあります。現品や図面を見たうえで可否をお答えします。

切削加工と打ち抜き加工は、何が違いますか?
打ち抜き加工は型を使ってシートから抜く方法、切削加工は刃物で削り出す方法です。形状や数量によって向き不向きが変わります。

1個だけの試作でも対応してもらえますか?
多品種少量生産を得意としており、1点からのご相談も承っています。

切削加工で試作したパッキンを、そのまま量産できますか?
数量や形状によっては切削加工のまま量産することもできますが、数量が増える場合は金型成形との比較をおすすめしています。

見積りを依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面(または現品)、使用条件、必要数量があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

パッキンの切削加工試作を相談する

形状が固まっていない段階でも構いません。試作の目的をお知らせいただければ、進め方をご提案します。

見積りを依頼する

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