ものづくりプレス
2023-08-31
切削加工とは?主な種類とメリット・デメリット
切削加工は製造現場での工作作業で用いられるポピュラーな加工方法です。金属だけでなくゴム加工にも用いられます。しかし一言に切削加工と言ってもさまざまな手法が存在するため、金属やゴム加工への導入を検討している場合は、事前に切削加工について理解しておきましょう。
切削加工とは
切削加工とは刃やそのほかの鋭利なものなどによって工作対象物を削ったり切断したりすることで、目的の寸法や形状に仕上げていく加工方法です。主に「切削工具」を用います。
切削用の機械を用いた加工が主流になりつつあるものの、職人の作業による地道な加工も依然としてニーズがあります。
主に金属の加工に用いられるイメージが強いですが、ゴムの加工においても使われる手法です。ゴムは種類によって、ゴルフボール並の硬さから人肌ほどの柔らかさまでの硬度が存在します。硬度に応じた切削加工が必要です。
切削加工の種類
切削加工には「フライス加工」「旋盤加工」「職人の手作業」などの種類があります。それぞれの詳細をみていきましょう。
フライス加工
フライス加工とは、「フライス」と呼ばれる専用の切削工具を用いた加工方法です。フライスは円筒や円板の外周に多数の切れ刃を持っている工具で、機械に取り付けた後に高速回転させて当てることで金属やゴムを加工します。工作対象物に負けないよう、超硬合金やセラミックなどの堅い金属で作られているのが特徴です。
回転軸を持つ「フライス盤」と呼ばれる工具にフライスを取り付けて加工を行います。取り付けた形状によって平面の削りや曲面加工、穴あけ、溝掘りなどが可能です。フライスの主な種類は次のとおりです。
フライスの種類 |
概要 |
平フライス(フェイスミル) |
円筒の外周に切れ刃を持つギアのような形状で、平面を切削するために用いられる |
側フライス |
外周面と両端面に切れ刃を持つカッターのような形状で、溝やスリ割の加工に用いられる |
溝フライス |
外周のみに切れ刃がある円盤状で、溝の加工に用いられる |
正面フライス |
工具の円周上に複数の切れ刃を持った形状で、平面を効率よく加工できる |
エンドミル |
外周や端面に切れ刃を持つドリルのような形状を持つフライスの一種で、穴を削り広げるために用いられる |
作業者が手動で刃や工作対象物の位置・削り量を決める汎用フライスや、コンピュータで加工条件を設定し制御を行うNCフライスがあります。NCフライスではCAD/CAMを用いた複雑な加工にも対応可能です。
旋盤加工
旋盤加工とは「旋盤」とよばれる工作機械に工作対象物をセットし、工作対象物を高速で回転させた後に「バイト」と呼ばれる刃を当てて加工を行う方法です。刃側が回転するフライス盤とは回転する対称が異なります。
製品の外径や内径の寸法がフライス加工より出しやすいのが特徴です。その特徴から、丸棒の加工や円状の加工を左右均等に仕上げることを得意としています。
旋盤加工の主な加工方法は次のとおりです。
旋盤加工の加工方法 |
|
外丸削り |
工作対象物を外側から切削工具で削る基本的な加工方法 |
テーパー削り |
鉛筆のように斜めに細くなるような加工を施す加工方法 |
端面削り |
工作対象物の先端を平面に削る加工方法 |
中ぐり加工 |
工作対象物に穴を開けその穴を広げていく加工方法 |
突切り |
工作対象物の外径に刃を入れて溝を切り出したり切断したりする加工方法 |
フライスと同じく、旋盤にもさまざまな種類があります。
・汎用旋盤: 作業者が手動で工作を行うタイプ
・NC旋盤: 加工条件をコンピュータで指定するタイプ
・卓上旋盤: ベンチレースとも呼ばれる汎用旋盤より小規模の加工を得意とするタイプ
・タレット旋盤: タレット式の刃物台を持っているタイプ
など
また使用するバイトにも種類があり、片側に刃が寄ったものやねじ切りと得意とするもの、穴をくり抜くのに特化したものなどがあります。旋盤や加工目的に合ったものを選択しましょう。
職人の手加工
フライスや旋盤などでは対応できない複雑かつ細かい仕事は、職人の熟練のスキルを用いた手加工で対応することもあります。
大量生産は難しいものの、顧客の目的に応じた品質高いオーダーメイドの加工が可能です。逆に「少数、もしくは1つだけでよい」という場合は、手加工のほうがコストや精度的にも向いています。
とくにゴム材質の切削は素材に弾力がある分、切削に高い技術を要する切削です。難しい加工であればあるほど、職人の手加工のほうが柔軟に対応できるでしょう。
切削加工と研削加工の違い
まず研削加工とは、砥石などを用いて少しずつ削って「表面をきれいに仕上げる」ことを主な目的とした加工です。いわゆるヤスリがけのイメージが近くなります。
例えば切削加工によって大筋加工した工作対象物は、バリや凹凸が発生しているためそのままでは製品として使うのが難しいです。しかしフライスや旋盤での切削加工で削り取ろうと思っても、削りすぎて寸法が合わなくなったりきれいに仕上げるのが困難だったりなどが考えられます。そこで表面を滑らかに仕上げられる研削加工を施します。
研削加工は高速回転している砥石を表面に押し付け、少しずつ削り取る精密加工です。砥石は微細な硬質粒子によって作られており、非常に小さな除去を実現できるため、切り屑がほぼ発生しません。大幅な削りには向いていませんが、表面処理には最適な加工方法なのです。
このように大まかに言えば研削加工は切削加工の一種ですが、仕事の性能や目的が異なります。
ゴム切削加工のメリット
ゴム切削加工のメリットは、成型する金型を製作する必要がない点です。
一般的には、ゴム板から切削加工し形状化して行きますが、特大なものや極小のものを除けば、大体のものは形状化が可能です。試作品を製造する前に、実際に形状化して製品の具合を確認したい等のご要望があれば、先ず切削加工で製作してみるという方法もあります。
また、金型で製造する製品には、厳密に言うと、収縮などにより寸法にバラツキが発生します。金型では出せない寸法公差も、切削加工であれば実現可能です。ゴムの切削加工は、その柔軟性により、通常の寸法公差は±0.3~0.5程度となりますが、±0.1も実現可能な業者もあります。
ゴム切削加工のデメリット
ゴム切削加工のデメリットは、定形金型がないことによる連続生産が難しかったり、ひとつあたりの単価が高くなったりが挙げられます。 また前述のとおりゴム加工はその弾力のせいで難易度が高いため、熟練の腕を持つ職人でなければ加工が困難です。薄肉の加工やジャバラ状の加工の場合は、信頼のおける職人への依頼が必要となるでしょう。
切削加工を理解して適切なゴム加工を実現しよう
切削加工は金属だけでなく、ゴムの加工にもよく用いられる手法です。フライスを用いた加工や旋盤加工などの機械的切削から、職人による手作業までさまざまな切削加工の方法があります。また研削加工であれば、きれいな表面仕上げを施すことも可能です。
もし製造関係の問題をお持ちであれば、一度ゴムの切削加工によって作成した試作や試作を用いたシミュレーションなどを検討してみてはいかがでしょうか。
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