ものづくりプレス

2023-08-31

多硫化ゴムとは?耐候性の高い合成ゴムの特徴と用途

合成ゴムのなかでも歴史の古い多硫化ゴムは、道路の目地や複層ガラスのシール材をはじめとする用途で使用されています。耐油性や耐オゾン性などのすぐれた性質がある一方、独特の臭いがあるため用途は限られます。多硫化ゴムは、性質をよく知り適した用途に用いるのが重要です。

この記事では多流加ゴムの概要に加えて、特徴や用途について解説しています。多硫化ゴムを含めた合成ゴム製品製作を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

多硫化ゴムとは?

多硫化ゴム(T)とは

多流加ゴムとは、合成ゴムの一種です。有機二塩化化合物と多硫化アルカリを反応させて作られます。商品名「チオコール」の名でも呼ばれています。「チオコール」は硫黄と接着剤を意味するギリシャ語が由来です。

多流加ゴムは、金属酸化物、過酸化物で加硫することができます。ゴムの比重は1.34~1.41、主鎖にチオエーテル基と硫黄を含んでいるため独特の臭いがあるのが特徴です。多流加ゴムには黄色から褐色の色味を持つ固体をはじめ、液状、ラテックス状のものがあり、さまざまなグレードで分けられています。


多硫化ゴムの特徴

多硫化ゴムには、以下の特徴があります。



多流加ゴムのメリット

多流加ゴムのデメリット

·         耐油性がある

·         耐薬性がある

·         耐溶剤性がある

·         耐老化性がある

·         耐オゾン性がある

·         耐候性がある

·         耐コロナ性がある

·         ガス透過性が低い

·         塵などが付着しづらい

·         有機酸に弱い

·         高濃度の無機酸に弱い

·         独特の異臭を放つ

·         機械的性質が低い

·         耐寒性が低い

·         耐熱性が低い

·         弾性が低い

多流化ゴムは、合成ゴムのなかでも耐油性、耐溶剤性がとくにすぐれています。多硫化ゴムのなかでも、チオコールタイプのものは膨潤度も小さいです。また、耐オゾン性や耐コロナ性をはじめとした耐候性にすぐれているため、屋外での使用にも向いています。ほこりなどがつかない、耐老化性にすぐれているのもメリットです。


一方、耐寒性や耐熱性が低いため屋外でも限られた場所でのみ使用される、機械的性能、弾性が低くひずみやすいため加工性が悪いデメリットがあります。有機酸や無機酸に弱く、異臭があるため、シールパッキンなどの臭い移りが気になる用途では使用できません。

多硫化ゴムは極端の性能を持つ合成ゴムです。ただし、耐油性や耐溶剤性をはじめとしたすぐれた性質を活かせば、ほかの合成ゴム以上の性能を発揮する用途に活用できます。次に、多流加ゴムが具体的にどのような用途で使われているかを解説します。


多硫化ゴムの用途

多硫化ゴムは耐油性、耐溶剤性、耐候性、耐老化性、ガス透過率の低さなどを活かして以下の用途で使用されています。

·    油類用のホース

·    印刷用ロール

·    複層ガラス

·    道路目地用シール材

·    塗料

·    接着剤

·    型取り用ゴム


各種耐性を活かし、ガソリンスタンドの送油用のホースをはじめとした、油類を使用する場所でのホースの原料として使われています。また、建築資材の接着剤や、弾性シーラント、コーキング材、油にふれるパッキンなど、工業用ゴム製品の原料にも、多硫化ゴムは多く用いられています。


異臭

硫黄が元になっている独特の異臭により、ゴム加工品の用途としての多硫化ゴムはイメージしにくいかもしれません。一方で、油や溶剤、オゾンや汚れには強いという性質は見逃せないところです。


多硫化ゴムは耐油性や耐溶剤性、耐候性の高い合成ゴム

多硫化ゴムは合成ゴムのなかでももっとも歴史の古いゴムとして、主に工業用製品の用途で使われてきた歴史があります。

独特の異臭により異臭、限られた用途にはなりますが、耐油性や耐溶剤性、耐候性の高さを活用したい、油を使う場所での利用を中心とした加工品はたくさんあります。多硫化ゴムを使用した製品の製作や製造を検討しているときにも、ぜひお気軽にご相談ください。