ものづくりプレス

2024-01-10

シルク印刷とは

紙をはじめとした多くの素材に印刷ができるシルク印刷。

平面だけでなく曲面にも印刷ができるため、ニーズが高く、大量生産に向いている方法と言えます。

このシルク印刷の概要や特徴、シルク印刷とオフセット印刷の違いなどについて、この記事で解説します。

シルク印刷

シルク印刷(シルクスクリーン印刷)とは

シルク印刷は、孔(あな)のあいた「スクリーン」と呼ばれる版にインクを擦り付けて印刷する、孔版(こうはん)印刷の一種です。 孔の部分にだけインクが通過する仕組みで、基本的に1色につき1枚の版を使用し、必要な色を重ねていきます。  


かつては絹(シルク)製のスクリーンが主流だったことから、このように呼ばれていますが、現在ではナイロン、テトロン、ポリエステル、ステンレス鋼製のスクリーンも使用され、これらも含めてスクリーン印刷とも呼んでいます。  


シルク印刷は一般的に、以下の手順で行なわれます。  


1. 印刷する文字や絵のフィルムを作成

2. フィルムを樹脂などに焼き付けてスクリーンを作成

3.スクリーンを枠に固定

4.印刷に最適なインクを調合

5.被写体となる素材を洗浄

6.枠にインクを入れ、ヘラでスクリーン上部を押しつけながら移動させる

7.インクがスクリーンの目を通過して、版の下の素材に印刷される

8.一定時間加熱して、インクを焼き付ける  


多色刷りの場合は、色ごとに6~8の工程を繰り返します。

シルク印刷のメリット

シルク印刷には、以下のメリットがあります。  


・大量生産向き

・厚塗りが可能

・素材や面の形状を選ばずに印刷が可能  


スクリーンは1色につき1枚必要で、使用する色の分だけ製作しなければなりません。しかし1度作成すれば何度でも使用できるため、大量印刷向けの方法と言えます。  


また、シルク印刷は使用するインク量が多く、下地の印刷を完全に上塗りすることもできます。  


さらに、特殊インクを使えば、盛り上がるような効果やさまざまな機能性を持たせることも可能なことから、インパクトのあるデザインに仕上げたいときにも向いています。

シルク印刷のデメリット

シルク印刷の主なデメリットは、以下のとおりです。  


・少数生産に不向き

・印刷に時間がかかる        

・一部不向きな素材がある

・多色の場合、色ごとに版を作る必要がある

・場合により、位置決めの治具が必要

・グラデーションやぼかしの表現は不可  


複数の版板(スクリーン)の製作が必要となった場合、その分のコストと製作日数に加え、単色刷りよりも印刷と乾燥に時間がかかる点も考慮して検討してください。

シルク印刷で印刷できるできるもの

紙、金属、樹脂など、幅広い種類の素材やさまざまな形状の物質に印刷ができるのが、シルク印刷の特徴です。その主な例を以下に挙げます。  


▼シルク印刷ができる素材

・紙

・布

・ガラス

・プラスチック

・合成樹脂

・金属

・陶磁器

・食品(キャンディ、チョコレートなど) など  


▼シルク印刷ができる形状

・平面

・曲面

・円筒形

・円錐形 など  


▼シルク印刷が用いられている商品

・ポケットファイル

・衣料

・スクラッチの銀部分

・車のリアウィンドウのヒーター

・精密機械

・工業機械部品

・食品の絵柄

・案内板、黒板 など  


ただし、インクの定着率が悪い合成ゴム、シリコン、フッ素樹脂などの一部素材に対しては、シルク印刷は不向きです。

シルク印刷とオフセット印刷の違い

プリンターなどを使用して行うオフセット印刷は、一度の印刷で複数のインクが使用できる印刷方法です。  


シルク印刷よりも早い時間で印刷できる一方で、紙以外の素材や厚みのある素材には不向きといったデメリットがあります。  


シルク印刷とオフセット印刷の特徴を比較したものが以下の表です。


【シルク印刷とオフセット印刷の比較】


 


シルク印刷

オフセット印刷

使用するインク量

1回につき1

1回につき複数

印刷スピード

遅い

早い

版板

必要

必要

大量生産

向き

向き

少数生産

不向き

やや不向き

印刷できる素材

一部を除いてほとんどに印刷可

紙以外は不向き

印刷できる形状

曲面、円筒形などにも可

平面のみ

厚塗り

できる

できない

いずれの印刷方法も、それぞれにメリットとデメリット、向き不向きがあります。印刷の用途や素材によって適切な印刷方法を選びましょう。

多様な製品への印刷が可能なシルク印刷

シルク印刷について解説しました。

この方法の最大の特徴は、印刷できる対象の素材や形状の幅広さです。  


例えばオフセット印刷では難しい場合でも、シルク印刷であれば実現できる可能性が高くなります。しかし残念ながら、シルク印刷は万能な印刷方法ではなく、デメリットも伴います。  


以上を踏まえた上で、生産量や製造品に合わせ、最適な印刷方法を選びましょう。

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