ものづくりプレス
2023-12-14
ゴム成形の種類と納品されるまでの4つの工程
ゴムから製品や部品を製造するときに行なうのが、ゴム成形です。
その方法にはいろいろな種類があり、使用する材料や製品に合わせて選びます。
また成形前にはゴム材料の練り合わせ、成形後にはバリ取りや検品など、完成までにはいくつかの工程が必要です。
この記事ではゴム成形方法の種類と特徴を踏まえ、それぞれの工程について解説します。
これからゴム製品の製造や試作、量産を検討する際に参考にしてください。
ゴム成形の種類
ゴム成形には、金型を使用する方法と、金型を使用せずにゴム材料を直接加工する方法があります。
主なゴム成形方法は以下のとおりです。
■圧縮(コンプレッション)成形
ゴム原料を金型中にセットし、さらに熱と圧力を加えて成形する方法です。
ゴム成形の中では一般的な方法で、金型代なども比較的安価です。
■圧入(トランスファー)成形
基本的にはコンプレッション成形と同様ですが、金型上部のポットと呼ばれる空間に入れたゴム原料を上からプレスしてキャビティ(金型のくぼみ部)内に注入し、成形する方法です。
圧縮成形がキャビティ内に原料を直接セットするのに対し、圧入成形ではポットに原料をセットし、キャビティ内に繋がるゲートを介して注入します。そのため圧縮による表面の変量が起こりにくく、寸法精度の高い製品の製作が可能です。
デメリットとしては、金型の製作費が高く、またポット内に材料が残ってしまうため材料費が上がってしまうことが挙げられます。
■射出(インジェクション)成形
加熱・溶融した未加硫のゴム原料を、あらかじめ加硫温度に調整した金型のキャビティに加圧して注入する成形方法です。その際、注射器のようなイメージで原料を金型に供給するため、射出(インジェクション)成形と呼ばれています。
短時間で大量に生産できる反面、金型や設備などの初期費用が高価です。
■押出成形
押出機で押し出したゴム原料を、常温下でオーブン内を通過して加硫し、成形する方法です。
パイプやチューブなど一定の断面形状を持つ長尺ものや、シート状のゴム製品に向いています。
ゴム成形の工程
ゴム製品の完成までは、以下の工程で進められます。
・練り加工
・ゴムの成形(加硫)
・仕上げ、検品(品質検査)
・納品
それぞれの工程について解説します。
◇工程1:練り加工
原料である合成ゴム生材料は粘土のような手触りであり、このままでは弾性のあるゴムにはなりません。
そのため、架橋剤や機能を付与する充填剤を加えて練り加工を施すことで、ゴムの成形材料となります。
ゴム練り加工の主な手順は以下のとおりです。
①素練り
ゴム材料をそのまま機械で練ってゴムの分子鎖を切断します。
これによりゴム材料が軟らかくなることで、後の工程で加えられる添加剤などの薬品が均一に行きわたりやすくなるほか、金型に流し込みやすくなるなどの効果が生まれます。
②ゴム材料に加硫剤などを加え、錬ニーダー機やロール機で練り合わせる(混練)
ゴム材料に加硫剤や添加剤などを加え、練り込む工程です。
材料とこれらの薬品の配合バランスがゴム成形品の品質や特性に影響するため、重要な作業です。
着色したゴム加工品を製造する場合には、この段階で顔料を追加して色味を調整します。
③成形に適した形状にする
練り合わされたゴム材料は、ロール機からシートの形状になって出てきます。
つくりたい製品に合わせた厚みに整えた後、金型や構造に合う大きさに切断します。
◇工程2:ゴムの成形
練り合わせて完成したゴム材料を使い、成形を行ないます。
ゴム成形には金型を使う方法と、金型を使わずゴムを直接加工する方法があります。
圧縮(コンプレッション)成形などの金型を使用した成形の場合は、以下の手順で工程を進めます。
①金型を予熱する
既存の金型を使わない場合には、新しく金型の製作から入ります。
製作した金型、または倉庫などで保管してあった金型に離型剤を塗布した後に、あらかじめ熱を加えておきます。
②金型にゴム材料を入れる
金型が既定の温度に達したら、金型にゴム材料を入れます。
例えば圧縮(コンプレッション)成形の場合では、主に短冊状のゴム材料を金型の下型に装填する、またはポットからからプレス圧力によってゴム原料を金型に充填します(圧入成形)。
③金型に圧力をかける
金型にゴム材料を入れたら加熱し、圧力をかけて成形します。
圧力をかけて加硫することで、圧力をかけない場合と比べてゴムの物性がよくなります。
④成形が終わったら金型を外す
成形が終わったゴム成形品は、バリが付いている状態で取り出されます。
取り外した金型は、清掃した後に錆抑制の処置をして倉庫などで保管します。
ゴム加工品によっては、複数の方法を組み合わせる場合もあります。
▼ゴムのバリ取り
金型を使用してゴム成形を行なうと、不要な出っ張りであるバリが発生します。
この状態のままでは寸法違いを引き起こすだけでなく、見た目の悪さや本来のゴム製品としての性能も発揮できません。
そのため、ゴム成形の工程の中では、バリ取りも重要な作業のひとつです。
ゴムのバリ取りは、一般的にはハサミ、ニッパ、カッターナイフなどを使用し、ひとつひとつていねいに手作業で除去していきます。
このほか、空圧や水圧、液体窒素などを利用してバリを除去する、自動バリ取り機などを使用することもあります。
バリ取り作業を短時間かつ効率的に行なえますが、製品形状によっては表面を傷つけてしまう場合があります。
◇工程3:検品(品質検査)
完成したゴム加工品をチェックするための工程が、検品(品質検査)です。
外観や品質上の異常がないか、図面寸法に合っているかなどを検査していきます。
検査方法には、すべての製品を対象とした「全数検査」と、ロットの中から無作為に選んだ製品を検査する「抜き取り検査」の2種類の方法があり、どちらを選択するかは、製品の生産数や用途、品質基準などによって決まります。
以下は検品の流れの一例です。実際の検査は、製品や工場ごとに異なります。
1次検査:製品シート検査
バリ取りをする前の状態で1次検査を行ないます。
目視で製品を確認し、異物混入や外観不良などがある場合は取り除きます。
1次検査を通過した製品は、バリ取り工程に進みます。
2次検査:目視検査
バリ取りが終わったゴム加工品を、目視で確認するのが2次検査です。
ここでは主に外観をチェックします。問題のない製品はすべて外観良品として認められ、3次検査に進みます。
3次検査:抜き取り/全数検査
最終検査にあたる3次検査では、お客様の要求に則って確認します。
主に図面寸法の重要箇所などを検査します。
Oリングなどの特定の形状・製品においては、現在では検査の装置やシステムの自動化が進み、手作業と比較してより正確で効率的な検品が可能になってきています。
しかし依然として、検品は集中力が必要とされる重要な作業であることには変わりありません。
◇工程4:納品
すべての成形・加工・検査工程を経て、基準をクリアした製品をお客様にお届けします。
ゴム製品づくりはプロに相談を
ゴム製品が完成するまでの、一般的な流れについて説明してきました。
これらの工程について充分な理解と知識を持つ業者に依頼することが、高い品質の製品づくりにつながります。
ゴム製品づくりに関するご相談は、豊富な知識と経験を持つ当社に、以下のお問合せフォームからお気軽にご相談ください。
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