ものづくりプレス

2023-12-12

ゴムにおけるブラスト加工

細かい粒を吹き付け、ワークの表面にさまざまな加工を施すブラスト加工。金属やプラスチック、木材など幅広い素材に対して行なうことができ、ゴムにおいては成形の際の金型などに使用することで、品質の向上にも貢献する加工でもあります。
この記事では、ゴム製品におけるブラスト加工について解説します。

ゴムにおけるブラスト加工

ブラスト加工とは

ブラスト加工とは、素材に硅砂やアルミナ、ガラスビーズなどの比重の小さい研磨剤を吹き付け、ワークの表面を加工する方法です。


吹き付けに空気を使用した場合はエアーブラスト、機械で投射剤などの粒体を吹き付ける加工はショットブラストと言います。また研磨剤の種類によりビーズブラストやサンドブラストなどと呼ばれることもあります。


ブラスト加工ではワーク表面の粗面化、削り、除去、研磨、強化などができ、具体的には、バリ取り、製品表面の装飾、ツヤ出し・消し、サビ取り、塗装剥離、保油性保持、反射や汚れ防止、すべり止め、傷隠しなど多様な加工が可能です。


吹き付けの際の圧力や、使用する研磨剤の量や距離、材質、形状などにより効果が異なるのが特徴です。

ゴムにおけるブラスト加工の用途

素材の性質上、ゴム製品に直接行なうブラスト加工は限定的ですが、優れた製品づくりのために、ゴムにおけるブラスト加工は主に以下のような目的で用いられます。

◇バリ取り

ゴムは、温度が高い状況下では弾性も上昇するため、ブラストでゴムのバリ取りをする場合はマイナスまで温度を下げて硬化させ、バリを脆化させた状態で行ないます。


しかし硬化しすぎると、ブラスト時間や使用する粒子によりゴム製品を傷つけたり、クラックを発生させたりすることもあるため、これらのバランスを見極めることが重要です。

◇梨地加工

ブラストにより、「梨地」と呼ばれるザラザラした表面に仕上げることができます。
外観の向上、滑り止め、光沢の付与などの目的で主に使用されます。


研磨剤の粒子の種類や大きさなどを変えることで、細かさや凹凸の程度の調整ができます。


▼ゴム製品表面の効果や機能の付与

ゴムの成形に使用する金型に梨地加工を施すことで、ゴム成形品の表面にザラザラした質感を与えることができます。


▼生産性の向上

金型への梨地加工は、ゴムの離型性の向上に有用なだけでなく、金型にゴムのカスや離型剤が残りにくくなるなどの効果もあります。このほか、金型の上下で粗さを変えることで、泣き別れを防ぐことも可能です。


▼不良品の減少

梨地によりゴム製品表面の乱反射が減り、検査の正確性が上がります。ほかにも、ゴム製品同士の付着防止可能にも有用です。

◇金型のクリーニング

金型に付着したゴムかす、離型剤、アクなどを落とす目的でもブラストが用いられます。
薬品を使わないため、環境への負担が少ないクリーニングができるのもメリットです。


このほか、ゴム製品には使用しませんが、金属製品などでは表面のクリーニングにもブラスト加工が使われます。
その目的として、サビやスケールなどの表面異物層や古い塗装の剥離、鋳物・精密鋳造の砂の除去などがあります。

◇下地処理

ゴムを金属などと接着させる際の下地処理としてブラスト加工を行ないます。
すると表面にできた凹凸にゴムが入り込んで接地面積が大きくなり、接着性が向上します。


例えば、鉄やアルミ、SUS(ステンレス鋼)などの芯材へのウレタンゴムをライニングなどの目的で用いられます。


ただしこの場合、金属に傷が付く原因となるため、ライニングする場所以外のブラスト加工は厳禁です。
加工をする箇所以外はマスキングするなどの処理が行なってください。

ゴム製品製造に有用なブラスト加工

ブラスト加工は、主に金属やプラスチックに用いられる加工ですが、バリ取りなどの用途としてゴムにも有用です。


また直接ゴム製品に対して行なう以外にも、成形のための金型に施せば常に良好な状態に保つことができ、ゴム製品の品質や精度の向上にも貢献します。
さらに、金属や樹脂とゴムの接着性を高めるための加工できるなど、幅広い用途に使用できる加工方法です。


ゴムにおけるブラスト加工についてさらに詳しく知りたい場合や、お問合せなどがありましたら、お気軽に以下のお問合せフォームから当社にご相談ください。