ものづくりプレス

2024-04-22

金属製品にゴムの特性を与えるディッピング加工のメリット・デメリットとは

ディッピング加工は、樹脂やゴムをコーティングすることにより金属だけでは出せない特性を付与する加工法です。

本記事では、ディッピング加工の概要とメリット・デメリットをご紹介します。

ディッピング加工

ディッピング加工とは

被加工物をコーティング剤(主に液状にした樹脂やプラスチック)の中に浸け、表面に被膜を形成させる加工をディッピング加工と言います。  


新たな機能や特性の付与のほか、デザイン性を高める目的で使用されることもあります。

被加工物の形状にとらわれることなく加工ができるのが特徴です。

ディッピング加工で付与できる機能や特性

ディッピング加工において、被加工物にコーティングするのは液状の樹脂やゴムです。そのため、これらの物質が持つのとほぼ同等の機能や特性を付与することができます。  


例えば、以下のようなものがあります。

・撥水性

・防水性

・絶縁性

・接着性

・錆防止

・クッション性



金属そのものは色の種類が限られているため、光沢や色を持たせるなど、装飾を目的としてディッピングが用いられることもあります。また、ペンチなどの持ち手部分に施した場合は、滑り防止や握りやすさを向上させるなど、対象物や用途によってさまざまな効果を与えることができます。

ディッピング加工の工程

通常、ディッピング加工は以下のような工程で行なわれます。

1. 洗浄:被加工物の表面の洗浄処理

2. 前処理:被加工物の乾燥、薬液の密着性を向上させるための処理など

3.ディッピング:コーティング剤に被加工物を浸漬

4.乾燥:コーティング剤に含まれる溶剤の揮発など

5.硬化:コーティング剤を定着させるための処理     


一般にディッピングによる膜の厚さは、薬液から引き上げる速度が速いほど厚くなりますが、コーティング剤の粘度や性質などで異なります。  


またディッピング加工は、塗装以外に成形(浸漬成形/ディップモールディング)も可能です。これは、金型を浸漬し、その周りにコーティングされたゴムや樹脂を金型から剥離し、薄く立体的な製品をつくる際に使用されます。

ディッピング加工のメリットとデメリット

ディッピング加工はコーティング加工と同義ではなく、あくまでコーティング加工のひとつです。

しかし同様の加工(例えば、後述のライニング加工)でも、同じような仕上がりを再現できる場合もあります。  


ディッピング加工を選ぶメリットとデメリットを具体的に見ていきましょう。

ディッピングのメリット


ディッピング加工の主なメリットには、以下のような点が挙げられます。

・複雑な形状でも、比較的簡単にコーティングが可能

・一度に両面のコーティングができるため、加工時間の短縮に貢献 ・公園の遊具など、大きいサイズでも加工が可能

・ドブ漬けのディップ加工の場合、金型が必要ない



このように、液状になったゴム・樹脂に浸漬させるディッピング加工は、比較的自由度が高く、安定したコーティングができるのが特徴です。

ディッピングのデメリット

メリットが多い一方で、この加工法ならではのデメリットもいくつかあります。  


▼多量の薬液が必要

金属製品を薬液の中に沈めて加工を行なうという性質上、実際に使用する薬液はコーティングする量よりも多く必要です。そのため、無駄が出るだけでなく、特に大きな製品の場合は多大なコストがかかります。

▼コーティングのムラ

浸漬させる過程でエアポケットと呼ばれる空気だまりができてしまうと、コーティングが均等に行き届かないため、ムラが生じることがあります。被加工物が空洞の形状の場合では、コーティングが難しいこともあります。

▼その他

・細かな調整が難しく、高い寸法精度を得るのが難しい

・一般的に使用される樹脂(塩ビなど)や液状ゴム(ラテックスやネオプレン、シリコンなど)以外の特殊材による加工が難しい

・薬液槽の交換が不便 ・特殊配合など、特定向けの物性を少量では出せない  


ディッピング加工の採用を検討する際は、メリットだけでなくデメリットについても考慮するようにしてください。

ディッピング加工の製品例

ディッピング加工は、主に以下のような製品にコーティングやモールディング(成形)目的で用いられます。

●自動車関連

タイヤやボルトなどの部品、ボディ部品など

●絶縁用品

配電や送電ケーブル、通信ケーブルなど

●キャップ

ナット、フリップなど

●シート

平シート、テントや倉庫の膜シートなど

●カバー

ペンチ、スパナ、ニッパ、ピンセット、医療用品、自動車用品など

●金属の保護

自転車の荷物かご、パイプ椅子の脚など

ディッピングとゴムライニングの違い

ディッピングと似た加工方法に、ゴムのライニング加工があります。  


ディッピングは、被加工物を液状のゴムや樹脂に浸漬して硬化させるコーティング方法です。

それに対してゴムライニングは、主に金属にゴムを直接貼り付けます。

ゴムライニングは耐候性、耐水蒸気透過性、耐薬品性などのさまざまな要因から保護する目的で行なわれます。また、部分的な加工も可能です。  


しかし通常、ゴムに弾性を付与する加硫工程は、ゴムを被加工物に貼り付けた後に加硫缶内で行なわれます。そのため、大きな物にゴムライニングを施す場合は、それに合った設備や場所が必要になります。  


このほか、加工の性質上、複雑な形状の被加工物には不向きなほか、手作業でゴムを貼るため時間がかかるだけでなく、作業員の技術も求められます。

ディッピング加工を活用して高品質な製品づくりをい

金属にさまざまな特性や機能を付与できるディッピング加工は、適切に使用することで製品が持つ可能性を大きく広げます。ディッピング加工の特徴を充分に理解し、高品質な製品づくりに役立ててください。  


ディッピング加工に関する質問やご相談は、豊富な実績と経験を持つ当社まで、以下のお問合せフォームからご連絡ください。

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