ものづくりプレス

2023-12-11

研削加工とは? ゴムの加工に使用されることはある?

主に樹脂や金属製品の製造における加工のひとつに研削加工があります。研削加工は、製品を決められた形状や寸法に仕上げるための重要な工程です。

この記事では、研削加工の種類とその説明、ゴムの研削加工の例、さらにこの加工で使用されるゴム砥石について解説します。

研削加工とは

研削加工とは

モノの加工には工具が必要ですが、その中のひとつに刃物があります。

この刃物を使った加工工程は一般的に「切削加工⇒ 研削加工⇒ 研磨加工」の順で行なわれ、それぞれに内容や役割が異なります。  


●切削加工:

工作物の不要な部分を大まかに削り取る加工で、フライス、バイトなどの工具を使用。

●研削加工:

切削加工後の工作物の表面の角やバリなどを砥石などで削り、所定の形状や寸法に仕上げる加工。

●研磨加工:

研削加工よりも細かい目を持つ砥石などの研磨工具を使用し、最終的な表面仕上げを施す磨き加工。  


このうち研削加工は、高速回転させた研削用の砥石を工作物に当て、少しずつ表面を削っていく方法です。  

研削用砥石は切刃の役目をする「砥粒」と、この砥粒を結合して固める「ボンド(結合剤)」、研削の際に出る切りくずや研削液を溜めておく空洞である「気孔」で構成されています。それぞれのバランスを調節することで、砥石が持つ特性も変えることができます。  

また砥粒に使用する素材はアルミナ質、炭化ケイ素などを使った一般砥粒からダイヤモンドのような超硬質まで幅広く、加工する素材や目的などに応じて使い分けます。

研削加工の主な種類

研削加工の種類には、主に以下のような方法があります。  


◇平面研削

工作物の表面を削り、平面に仕上げる方法です。

上部に高速転する砥石が取り付けられた平面研削盤を使用し、テーブル側の工作物を上下左右に移動させながら研削していきます。


◇円筒研削

回転させた円筒形の工作物の外面を、研削砥石で削っていきます。

テーパ軸や円筒軸、段付き軸など、主に丸物の仕上げに用いられる方法です。  


◇内面研削

砥石を穴の内側に入れて研削します。

小さく、長さのある部分を研削する関係上、作業途中で破損しないように、砥石には剛性が求められます。

シリンダーやベアリングなどの内輪や内径などの研削で使用されます。  


◇センタレス研削

主に円筒工作物の外周の研削に用いられます。

ブレード(支持刃)とコントローラ(調整車)、研削砥石の間に工作物を置き、回転させて研削を行なう加工で、工作物のセンター穴が不要である点が円筒研削とは異なります。

高精度の調整が可能で、大量生産に向いています。  


◇プロファイル研削

製品の形状をした投影図に、加工物を拡大して映して重ね合わせて研削します。

小さく、複雑な形状でも高精度な加工が可能です。  


◇電解研削

加工物と回転工具の間に電解液を流して通電させることで化学作用を起こし、溶解した表面を高速回転する砥石で除去する方法です。通常はダイヤモンド砥石を使用します。

一般的な研削加工と比較して加工速度が速く、また砥石の摩耗が少ないのが特徴です。

研削加工でゴム加工例は?

通常、研削加工は金属や樹脂、木材などに使用され、ゴムに対してはあまり一般的ではありません。その理由として、ゴムは完成品に近い形で成形されることが多く、ほとんどの場合で研削加工が不要であることが挙げられます。  


またゴムは難削素材であり、研削の際に弾性変形するため切り屑として排出しにくい、摩擦熱による温度上昇で組織の変質が起こるなどの問題もあり、研削加工には比較的不向きであることも理由です。  


しかしこの場合、目詰まりを起こしにくい多孔性砥石やゴム研削用砥石などを使用するほか、熱の発生を抑制するために研削速度を遅くするなどの対処法をとることで、研削が可能になります。

金属などの研削加工の際に使われるゴム砥石

研削加工に使用される砥石は、切刃の役目をする砥粒を固着するためにボンド(結合剤)が使用されています。

その種類にはマグネシア、レジン、メタル、セラックなどがあり、どれを選択するかで仕上がりや精度などに影響します。  


このうち、ゴムをボンドとして使用したものをゴム砥石と言います。

ゴム砥石が持つ大きな特徴はその弾性です。ほかの素材の砥石にはない、ゴム砥石ならではの特徴を以下にご紹介します。  


●工作物に合わせて形状が変化

ゴムが持つ弾性により、使用時に加わる力に応じて変形し、加工物と適度に面接触します。 これにより砥粒が加工物にしっかり当たるため、複雑な形状の加工や細かい部分の作業に向いています。  


●いろいろな素材に使用可能

一般鋼材、非鉄金属、鋳物のほか、研削加工がしにくいステンレスやアルミ、チタン合金など、幅広い素材に対する加工に使用できます。  


●工程ごとの交換が不要

一般に、「削る」工程と「磨く」工程では、それぞれに適切な砥石を使用する必要があります。

しかしゴム砥石は、加工品にソフトに当たりながら研削をするため、研磨の役目も同時に果たします。

このほか、ゴム砥石ひとつで切削加工後の仕上げ、バリ取り、サビ取り、加工跡の除去、メッキ加工前の表面処理、金型のメンテナンスなども行なうことができ、作業時間の短縮に貢献します。  


●目詰まり知らずで、目直し不要

砥石は通常、使用を続けていくうちに目詰まりや形状不良を起こします。その場合、表面を削って新しい面を出す工程(ドレス、ドレッシング)を行なうことで復活させます。

しかしゴムは自生作用を持つためこの工程がほとんど必要なく、またドレッシングを行なう場合も簡単にできます。  


●砥石の形状変更が可能

ゴムは加工が容易な物質であるため、砥石の形状も円盤状だけでなく、球状や円筒状などに変えることができます。

また砥石の消耗した部分も、簡単に形状を修正できます。  


●研磨傷がつきにくい

ゴムの弾性によるクッション効果で、工作物への当たりもほかの砥粒と比べてソフトで、研磨傷がつきにくくなっています。  


●焼き付きしにくい

目詰まりや目つぶれ、自生作用がうまく働かないなどの理由で砥石の切れ味が低下すると、研削面に摩擦熱が発生します。するとこれが原因となって、加工物や砥石の表面に焼き付きが起こることがあります。ゴム砥石はこれらの要因がほかの素材の砥石よりも少ないため、焼き付きを起こしにくくなっています。

ゴムは研削加工の素材としても活躍している

より寸法精度を高めるために用いられる研削加工は、製造においてとても重要な役割を持つ工程です。  


そのため、どの砥粒を使い、どのような方法で加工するかなど、製品の素材や用途に合わせた適切な選択が求められます。  


納得できる研削加工を実現するためにも、経験と実績が豊富な当社にお気軽にご相談ください。以下のお問い合わせフォームから連絡可能です。