ものづくりプレス
2023-10-16
金型不要のゴム加工とは メリットや種類について解説
ゴム製品は、金型(目的の形に型どられた凹凸のある金属の型)に液状にしたゴム原料を流し込んで固めて成形する方法(射出成型)や、固形の生ゴムに熱をかけてプレスする方法(コンプレッション成形)が一般的です。
しかし中には、金型を使わずに行なう成形方法があります。トータル的に費用が安く、修正も容易であるため、特に試作品や小ロットでの製造に向いています。
当記事では、金型不要のゴム加工について解説します。
金型が不要なゴム加工とは
金型を使わないゴム加工とは、ゴムの塊やゴムシートを直接切削加工したり、3Dプリンターでの造形やシリコンゴムの簡易型を使って成形したりしてゴム製品を製造する方法です。
金型を使うゴム加工は、多数個取りにすることで製品1個あたりのコストを下げやすく、大量生産に向いていると言えます。しかし、金型は製作に時間と大きなコストがかかるのがデメリットです。万一、金型製作後にほかの組合せ部品との相性や図面寸法どおりに仕上がっていないことが判明した場合、金型の修正が必要となり、さらに時間とコストがかかってしまいます。
一方、金型不要のゴム加工は、少量であれば製品単価が圧倒的に安く済み、発注してから手元に届く納期も短いという特長があります。同じ品質で大量に加工するのには不向きですが、加工方法や作業者の技量によっては、金型ではできない加工も可能です。
ゴム加工において金型を使うかどうかは、製品の仕様や製造数などを総合的に判断し、選択するようにしましょう。
金型を使わずにゴム加工をするメリット
金型を使わないゴム加工には、次のようなメリットがあります。
1個から加工可能
1個または小ロットの加工の場合に、対応しやすいというメリットがあります。
イニシャルコストの大幅削減
金型製作にはコストと時間がかかるため、1つの試作品や小ロット生産の度にわざわざ金型を作るのは非常に非効率です。
金型不要のゴム加工であれば、受注があった分だけ切削用機械の稼働や作業員の手作業などを実施するだけで済みます。そのため、製作にかかるコストを大きく下げることが可能になります。
加工・納品日数の短縮
ゴム成形用の金型は、受注から製作、納品までの期間に1ヵ月程度かかると言われています。金型不要のゴム加工の場合は、この分の時間が不要のため、加工・納品日数を短縮することができます。
実際に金型を使わないゴム加工を請け負う企業は、「スピーディーさ」や「短納期」を売りにしていることも多いようです。すぐに加工品を必要とする場合は、金型不要のゴム加工を自社で実施する、または対応している企業に依頼することをおすすめします。
金型不要の加工方法
金型を使わずに行なう加工には、主に次のような方法があります。
ロクロ・施盤加工
ロクロ・旋盤加工とは、加工するゴム素材をロクロに装着し、回転させながら刃物などで切削する成形方法です。陶芸で使用するロクロと同じ原理で、ジャバラ状や円形のゴムに加工できます。
ただし、加工の精度は作業者の技量に大きく左右されます。
切削一体加工
切削一体加工とは、ゴム板裁断機やマシニング、刃物などを用いてゴム素材を削ったりカットしたりして、目的の形に成形する方法です。
しかしゴムは弾性体であるため、自動機械を使用するマシニングの場合では、切削精度を出すことはまず不可能です。
またロクロ・旋盤加工と同じく、仕上がりは作業者の技術力によるところが大きく、非常に複雑な形状に対応できることもあれば、思ったような精度が出せないこともあります。
注型加工
完成品と同じ形状のサンプルをシリコンゴムで型取りし、その型へウレタン樹脂を注入して固める成形方法です。
切削加工と比べると、納期やイニシャルコストはかかりますが、同品質の製品を少量要求されている場合に向いています。
ただし、ゴムの物性は制限されます。
ウォータージェット加工
射出された高圧水流を用いてゴム素材を切削し、加工する方法です。
CADデータと連携させることで、データに基づいた寸法や形状に仕上げることが可能です。また、熱による焦げや溶解、変色などのトラブルを防げる点もメリットです。
ただし加工の性質上、切削部分に加工痕が付いてしまうのがデメリットです。
カッティングプロッター加工
カッティングプロッター加工とは、製図用のプロッター(コンピューターからの指令によって紙の上などにデータを出力する装置)のような動きで材料をカットする方法です。
NCデータの数値どおりに切削できるため、ゴム素材を複雑な形状を正確な寸法で成形できます。
主にシートなどの薄い素材の加工に向いています。
接着加工
ゴム素材同士、またはほかの素材と接着させて、目的の形状を得る成形方法です。
プラスチックとは異なりゴムは熱硬化性であるため、基本的に接着剤で接着することができます。
しかし接合部は同じ素材ではないことから、要求物性や材質によっては、適切な方法ではない場合もあります。
接着加工は、ゴムマットや保護カバーなど、ゴム素材と別の素材を組み合わせる際に向いています。
トムソン型抜き(ビク抜き)加工
打ち抜きたい形状をした薄い金属刃を木の板に取り付けた「トムソン型」を用いて、型を抜く成形方法です。クッキーの抜き型の要領と言えばわかりやすいでしょう。通常は、プレス機を用いて型抜きを行ないます。
主にゴムパッキンの成形に用いられます。
金型不要のゴム加工も利用しよう!
金型を使わないゴム加工は、基本的には、切る、削る、貼り合わせる、穴をあける、の4つの方法の組合せで行ないます。試作品をはじめ、小ロット・超短納期の要求に適しており、金型を用いたゴム加工にはないメリットがあります。
しかし金属やプラスチックとは異なり、弾性の性質を持つゴムは、本来、刃物を当てる切削加工には適していません。そのため当然のことながら、加工手順や加工方法をどう組み合わせるかは、経験に裏付けられた技術によって決まってきます。
金型なしのゴム加工については、豊富な実績と経験を持つ当社にお気軽にご相談ください。
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