ものづくりプレス

2024-03-01

旋盤加工の「端面削り」とは

旋盤削加工の中でも多く用いられている加工のひとつに、端面削りがあります。切削工具(バイト)で加工物の端の仕上げをしたり溝を入れたりする加工方法で、工具を当てる角度や送りの速さなど、仕上がりに影響する要素が多くあります。


この記事では、端面削りについて詳しく解説します。

AdobeStock_136143578

旋削加工「端面削り」とは

旋盤を使用して、主に円柱状の加工物を削ったり切ったりする加工を旋削加工と呼びます。加工物を旋盤加工機にセットして回転させ、切削工具(バイト)を加工物に当てながら削る、切り落とす、穴を開けるなどの加工を行ないます。


端面削りは旋削加工のひとつで、専用工具を使って回転している加工物の端面に施す加工です。主に端面を平面に整えたいときに用いられます。切削工具が加工物に当たる角度や、送りの速さによって仕上がりに差が出るほか、1回につき片面のみしか加工できないため、残りの端面を削る際は加工物の向きを変える必要があります。


使用する旋盤加工機には大きく分けて「汎用旋盤」と「NC旋盤」の2種類があります。汎用旋盤はハンドルを操作しながら手動で加工を行なう旋盤加工機で、職人には高い技術力が求められます。短時間での大量生産には向きませんが、加工作業中にミスや問題が見つかってもその場で修正ができるため、細かい調節をしながらの作業が可能です。また追加の加工が発生した場合もすぐに対応できるなど、高い柔軟性があります。そのため、特注品や試作品など、製造品の数よりも精度を重視したいときに向いています。


一方のNC旋盤は、切削工具を当てる角度などをあらかじめ数値制御にセットすれば、自動で作業を行なってくれる機械です。技術力は不要ですが、作業過程における柔軟性には劣ります。

端面加工

旋削加工には、端面削りのほかにも切削工具を端面に当てて行なう加工があります。これらをまとめて、「端面加工」と呼んでいます。
端面加工には、以下のような種類があります。


▼正面削り

材料の表面を回転工具が往復し、次第に表面を削って行く加工です。通常、「荒加工」、「中仕上げ加工」、「仕上げ加工」などの工程を経て、最初の基準になる面を加工します。したがって「基準面加工」とも呼ばれています。
▼面取り
加工物の端面の角部分に施す加工です。主に、加工物のバリを取る目的で行ないます。
▼テーパー削り
加工物の先端を先細りの形状にするための加工です。切削工具の角度を徐々に変えることで、先端を円錐状にします。角度によって仕上がりが異なるため、汎用旋盤の場合では技術が必要になります。

端面削りには刃物の選択も重要

端面削りの仕上がりに影響するのは、切削工具が当たる角度や送りの速度だけではありません。端面削りに使用する切削工具も、加工に適した専用のものを選ぶ必要があります。


例えば溝を掘る加工の場合、加工物の端面または外径に入れますが、端面加工では「R(丸みのある形状)」になっている工具を使用します。間違って外径加工用を使った場合、加工物に当たって工具が破損するだけでなく、加工物そのものに傷がついて不良品になり、大きな損失にもつながるおそれがあるためです。このように、それぞれの加工に適した工具を使用することは、とても重要です。

高い技術が求められる端面削り

端面の仕上げだけでなく、面取りやテーパー加工など、端面削りは旋盤加工の中でも高品質な製品づくりには欠かせません。しかし、切削工具そのものや工具に当てる角度、材料を送る速度のわずかな違いが仕上がりに影響を与えるほど、高い技術力が必要とされる難しい加工のひとつでもあります。そのため、端面削りを依頼する際は、豊富な経験と高い技術力を持つ職人のいる加工業者に依頼するのが安心で確実と言えるでしょう。


記事検索

NEW

  • spray-gun-5360720_1280
    2024/09/16
    ゴムのコーティング加工とは?特徴と用途をご紹介
    ゴムコーティングとは、基材...
  • storm-794559_1280
    2024/09/15
    ゴムが静電気を帯びるのはなぜ?帯電の仕組みを解説!
    静電気は日常生活の中でよく...
  • repair-891422_1280
    2024/09/15
    ゴムと金属を接着する方法は?接着剤の選び方も解説します
    ゴムと金属をしっかりと接着...
  • drop-of-water-578897_1280
    2024/09/15
    水膨張ゴムとは?不思議な特性と、その用途をご紹介します!
    水膨張ゴムは、水を吸収する...

CATEGORY

ARCHIVE