ものづくりプレス

2024-04-30

プラスチック成形の種類と特徴

日用品から家庭用品、工業用製品まで、身の回りの生活に欠かせないプラスチック製品。その製造には、さまざまな成形方法が用いられています。成形方法によって特徴が異なるため、製造する製品や使用するプラスチックの種類に応じた成形方法を選ぶのが重要です。
この記事では、プラスチック成型の種類やその特徴などを紹介します。

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プラスチック成形の種類

プラスチックとは、石油などの高分子物質を主原料としてつくられる化合物(塗料、ゴム、接着剤を除く)のことで、合成樹脂とも呼ばれています。このプラスチックを原料として製品を製造する際に、形状を加工する工程がプラスチック成形です。


プラスチック成形には、製品の形や性質、生産量などの条件に適した方法があり、主に以下のような種類があります。

射出成形

プラスチック成形の中では、もっとも多く用いられている方法のひとつです。液状にしたプラスチック原料を型の中に流し込み、固めて成形する方法で、射出成形機と呼ばれる機械を使用します。射出成形には、以下の特徴があります。


・大量生産が可能で、ある程度の少量生産なら可能
・小物から大物まで、幅広いサイズの成形に最適
・複雑形状を含む、さまざまな形の成形が可能
・バリ取り以外の仕上げ加工がほぼ不要
・成形機や金型が比較的高額
・金型から抜けやすい形状であることが必要


成形方法は、まず射出成形機のホッパーと呼ばれる材料タンクに粒状のプラスチック原料(ペレット)を投入し、スクリューで原料を前進させながら溶かしていきます。その後、高圧で金型の中に流し込んだらそのまま固め、成形品を取り出したら完成です。
射出成形は大量生産向きの成形方法です。また、原料を流し込む際は圧力や速度などを的確に調整する必要があります。

押出成形

溶かしたプラスチック原料を押出成形機のダイ(押出口)から押し出した後、冷却装置で硬化させる成形方法です。断面形状が一定の製品や長物の連続的な製造に向いています。
押出成形の特徴は以下のとおりです。
・パイプやワイヤ、シートなど断面が一定の製品の製造に最適
・金型の構造が単純で、成形機も比較的安価なため製造コストが低い
・量産性に優れるが、特注品など少量生産には不向き
・寸法精度が低い
・製造できる製品の形状に制限がある

ブロー成形

空気でプラスチック原料を内側から膨らませ、ボトルなど中が空洞の形状のプラスチック製品を製造する際に用いられる成形方法です。吹込成形、中空成形とも呼ばれています。
ブロー成形には、以下の特徴があります。


・ボトル形状の製造に用いられる
・金型が単純で、加工機が安いため製造コストが低い
・薄肉、軽量な製品が成形できる
・少量生産には不向き
・製品部分以外の仕上げ加工が必要
・金型に接しない部分の精度や厚みの調整が難しい

・材料ロスが多い


ブロー成形は、使用する成形機や成形方法により、さらに以下の3種類に分けられます。


▼押出ブロー成形
チューブ形状のプラスチック原料(パリソン)を押し出して金型で挟み、パリソンの内側から空気を吹き込んで膨らませた後に硬化させ、成形します。空気は上、横、下と、いろいろな方向から吹き込むことができます。
成形方法としての歴史は長く、現在でも食用油やマヨネーズなどの食品容器をはじめ、ガスバリア性を持つプラスチック容器の製造などに多く用いられています。
▼射出ブロー成形
射出成形とブロー成形を組み合わせた成形方法です。まず底の付いた形状のパリソン(有底パリソン)を射出成形で作製します。その後ブロー成形加工機にセットし、中に空気を入れてボトル状に成形します。
押出ブロー成形よりも精度の高い形状のプラスチック製品の成形が可能で、量産性が高いのが特徴です。
▼延伸ブロー成形
射出成形した試験管状の半製品を、ブロー成形時に垂直と水平の2方向に延伸する工程(2軸延伸)を取り入れた成形方法です。各方向にバランスよく膨張するため、強度や透明度などが向上します。代表的な製品にはペットボトルがあります。

圧縮成形

圧縮成形は、熱硬化性樹脂に使用する成形方法です。流動状態のプラスチック原料を金型に入れて圧力をかけ、加熱して硬化させます。原料の充填量が適切でない場合は不良品が出やすいため、正確な計量が求められます。
圧縮成形には以下の特徴があります。
・熱硬化性樹脂の成形に最適
・金型費用を抑えられる
・加圧成形のため高密度な製品の成形が可能
・大型の肉厚製品の成形が可能
・バリが発生しやすい

その他のプラスチック成形方法

上記以外にも、プラスチック成形には以下の方法があります。
▼トランスファ/トランスファー成形(移送成形)
圧縮成形の改良版で、熱硬化性樹脂の成形に使用します。1回の成形に必要な分の原料を別装置で流動状にし、それを金型に移送して圧縮した後に熱硬化させ、成形します。
▼積層成形
プラスチック原料を染み込ませた布や紙、ガラス不織布などを、加熱・加圧により一体化させる成形方法です。熱硬化性樹脂の強度を高めるための成形方法のひとつです。FRP等で使用されます。
▼注型成形
液状にしたプラスチック原料を成形型に流し込み、圧力をかけずにそのまま硬化させる成形方法です。肉厚の製品の成形が可能ですが、小ロット向きです。バリエーションとして、型の中を真空状態にして型取りする真空注型成形があります。
▼粉末成形
粉末状にしたプラスチック原料を金型に入れ、焼き固める方法です。複雑な形状の成形が可能で、材料を組み合わせることでさまざまな特性を持たせることもできます。
▼カレンダー成形
プラスチック原料を複数の熱ロールの間に通しながら、少しずつシートやフィルムの形状に成形していきます。模様のついたロールを使用すれば、製品に同じ模様を転写することもできます。カレンダー成形は、ゴムの成形に用いられている圧延加工をプラスチック成形に応用した方法です。

プラスチック成形材料によっても加工方法は異なる

プラスチックには、加熱により硬くなる「熱硬化性樹脂」と、反対に軟らかくなる「熱可塑性樹脂」があります。熱硬化性樹脂の場合、一度熱を加えて硬化した後は、再び軟らかくなることはありません。一方、熱可塑性樹脂は、硬化した後でも熱を加えることで軟化します。
このように、プラスチックは種類により物性が異なることから、使用する原料の性質をよく理解し、それに適した方法で成形を行なうことが重要です。

プラスチック成形には検定制度もある

プラスチックの成形技能を認定する、「プラスチック成形技能士」という国家検定制度があります。技能検定職種は、射出成形作業、圧縮成形作業、ブロー成形作業、インフレーション成形作業、真空成形作業の5種類で、特級〜3級の技能等級が設定されています(3級は射出成形作業のみ)。受験資格は原則として、3級で6ヵ月以上、2級で2年以上、1級の場合は7年(2級合格後2年)以上、そして特級では1級合格後5年以上の実務経験があることが条件です。
申し込み先は各自治体の都道府県職業能力開発協会で、学科試験と実技試験に合格すれば「プラスチック成形技能士」を名乗ることができます。

プラスチック成形は材料や形状に合わせた方法を選ぼう

プラスチック製品の製造に用いられる成形方法は、プラスチック材料の性質や加工したい形状、生産量、コストなどによって選ぶべき方法が異なります。

場合によっては机上だけではないノウハウが介在する場合もあります。そのため、納得できる製品を製造するには、それぞれの条件に適した成形方法に対応できるメーカーを選ぶことが重要です。