ものづくりプレス

2026-10-05

ゴムロールが廃盤になったら|現物から再製作する4つの確認

印刷機や搬送ラインで使っているゴムロールが摩耗し、交換しようとメーカーに問い合わせたら生産終了だった。ロールは目立たない部品ですが、1本止まるだけでライン全体が止まることがあります。

この記事では、廃盤になったゴムロールを現物から再製作するときに確認する4つの点と、依頼までの進め方を整理します。

作成者 久保(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月5日 最終更新日 2026年10月5日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

ゴムロールが廃盤になったら、何から確認しますか?

確認するのは、軸の寸法と仕様、ロール部の外径・内径・幅、ゴムの硬度、表面の仕上げの4つです。ロールは軸とゴムの組み合わせで機能するため、ゴムの寸法だけでは仕様が決まりません。

確認点 内容 無い場合の代替
軸の寸法・仕様軸径・長さ・取り付け形状現品があれば現物調査で測定
ロール部の外径・内径・幅摩耗前の寸法が分かれば優先摩耗後の現品から推定も可能
ゴムの硬度JIS等の尺度での数値現品があれば測定で確認
表面の仕上げ平滑・溝・模様の有無型取りや写真で記録

軸は現品をそのまま送る

軸に歪みや摩耗がないか、取り付け部の形状がどうなっているかは、現品を見なければ判断しづらい部分です。分解して洗浄する前に、現品をそのままお送りください。取り付け部に使われているキーやねじの規格も、現品から読み取れます。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ(現物調査・材料分析の流れ)(自社情報・2026年10月確認)。

摩耗したロールからでも、寸法は読み取れますか?

摩耗が進んでいても、軸の寸法や取り付け部、破損していない部分の構造は手がかりになります。摩耗前の寸法が分かる図面や仕様書があれば、あわせてお知らせください。

廃盤部品の再現では、現物調査と材料分析を踏まえて、CADデータを作成する流れをとっています。

摩耗や変形があっても、寸法と材質を読み取る手がかりになります。

外径は摩耗量を踏まえて考える

使用中に摩耗して外径が小さくなっている場合、現品の外径をそのまま再現すると、新品時より小さいロールになってしまいます。可能であれば、新品時の仕様書や図面と、現品の摩耗量を照らし合わせて検討します。

硬度は現品があれば測定できる

ゴムの硬度はJIS等の尺度で数値化されており、現品があれば測定して読み取れます。2D図があれば硬度と寸法の測定に対応しています。硬度の考え方そのものは硬度の選び方で整理しています。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

再製作は、どのように進みますか?

現物調査、材料分析、試作、量産の4段階です。摩耗したロールしか残っていない状態からでも、この順で進められます。

ゴムロールの再製作を現物調査から量産まで4段階で示す図 図1 ゴムロール再製作の4段階 STEP 1 現物調査 軸とゴムの 寸法を測定 STEP 2 材料分析 硬度・材質の 手がかりを確認 STEP 3 試作 実機に取り付けて 評価 STEP 4 量産 検査基準を 引き継ぐ 軸とゴムを切り分けて確認することで、再製作の精度が上がります。

ロールの用途で、材質の候補が変わる

搬送用なのか、印刷用なのか、圧着用なのかによって、求められる摩耗特性や硬度が変わります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため用途と使用条件をあわせてうかがっています。

表面の溝や模様は、型取りで記録しておく

表面に溝や模様がある場合、摩耗で形が崩れる前に型取りや写真で記録しておくと、再製作時の手がかりが増えます。既に摩耗してしまっている場合は、残っている部分の情報と用途から再設計をご提案します。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ(見積り時に必要なもの)(自社情報・2026年10月確認)。

軸とゴムは、まとめて1本で検討しますか?

軸に問題がなければ、ゴムの部分だけを作り直す検討もできます。軸に摩耗や歪みがある場合は、軸も含めた製作をご提案します。

ゴムロールの再製作で軸を再利用する場合と軸から作り直す場合の違いを対比した図 図2 軸を再利用する場合と、軸から作り直す場合 軸を再利用 軸から作り直す 軸の現品確認が前提 ゴムの巻き直しを検討 費用を抑えやすい 軸の寿命に左右される 軸の仕様を新規に決める 歪み・摩耗の心配がない 費用と納期が増える 長期使用を見込む場合に向く どちらが向くかは、軸の状態と今後の使用期間によって変わります。 軸の摩耗・歪みが少ない場合と大きい場合とで検討の選択肢の幅が変わることを示す図 図3 軸の状態で、検討の選択肢が変わる 軸の摩耗・歪みが大きい 軸の状態が良好 軸の状態が良いほど、ゴムの巻き直しなど選択肢が広がる。 軸の状態は現品を確認してから判断します。

同じロールを使う設備が複数あれば、まとめて数える

1本ずつ考えると数量が少なく割高になりますが、社内の同型設備をまとめて数えると、検討が現実的な数量になることがあります。予備も含めて、使用箇所を洗い出してみてください。

相見積もりでも、軸とゴムの情報をそろえて出す

複数社に相談する場合、軸の仕様とゴムの寸法・硬度を同じ内容で伝えることが比較の前提になります。当社は相見積もりを歓迎しています。

過去の不具合は、次の材質選びの材料になる

摩耗が早かった、表面が割れた、硬化して動きが悪くなった。前のロールがどう傷んだかが分かれば、どの条件が厳しかったかを推定でき、次の材質選びに反映できます。当社の現物調査では、寸法に加えてこうした傷み方も確認します。思い出せる範囲で構いません。

設置環境も、材質選びに関わる

屋外に設置されたラインのロールは、紫外線やオゾン、温度差の影響を受けます。屋内でも、薬品や粉じんに触れる環境では、求められる耐性が変わります。設置場所と周辺環境をお伝えいただくと、材質の検討がより具体的になります。

自社のロール再製作は、どこまで準備できていますか?

当てはまる項目が多いほど、依頼前に整理しておくと検討がスムーズになります。下のチェックは診断ではなく、4つの確認点のどれが未整理かを確かめるための整理です。個人情報の入力はありません。

ゴムロール再製作の準備チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個準備が整っています。現品と条件を送っていただければ検討に入れます。
2〜3個一部が未整理です。軸とロール部の寸法確認から始めてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず現品を確保し、軸の状態を確認することをおすすめします。

ゴムロールの再製作について、よくいただくご質問は?

軸の再利用、表面の模様、硬度の指定、少量対応、幅についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

ロールの軸だけ再利用し、ゴムの部分だけ作り直せますか?
軸の状態によります。軸に摩耗や歪みがなければ、ゴムを巻き直す形での検討も可能です。軸の現品をお送りいただければ、状態を確認したうえでご提案します。

ロールの表面に模様や溝が入っていますが、再現できますか?
現品に模様や溝が残っていれば、型取りや測定で読み取れます。摩耗して形が崩れている場合は、分かる範囲の情報と使用条件から再設計をご提案します。

硬度はゴム・プラスチック業界共通の尺度で指定できますか?
はい。硬度の指定方法については、硬度の考え方をまとめたページもご用意しています。現品があれば測定できますので、まずは現物をお送りください。

1本だけの依頼でも対応してもらえますか?
多品種少量生産を得意としており、1本からのご相談も承っています。同じロールを使う設備が複数あれば、まとめて数量を出すと検討しやすくなります。

ロールの幅が長い場合でも製作できますか?
幅や外径によって対応できる工法が変わります。現品の寸法と使用条件をうかがったうえで、可否と工法をご提案します。

段階的に進めたい場合も、相談できる

いきなり量産を決めるのではなく、まず試作で評価してから数量を決めたいというご相談にも対応しています。試作の段階で評価した条件は、そのまま量産の検査基準に引き継げます。

工場視察や監査で、製作の様子を確認できる

当社では必要に応じて工場視察や監査に対応しています。製作工程や検査体制を現地でご確認いただくことも可能です。

見積りを依頼するとき、何をそろえればよいですか?

軸とロール部の現品、使用条件、必要数量があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

ゴムロールの再製作を相談する

摩耗したロールしか残っていない段階でも構いません。現品の状態をお知らせいただければ、進め方をご提案します。

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