ものづくりプレス

2024-02-29

イソプレンゴムとは

天然ゴムにもっとも近い構造を持つ合成ゴムがイソプレンゴムです。天然ゴムと同様のメリットだけでなく、このゴムならではの特徴も持っています。そのため、両者を比較することで、より高品質な製品づくりに役立てることができます。
この記事では、イソプレンゴムの概要や特徴、用途について解説します。

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イソプレンゴムとは

イソプレンゴム(IR)は、人工的に合成されたポリイソプレンを原料にしてつくられ、もっとも天然ゴムに近い化学構造を持つ合成ゴムです。そのため、合成天然ゴムと呼ばれることもあります。
天然ゴムとは異なり、アレルゲンであるラテックスを含まないためアレルギーを引き起こす可能性が低く、超音波診断用などの医療機器、赤ちゃんの哺乳瓶の乳首など、天然ゴムの代替素材として安心して使用できます。さらに合成ゴムであることから品質、価格ともに安定しており、1954年にアメリカのグッドリッチ社が発表して以来、日本も含めて世界中の企業で製造・販売されています。

天然ゴムと比較したイソプレンゴムの特徴

イソプレンゴムは天然ゴムに近い化学構造を持っていますが、いくつか特徴が異なります。天然ゴムと比較した主な長所と短所を以下に挙げます。

イソプレンゴムの長所

・振動吸収性、電気特性が高い
・品質や価格が安定している
・透明で色調が明るい
・においが少ない
・素練りがほぼ不要
・冬期の保温が不要で保管しやすい

イソプレンゴムの短所

・弾力性が劣る
・引き裂き強度が劣る

天然ゴムと同等の特徴

・機械的強度
・耐油性が劣る

・耐熱性が劣る


このほか、耐候性、耐老化性は天然ゴムよりも優れていますが、合成ゴムの中ではあまり高くありません。

イソプレンゴムの用途

天然ゴムでできるほとんどの製品や部品の代替素材として使用できるほか、イソプレンゴムならではの特徴を生かして、さまざまな分野の製品として用いられています。

高い耐摩耗性、弾性、機械的強度を活かした用途

イソプレンゴムは、天然ゴムよりも高い耐候性や耐老性を持ち、さらに弾性や耐摩耗性にも優れているため、以下のような用途に使用されています。
・タイヤトレッド
・サイドウォール
・カーカス
・タイヤ(おもに自動車、航空機用)
・ベルト
・ホース
・靴底
・各種ベルト工業品 など

ラテックスアレルギーが起きない性質を活かした用途

ラテックスを含まないイソプレンゴムは、天然ゴムと違いラテックスアレルギーを起こしにくいゴムです。さらに、安全性が高く、においが少ないことから、医療関連の製品や部品の素材としても採用されています。
・超音波診断プローブアクセサリー品
・血液回路針刺ゴムボタン
・哺乳瓶乳首 など

透明、発色の良さからの用途

イソプレンゴムは透明で、着色料を使用すると発色がよいのが特徴です。さまざまな明色製品にも使われています。

イソプレンゴムは可能性の高い合成ゴム

イソプレンゴムは、天然ゴムの代替として使用できる画期的な合成ゴムです。それでいて天然ゴムよりも品質や価格が安定しているのに加え、ラテックスアレルギーの人への使用が可能など、天然ゴムの短所を補える要素を多く備えています。そのためイソプレンゴムは、今後も用途が広がる可能性を持つ合成ゴムと言えます。

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