ものづくりプレス
2025-09-10
ブリスター現象とは?発生のメカニズム・対策法・事例を解説
ゴム材を機器に利用する上では、ブリスター現象に注意する必要があります。ブリスター現象は高温・高圧の環境下において、考慮すべき現象です。本記事では、ブリスター現象の意味から対策方法、発生事例まで解説していくので、ゴム製品を扱う方は参考にしてみてください。
ブリスター現象とは?
ブリスター現象とは、OリングやUパッキンなどのエラストマー製シール材に、高温・高圧環境下でガスや揮発性液体が内部へ浸透し、急速減圧の影響によりガス等が溜まり膨張することで破裂する現象のことを言います。
たとえば高圧ガスによるブリスター現象の発生メカニズムとしては、下記の通りです。
1. 高温環境において高圧ガスがシール材に接触し、表面から内部へ浸透して広がる
2. 液体やガスのほとんどはシール材を通り抜けるものの、一部は内部に滞留したままになる
3. 急速な減圧が起きることで内部にあったものが気化し、体積が膨張する
4. シール材が体積の膨張に耐え切れず、表面層や内部で発泡する
5. 発泡に耐え切れなくなると、亀裂や破裂を引き起こす
ニーズの多様化も影響し、エラストマー製シール材を利用する機器は高温・高圧など、さまざまな環境で使用されるようになりました。
一方、使用環境の複雑化により、使用前に比べて化学的特性や機械的強度が劣化する現象も発生しています。劣化の環境要因には、酸素・オゾン・薬品などの化学的要因や、引っ張り・伸び・圧縮などの物理的要因が影響していますが、加えてブリスター現象の発生も抑制することが重要です。
ブリスター現象の対策方法
ブリスター現象の発生を防ぐ方法としては、複数存在します。ここでは、ブリスター現象の対策方法を見ていきましょう。
◇気体透過性を高くする
ブリスター現象はゴム材にガスが滞留し、破裂を引き起こす現象のため、内部にガスを溜めないことが重要と言えます。ガス透過性の高いゴム材にすることでガスは通過しやすくなり、効果的に外部へ排出できるので、ブリスター現象の発生を抑制可能です。
ガスの透過性はJIS規格で定められた方法として、等圧法と差圧法で測定できます。ただし、気体透過性が高いと、圧力低下などの問題が発生するので、注意が必要です。
◇高硬度にする
ゴム材を高硬度にすることで、応力が高くなります。内部へ浸透したガスが減圧されても、発泡と膨張を抑制できるため、ブリスター現象の発生を防止可能です。
◇相溶性の低いゴム材を利用する
複数の物質が分離せず、混ざり合う性質のことを相溶性と呼びます。接触する可能性のあるガスなどの流体に対し、相溶性の低いゴム材を利用すれば、流体の浸透や拡散を防止でき、発泡および膨張についても抑制可能です。
◇減圧の速度を遅くする
ブリスター現象は急激な圧力変動により、内部に流体が滞留します。よって、急激な圧力変化を避ければ、発泡と膨張の抑制に繋がります。
ただし、ガスの掘削機器など、急速減圧を避けるのが困難な場合においては、防爆性の高いゴム材を利用することが不可欠です。
◇温度を下げる
流体のガス化を防ぐには、使用部位の温度を下げることも方法のひとつです。内部に充満するガスが少なくなるため、体積の膨張を抑制できます。
ブリスター現象の発生事例
実際、ブリスター現象はさまざまな機器において発生しています。ブリスター現象の発生事例に関しても、チェックしておきましょう。
◇往復動圧縮機で発生した事例
ピストンによる往復動で気体を昇圧し、送り出す往復動圧縮機にて使用されるフッ素ゴムOリングにおいて生じたブリスター現象。液体を減圧する際の時間が十分でなかったことが原因です。Oリング内で急速な減圧による発泡が起きてしまい、ブリスターが現れてしまった事例です。
このような場合は高硬度のフッ素ゴムを利用するか、減圧速度を緩めることで、ブリスターの発生を防止できます。
◇摺動部で発生した事例
部品の接触部である摺動(しゅうどう)部において、使用されていたフッ素ゴムOリングで生じたブリスター現象。作動油(油圧システムにおける動力を伝えるための流体)中の水分や添加物などの揮発性成分がOリングに触れ、激しい圧力の変動や熱により気化が加速してブリスターが発生した事例。
このような場合もフッ素ゴムを高硬度化することで、現象の発生を抑制できます。
ブリスター現象のまとめ
ブリスターはガスや揮発性液体が内部へ浸透することにより、発生します。ゴムの性質に限らず、環境にも左右されやすく、ブリスター現象が発生するメカニズムを把握しておくことが重要です。揮発性の高い流体が接触する可能性のあるゴム製品は、硬度の高いゴムやガス透過性の高いゴムを使用することが重要になります。
本記事でご紹介しました適切な対策で、ブリスター現象の発生を抑制しましょう。
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