ものづくりプレス

2025-09-05

耐震ゴムの効果と免震ゴムや防振ゴムとの違い

地震大国の日本では、被害を最小限に抑えるためのさまざまな設備や仕組みがあります。そのひとつが耐震ゴムです。ほかにも地震対策のゴムには防振ゴム、免震ゴムがあり、それぞれ特徴も用途も異なります。

この記事では、耐震ゴムの特徴や効果に加えて、防振ゴムや免震ゴムとの違いを解説します。


耐震ゴム

耐震ゴムとは


耐震ゴムとは、地震が起きたときに家具などの転倒を防ぐためのゴムで、耐震マットとも呼ばれています。主に家庭用として使用され、ベッドやテレビ台、食器棚、本棚などの下に直接貼り付けることで床と家具を固定し、転倒を防ぐ仕組みです。 耐震ゴムは、製品によって効果や特徴が異なります。


耐震ゴムの効果

耐震ゴムがどのぐらいの地震に耐えられるかを数値として表したのが「耐震度」です。例えば「耐震度6」の耐震ゴムは、最大で震度6までの地震に耐えられることを意味しています。

家具の転倒は、震度だけでなく、家具を配置している場所や耐震ゴムの大きさ・素材なども影響するため、過信はできません。しかし、耐震度が明記されていることで、どの程度の地震に耐えられるかの目安は把握できます。


耐震ゴムの種類

耐震ゴムの大きさや色などにはさまざまな種類があり、転倒を防ぎたい家具のサイズや設置場所に応じて選ぶことができます。例えば、大きめの耐震ゴムはテレビ台やタンスなどの大型家具に、また小さいサイズであれば、花瓶などのインテリアの転倒防止に適します。

サイズのほかにも黄色、青などの色付きの耐震ゴムや透明の耐震ゴムなど、カラーバリエーションも豊富です。色付きのものは耐震ゴムを設置した場所が把握しやすいのがメリットですが、耐震ゴムが部屋のインテリアを損ねてしまうことがあります。透明の耐震ゴムは、インテリアを損ねませんが、家具の色が耐震ゴムに移る場合があります。

このように、種類の豊富さに加え、軽量でありながら滑りにくさや弾性などの優れた実用性を備えているのは、まさにゴムならではの特徴と言えます。


耐震ゴムと免震ゴム、防振ゴムとの違い


耐震ゴムと同じく、ゴムを原料とした地震対策のアイテムに、免震ゴムや防振ゴムがあります。免震ゴムと防振ゴムの特徴を、耐震ゴムの違いとともに解説します。


免震ゴム

地震の揺れは、建物が高くなればば高くなるほど大きく伝わります。「耐震」構造の建物の場合では、そのエネルギーの影響を直接受けるため、耐震強度を超えた場合は倒壊してしまうことがあります。これとは反対に、揺れに耐えるのではなく、建物に伝わる揺れそのものを軽くすることで、地震による被害を抑えるための技術を「免震」と言います。 免震ゴムは、文字どおり免震を目的としたゴムで、薄いゴムと鉄板(鋼板)を交互に重ねた構造になっています。建物の下に設置し、地震のエネルギーを逃すことで優れた免震効果を発揮するとともに、普段は建物をしっかりと支える役目も担っています。

免震ゴムは、オフィスビルやマンションなどの高層の建物のほか、学校や病院、官公庁などの公共施設、デパートや工場など人の多く集まる場所、美術館や歴史的建造物といった価値のある建物などに多く用いられています。


防振ゴム

防振ゴムは、地震の揺れを防ぐだけでなく、衝撃を吸収する効果を持つゴムです。重いものを直接床に置かずに防振ゴムを間に挟むことで、重みによる衝撃を吸収し、床が傷ついたり破損したりするのを防ぐことができます。

さらに、防振ゴムの防振効果は結果的に防音効果の付与にもつながります。機器の振動音は、床や壁などに伝わって大きくなりますが、防振ゴムはその振動を抑えます。そのため床や壁に振動音が伝わらなくなり、防音効果を発揮するのがその理由です。


防振ゴムには、用途に応じて以下の形状があります。

▼丸型

サイズが小さく、厚みがある円形の防振ゴムで、主に機材の接続部分に使われます。その種類には、土台に固定された機材にも使える付け替え可能な「両ボルトタイプ」、片側のみに防振ゴムがついて付け替えが簡単な「片ボルトタイプ」、防振ゴムを台座として地面に固定できる「片座金タイプ」などがあります。

▼V型

防振ゴムを、V字を逆さにしたような形状に設置したゴムです。遠心分離機、高速ディーゼル機関、空気圧縮機など、特に横方向の複雑な振動に対して強い効果を発揮します。

▼マウント型

マウント型は表面積の大きい山状の防振ゴムで、床面などに直接設置します。その上に重い機械を乗せて使用することで、振動を均等に分散するよう働きます。

▼吊り下げ型

ダクトなど、天井から吊り下げて使用する機材用の防振ゴムです。防振ゴムが片方についているシングル型、上下についているダブル型などがあり、使用する場所や機材に応じて選択できます。

▼山型

V型を組み合わせてM字の形状にした山型の防振ゴムです。横からの振動に対して強い安定性を示すのに加え、横幅サイズが小さいため、面積が限られている場所での使用にも適しています。

▼くら型

中央に空間を持つ、鞍(くら)のような形をした防振ゴムです。上下の揺れに柔軟に対応し、特に低周波の振動に対して高い効果が得られます。

▼空気バネベローズ型

エアーダンパーとも呼ばれる空気バネベローズ型は、金属板で空気バネを挟んだ防振ゴムです。空気バネ内の圧縮空気による弾力が、防振効果や緩衝効果を発揮します。

▼角型防振ゴム

角型防振ゴムは、厚みと一定の表面積を持つ防振ゴムです。洗濯機やエアコンの室外機など、ある程度の重さのある機材の下に置くことで、振動や衝撃を吸収して抑えます。


多くのビルに採用されている免震ゴム


地震に対して有効な機能を持つ耐震ゴムは、建物の柱と基礎の下に設置することで地震による被害を抑える役割を持つことから、多くの建物で使用されています。現在ではマンションや高層ビル以外に、道路橋などの土木建造物にも採用されるようになりました。阪神淡路大震災以降、免震ゴムを用いた免震構造の道路橋は、日本全国で500以上あると言われています。

いつ大きな地震が起きてもおかしくない状況である日本では、免震ゴムを用いた免震構造の建物や土木建築物の需要が、今後ますます高まっていくと予測できます。


地震対策のゴム製品は用途や対象物によって異なる

耐震ゴムや免震ゴム、防振ゴムはいずれも地震時の被害を最小限に食い止めるために用いられていますが、それぞれに目的や使用箇所などが異なります。万一、正しくない用途や設置方法で使用した場合、まったく効果を発揮しないことも充分に考えられます。

そのため、どの製品が何に対して有効なのかを充分に理解し、正しく使用することが重要であり、結果的に最良の地震対策につながります。耐震ゴム、免震ゴム、防振ゴムについて疑問や質問がある場合は、専門家に相談するのがおすすめです。