ものづくりプレス

2025-08-20

ポリテトラフルオロエチレンの特徴と用途

ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、テトラフルオロエチレン(TFE)の重合体で、化学的に耐熱性

や耐薬品性に優れているフッ素樹脂のひとつです。一般的に「テフロン」の商品名でよく知られ、調理器

具や工業製品などに幅広く利用されています。この記事ではポリテトラフルオロエチレンの特徴や用途な

どについてわかりやすく解説します。

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■ポリテトラフルオロエチレンの特徴

ポリテトラフルオロエチレンは、耐熱性や耐薬品性、低摩擦性、絶縁性などの多くの特徴があります。以

下に、主な特徴について詳しくご説明します。

◇ポリテトラフルオロエチレンの耐熱性

ポリテトラフルオロエチレンは融点が327℃で、200℃以上の高温にも耐えうる耐熱性を持っており、自動車の内部の部品や食品の製造ラインの素材として利用されています。また、耐熱性だけでなく耐寒性にも優れ、-100℃の低温環境下でも使用できます。

 

ポリテトラフルオロエチレンの温度と使いやすさの目安は、以下の通りです。



・常温~60℃ 最も使いやすい

-100℃120℃ とても使いやすい

120190℃ 問題なく普通に使える

200℃以上 やや使いにくくなる

(※最高連続使用温度は260℃)

 

低温から高温まであらゆる環境下で使いやすいフッ素樹脂とされ、さまざまな用途に利用可能です。


◇ポリテトラフルオロエチレンの耐薬品性

ポリテトラフルオロエチレンは酸やアルカリ、有機薬品などへの耐性も高く、浸食や腐食を受けにくい性

質があります。一部、高温高圧下のフッ素ガスやフッ素化合物、熔融アルカリ金属にのみわずかに浸食さ

れますが、ほぼすべての薬品に対して安定して性能を発揮します。

また、強い腐食性を有するフッ化水素酸にも溶けない性質があるため、特に半導体製造工程ではフッ化水

素酸を保管する薬液容器や半導体製造装置の配管の素材として必需品となっています。

◇ポリテトラフルオロエチレンの低摩擦性

ポリテトラフルオロエチレンは炭素分子の周囲をフッ素原子が緩やかならせんを描くような構造になって

おり、分子鎖同士が滑りやすいため、低摩擦性を示します。ポリテトラフルオロエチレンは最も摩擦係数

が小さい物質として知られ、摩擦抵抗がほぼかかりません。

 

滑りやすい性質を利用し、物品搬送の際に傷がつくのを防止したり、製造現場で円滑なラインを作ったり

するのに利用されます。

 

一方で、耐摩耗性や耐クリープ性がやや劣る性質もあります。そのため、グラファイトやグラスファイバ

ーなどの充填剤を入れることで、耐摩耗性が改善されたグレード品が多く利用されています

◇ポリテトラフルオロエチレンの絶縁性

ポリテトラフルオロエチレンは15,00020,000ボルトの高電圧下でも高い絶縁性を示す電気的特性を

持っています。ポリテトラフルオロエチレンの絶縁性は樹脂の中でも最高水準であり、その樹脂製品はさ

まざまな業界において設けられた厳しい基準の規格にも認定されています。

◇ポリテトラフルオロエチレンの非粘着性や耐候性について

ポリテトラフルオロエチレンは上記の性質のほか、非粘着性や耐候性が高いことでも知られています。非

粘着性が高いと、物質が固着しにくいため、粘性のある物質を取り扱う場面で役立ちます。また、ポリテ

トラフルオロエチレンは吸湿性・吸水性0%で耐オゾン性が高く屋外からの影響に強いなど、耐候性も非

常に優れていることから、建築物の素材としても最適です。

■ポリテトラフルオロエチレンの用途

ポリテトラフルオロエチレンは、食品や製造業・半導体・輸送業など、多くの分野で利用されています。

◇フライパンなどの調理器具や食品の包装

ポリテトラフルオロエチレンは耐熱性や低摩擦性、非粘着性が高いため、フライパンの表面のコーティン

グなど、調理器具の加工に多く使用されています。また、食品やお菓子などの袋の口を密閉するためのテ

ープにもポリテトラフルオロエチレン樹脂が使用されています。

 

耐薬品性が高く、さまざまな食品や調味料を使って調理しても影響を受けず、通常使用時の安全性も高い

ことから、食品業界のさまざまな場面で利用されています。

◇内視鏡や分析装置などの医療製品

ポリテトラフルオロエチレンの低摩擦性を活用した用途に、内視鏡に用いるチューブやカテーテル用品が

あげられます。ポリテトラフルオロエチレンは不純物が発生しにくく、弾性や非粘着性にも優れているた


め、医療現場でも安全性の高い素材として認識されています。また、その安定性の高さから、血液・生化

学分析装置などの精密機器の部品としても多く利用されています。


◇パッキンやチューブ、シートなどの工業製品

自動車や電子機器などの内部に必要なパッキンやチューブ、シートなどの各種部品の素材としても多くの

用途があります。さまざまな耐性を持ち、劣化しにくい特性を生かして、次のような製品の素材としてよ

く使われています。

 

・自動車内部のケーブル、ベアリング

・リチウムイオン電池パッキン

・光ファイバーケーブル被膜

・プリンターやコピー機の摺動部分


低温から高温まであらゆる環境下にも耐えうることから、ロケットのエンジン部品の素材としても使用さ

れています。


■ポリテトラフルオロエチレンの安全性

ポリテトラフルオロエチレンは化学的にとても安定しており、ほぼすべての物質に対して影響を受けず、

毒性もありません。しかし、連続使用温度が260℃を超えると劣化が始まり、約350℃以上になると熱分

解して、ポリマーヒュームと呼ばれる物質を発生させます。ポリマーヒュームが体内に吸引されると、肺

障害やインフルエンザのような症状にかかる「ポリマーヒューム熱」を引き起こします。

通常、フライパンなどの調理器具では油やバターが焦げ始めるのが約200℃、肉料理や揚げ物でも最高温

度は200230℃程度であり、ポリマーヒュームが発生することはまずありません。

 

しかし、フライパンを火にかけたまま空焚きしてしまった場合、350℃以上に達し、ポリマーヒュームを

発生する恐れがあります。過去には、フライパンを火にかけたまま放置して、2時間にポリマーヒューム

熱を発生した患者の事例も報告されています。

 

また、インコや文鳥などの鳥類はポリマーヒュームを吸引して症状を引き起こしやすいため、注意が必要

とされています。

 

通常の環境下では安全性が高く、調理器具のコーティングとしても便利なポリテトラフルオロエチレンで

すが、使い方を誤ると健康を害する恐れもあるため、製品化の際には消費者に正しい使用方法を伝達する

ことが必要です。

■ポリテトラフルオロエチレンは安定性・特性が高く幅広い用途が可能なフッ素樹脂

ポリテトラフルオロエチレンはフッ素樹脂の中でも高い安定性と特性を併せ持ち、私たちの日常生活の中

にも多く利用されています。耐熱性や耐薬品性などの特性を生かすことで、日用品から工業用品に至るま

で、さまざまな応用が可能です。ポリテトラフルオロエチレン樹脂の製品化の際には、目的や形状に合っ

た成形や加工方法を検討し、効率的な生産工程を確立することがポイントです。