ものづくりプレス

2025-08-10

シリコーンゴムの特性と種類

日常生活だけでなく、あらゆる分野でさまざまな用途に使用されているシリコーンゴム製品。ゴムというだけあって、耐久性や安全性といった性能面で不安を抱くかもしれませんが、実は一般の有機系ゴムにはない優れた特性を多く持つ、高品質で高機能な素材なのです。


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■シリコーンゴムとはどんなゴム?

シリコーンゴムの原料はケイ素です。ケイ素はシリコンとも呼ばれ、酸素の次に多く自然界に存在している元素です。岩石や土だけでなく、植物や人間を含む動物の内部にも取り込まれ、骨や殻などを構成する材料としても使われています。このケイ素を主成分とした合成樹脂がケイ素樹脂、すなわちシリコーン樹脂であり、この樹脂からつくられたのがシリコーンゴムです。  


「シリコン」と「シリコーン」は名前が似ているため混同されがちですが、シリコンは元素、シリコーンはシリコンを元につくられた人工化合物を指します。

◇一般的な性質

シリコーンゴムの原料となるシリコーンは、一般に次のような性質を持っています。

 

▼結合エネルギーが大きい

シリコーンの主骨格であるシロキサン結合は、ケイ素と酸素が交互につながった構造を持っています。中でも結合エネルギーは、有機化合物でもっとも強固とされる炭素‐炭素結合[A1] よりも大きく、安定しているのが特長で、これがシリコーンならではの特性を生み出しています。  


▼分子間力が小さい

分子同士の間に働く引き合う力のことを分子間力と言います。シロキサン結合は分子間力が小さいため、液体の状態では表面張力が起こりにくく、また分子間力に比例する粘性変化も小さくなります。一方、固体の場合では表面に付着した液体を引き寄せる力が弱いことで撥水が起こり、気体の分子が通りやすいことからガス透過性が高くなるという性質があります。

◇シリコーンゴムの特性

シリコーンゴムの一般的な特性は以下のとおりです。添加剤を加えることで長所を強化し、短所を改善した製品も数多く開発されています。


項目

特性

耐熱性、耐寒性

-60~150度程度まで、幅広い温度に対応。

耐候性

紫外線、雨や風などに長時間されされることによる物性の変化は


ほとんどなし。また強力な酸化作用を持つオゾンによる劣化にも


強い耐性を示す。

耐水性、耐水蒸気性

撥水性が高いため、水分はほとんど吸収しないが、


130度以上の高い加圧スチームの場合では、ゴム物性が低下。

耐油性、耐溶剤性、耐薬品性

いずれも良好で、特に耐油性は100度以上の高温で優れている。


強酸や強アルカリの薬品に対しては劣化しやすい。

電気絶縁性

有機ゴムとほぼ同等だが、幅広い温度と周波数領域に対応し、特


性も安定。また水に浸した場合の性能低下はほとんどなし。

熱伝導性

一般的な有機ゴムの約2倍で、熱伝導性に優れる。

難燃性

可燃性だが、着火しにくいとされている。しかし着火後は燃焼し


続ける。

導電性

電気絶縁性であるため、カーボンブラックなどの導電性素材を加


えたシリコーンゴム以外は導電性なし。

圧縮永久ひずみ性

温度変化により歪みが生じる一般的な有機性ゴムと異なり、広い


温度にわたって安定。

耐屈曲比例性

特別な素材を配合しない場合では、一般の有機性ゴムとほぼ同等。

引裂強度、引張強度

一般に、いずれも比較的弱いとされている。特に常温での引裂強


度は低い。

気体透過性

天然ゴムの約30~40倍と、非常に優れている。また有機ゴムの


気体透過性と比較して、窒素約1/2、炭酸ガス約5倍、水蒸気約60倍など、選択的透過性を持つ。

透明性、着色性

いずれも良好。

耐放射線性

特に優れているわけではないが、フェニル基を導入することで向


上。

防振性

通常の状態では防振ゴムとしての使用には不向き。

離型性、腐食性、無毒性

科学的に不活性であり、いずれも良好。



▼硬度

ゴムの硬度は0~100までの数値で表します。一般的なシリコーンゴムの硬度は30~70度程度と言われており、目安として30度は消しゴム、70度はタイヤに相当します。加硫剤の配合を調節することで、硬度を自由に変えることができます。  


▼シリコーンゴム成形加工時の注意点、特徴

シリコーンゴムは、一般的に使用されているプラスチック成型加工法が利用できます。しかし配合する材料により物性が変化するため、注意が必要となる場合があります。  


▽押出成形

■湿式法シリカを補強充填剤として使用している場合

常圧熱風加硫により発泡することがあります。

■増量充填剤が多い場合

表面性が悪くなります。

■低硬度シリコーンを使用する場合

粘着性が大きいため、不適です。

■その他

グリーンストレングス(未加硫ゴムの引張応力)が低く、押出後に変形しやすくなります。

▽射出成形

■シリンダー温度

通常、成形の際のシリンダー温度は常温ですが、加硫剤により80~90度でも問題ありません。

■射出時間

5~10秒が一般的だとされていますが、製品の体積により大きく変動します。

■射出圧

一般に、35~140㎏/㎠程度が適当とされています。

▽圧縮成形

・液状シリコーンゴムを使用した場合、バリレス成形が可能です。

・成形圧力は15kg/㎠程度(条件により異なる)で充分だとされています。

・肉厚成形品や布入り成形品の場合、型の冷却後に取り出すと剥離・変形などの防止効果があるとされています。   


なお、シリコーンゴム成形後の二次加硫処理は圧縮永久ひずみに大きな影響を与えることがあるため、充分に二次加硫を行なうのが有効だとされています。

■シリコーンゴムの種類

シリコーンゴムの多様化により、近年ではポリマーの重合度や粘度で種類分けするのが主流です。そのため多くの場合では、「ミラブルシリコーンゴム」と「液状シリコーンゴム」に分けられています。


◇ミラブルシリコーンゴム(高温加硫型(HTV)/固形タイプ)

一般にシリコーンゴムと呼ばれているのがこのタイプです。高分子量の生ゴムを主成分とし、加硫剤(各種過酸化物)シリカ系補強性充填剤、各種添加剤(耐熱性向上剤、内部離型剤、顔料など)を配合し、100~150度の温度で加圧して加硫して生成します。加熱硬化性のため、一般の有機ゴムと同じように扱えるのが特徴です。  


ミラブルシリコーンゴムは、配合するコンパウンド(複合物、化合物)により以下のような種類があり、また特性もそれぞれに異なります。


種類

特徴

高引裂シリコーンゴム


高耐久疲労性シリコーンゴム

架橋点を改良することで、シリコーンゴムの弱点である


引裂強度を強化。また高耐久性は、一般のシリコーンゴ


ムの数十倍から数百倍の破断寿命を持つ。

超耐熱性シリコーンゴム


密封耐熱性シリコーンゴム

ポリマー、充填剤、耐熱安定剤などを添加することで改


善。超耐熱性ゴムは300~350度でも使用可能。また密


封耐熱性ゴムは、高熱密封下で寿命短縮現象を引き起こ


す酸を中和することで強度を高めている。

耐寒用シリコーンゴム

耐寒性に非常に優れたフェニルシロキサンを添加し、-


90度の環境下でも使用可能。ただし圧縮永久ひずみ、反


発弾性、耐油性などに劣る。

二次加硫不要シリコーンゴム

シリコーンゴムの特性を充分に発揮させるための二次加


硫が不要でありながら、性能は同様。ただしアルキルタ


イプの加硫剤を使用するため、押出成形には不向き。

耐油用・耐溶剤用シリコーンゴ



オイルシール用シリコーンゴム


フルオロ系シリコーンゴム

架橋密度を高め、充填剤の増量により耐油性をさらに向


上。またフルオロ系は無極性溶剤に対して、優れた耐性


を持つのが特長。

難燃性シリコーンゴム


自己消火性シリコーンゴム

生ゴムとフェニルシリコーン、ビニルシリコーン生ゴム


と白金化合物、または不燃ガス発生化合物の添加などの


組み合わせにより、難燃加工したゴム。主な用途は、絶


縁目的でシリコーンゴムを使用する電気・電子機器、電線など。

導電性シリコーンゴム

絶縁物のシリコーンにカーボン粉末、アルミニウムや銅


の微粉末、グラファイトなどを添加し、半導電性を持た


せたもの。耐熱・耐寒性、低圧縮ひずみ特性など、シリ


コーンの特性はそのまま。

自己接着テープ用シリコーンゴム  

    少少量のホウ素の化合物を添加したシリコーンゴム同士を接


    触触させておくと、接着するという特性を利用したゴム。モ


    モーターコアなどの絶縁テープなどに使用される。

スポンジ用シリコーンゴム


発泡シリコンゴム

ニトロソ化合物、アゾジアゾ化合物、スルフォン酸ヒドラジッ


ド化合物などの有機発泡剤を添加して生成。シリコーンゴム特


性を保有した軽量な多孔性スポンジゴム。パッキン、緩衝材、


ホースなどに使用。

ディスパージョンコーティング


用シリコーンゴム

シリコーンゴムをアセトン、キシレン、トルエンなどの溶剤に


溶かして生成。主にガラス布、スリーブなどに塗布し、電気絶


縁用材料として使用。

一般成形用シリコーンゴム

シリコーンゴムコンパウンドのほとんどが属する。これといっ


た大きな特性がない分、幅広い用途での利用が可能。

医療、食品用シリコーンゴム

特に不純物が少なく、充填剤や添加剤に安全性の高いものを使


用したシリコーンゴム。

押出用シリコーンゴム

煙霧法シリカを比較的多量に使用し、増量充填剤を減らした、


押出成形加工に適したシリコーンゴム。

熱収縮チューブ


収縮性シリコーンゴム

加熱により収縮する特性を持つ。主に電線の保護、絶縁、防


水、摩耗防止、腐食防止などの用途に使用される。


◇液状シリコーンゴム(室温硬化型・常温加硫型(RTV)/液状タイプ)

常温下で硬化するタイプです。硬化の方法により「1液型(性)」と「2液型(性)」に分けられ、さらに硬化する反応によって「縮合反応(常温硬化)タイプ」と「付加反応(加熱硬化)タイプ」に分類できます。  


それぞれの違いを、以下で詳しく解説していきます。   


▼1液型(性)RTVゴム

チューブや容器から押し出すと、空気中の水分と反応して常温で硬化し、ゴム弾性体になります。耐水性、絶縁性、耐熱性などの特性は変化なく、またほとんどの物質と良好な接着性を持つことから、接着剤やシール材、コーティング材などに使用されます。  


▼2液型(性)RTVゴム

主剤と硬化剤の2成分に分かれており、混合して使用します。1液型と異なり、一般には接着性がない反面、異素材に対して優れた離型性を発揮します。   2液型はさらに細かく分けることができます。  


▽電気・電子用RTVゴム

2液型の基本的な性質は1液型と同様で、電気特性、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性、耐候性などに優れています。硬化剤の種類や配合量、加熱などにより硬化時間の調整が可能であるほか、ゴムの厚みに関係なく、表面や内部の硬化反応の進行が一様であるなどの特徴を持っています。この性質を利用し、電気・電子分野の用途に使用されています。

▽型取り用RTVゴム

離型性に優れるという性質を利用した、複製の母型作製用のゴムです。流動性に優れているため、微細な形状でも忠実に再現できるのが特長です。 さらに2剤を合わるだけですぐ使用できるため、作業時間の短縮や硬化時間の調節に貢献するほか、離型性に優れていることから、離型剤が不要です。

◇液状シリコーンゴム(室温硬化型・常温加硫型(RTV)/液状タイプ)

常温下で硬化するタイプです。硬化の方法により「1液型(性)」と「2液型(性)」に分けられ、さらに硬化する反応によって「縮合反応(常温硬化)タイプ」と「付加反応(加熱硬化)タイプ」に分類できます。


それぞれの違いを、以下で詳しく解説していきます。  


▼1液型(性)RTVゴム

チューブや容器から押し出すと、空気中の水分と反応して常温で硬化し、ゴム弾性体になります。耐水性、絶縁性、耐熱性などの特性は変化なく、またほとんどの物質と良好な接着性を持つことから、接着剤やシール材、コーティング材などに使用されます。  


▼2液型(性)RTVゴム 主剤と硬化剤の2成分に分かれており、混合して使用します。1液型と異なり、一般には接着性がない反面、異素材に対して優れた離型性を発揮します。  


2液型はさらに細かく分けることができます。  


▽電気・電子用RTVゴム

2液型の基本的な性質は1液型と同様で、電気特性、耐熱性、耐寒性、耐衝撃性、耐候性などに優れています。硬化剤の種類や配合量、加熱などにより硬化時間の調整が可能であるほか、ゴムの厚みに関係なく、表面や内部の硬化反応の進行が一様であるなどの特徴を持っています。この性質を利用し、電気・電子分野の用途に使用されています。

▽型取り用RTVゴム

離型性に優れるという性質を利用した、複製の母型作製用のゴムです。流動性に優れているため、微細な形状でも忠実に再現できるのが特長です。

さらに2剤を合わるだけですぐ使用できるため、作業時間の短縮や硬化時間の調節に貢献するほか、離型性に優れていることから、離型剤が不要です。


◇タイプによる液状シリコーンゴムの分類と特徴

一般に液状シリコーンゴムは、反応や硬化のタイプによって、次のように分類できます。  


▼反応タイプによる分類

▽縮合反応型液状シリコーンゴム

空気中の湿気と反応して硬化するタイプです。硬化時にアセトンやアルコール、オキシムなどの縮合生成物を発生します。1液型と2液型があります。

▽付加反応型液状シリコーンゴム

加熱により硬化速度が上がり、短時間で硬化反応が進むタイプです。硬化収縮はほとんどありませんが、硬化阻害を受ける場合があります。 


▼硬化タイプによる分類

▽常温硬化タイプ液状シリコーンゴム

加熱が不要で、室温で硬化するタイプです。縮合反応型液状シリコーンゴムはこのタイプに属します。

▽加熱硬化タイプ液状シリコーンゴム

加熱することで硬化反応を進めるタイプです。付加反応型シリコーンゴムはこのタイプに属します。  


なお、2液付加反応型シリコーンゴムの中には、常温硬化と加熱硬化のいずれでも硬化するタイプもあります。  


各分類による特徴は、以下の表を御覧ください。





1液型

2液型

常温硬化タイプ

縮合反応タイプ

加熱硬化タイプ

付加反応タイプ

常温硬化タイプ

縮合反応タイプ

加熱硬化タイプ

付加反応タイプ

成分の混合

不要

不要

必要

必要

脱泡

不要

不要

必要

必要

深部硬化

劣る

優れる

優れる

優れる

硬化速度調整

不可

不可

短時間硬化

不可

加熱により可

不可

加熱により可

保存性

密栓常温保存

要冷蔵

常温保存

常温保存


■シリコーンゴムの用途

シリコーンゴムは、有機ゴムにはない特性を持っています。その優れた機能を生かし、多方面で活用されています。  

◇家電関連

冷蔵庫の霜取り(デフロスター)、洗濯機・炊飯器・電子レンジなどのパッキン、部品やコードの接着・保護・コーティングなど


◇工業関連

ホース・チューブ、ワイヤー、ヒーター線、配線材、保護材、工業用接着剤、シーリングなど

◇OA機器関連

電卓・キーボードなどのキーパッド、コピー機・プリンター・FAXなどのロール、部品やコードの接着・保護・コーティングなど


◇食品関連

食器、調理器具、容器のパッキン、哺乳瓶の乳首、ミルカーなど


◇自動車関連

ラジエーター・インタークーラー用ホース、ターボチャージャー、各種保護チューブ、接着剤・コート剤、防振材料など


◇医療関連

注射器シール、バルブ、カテーテル、歯科印象材など