ものづくりプレス

2025-07-15

ゴムの着色│方法と着色剤

「ゴムへ着色する際の色の安定性」は、ゴム製造の問題点としてよく取り上げられる話題です。ゴムの着色には確かな経験や経験が不可欠です。  


もし弾性や耐性に優れたゴム製品であっても、色味が安定しなければ製品を購入する消費者の不満足や、製造担当者の余計なコスト増につながります。  


当記事ではゴムの着色方法や着色剤の概要について解説します。 

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■ゴムの着色方法


ゴムに色をつけるには、ゴムの混練時に着色剤を混ぜる方法と、ゴム硬化が終わった後に着色する方法の2つあります。以下では「混練時に着色する方法」と「硬化後に着色する方法」をそれぞれ解説します。


◇混練時に着色する方法


ゴム製造における混練とは、「ゴム製品の元となるゴム原料」と「加硫の促進や老化防止などさまざまな特性を付与する配合剤」を混ぜ合わせる工程のことです。この混練時に着色剤を一緒に練り込むことで、ゴムに色をつけます。  


まずゴム原料のみを練り込む素練りを行います。その後、配合剤を投入して引き続き練り、一通り練り終わった後にゴム用の着色剤を加えます。  


混練時の着色は、外からスプレーや絵の具などでコーティングのように色を付ける方法と根本的に異なる方法です。水分や油分などで着色が剥がれないのが大きなメリットです。  


また伸ばしたり平たくしたりなどゴムの形状を変化させても、色には一切影響が出ないのも特徴です。このように、混練時に着色する方法は外観の安定性に優れます。  


混練時に使用するものには、顔料(水や油にまったく溶けない色がついた粉末)や染料(水や油に溶ける)があります。   当記事では、この混練時にゴムを着色する方法についてくわしく解説します。

◇硬化後に着色する方法


硬化後にゴムの着色を行う際は、塗装やコーティングのような方法が取られます。  


とはいえ実際のところ、硬化後のゴムに塗装・コーディングを行うのは困難とされるのが通説です。理由は次のとおりです。  


・ゴムの形状変化(伸縮や曲げなど)に追従できずにポロポロ剥がれたりひび割れたりする

・ゴムに含まれた配合剤と反応してブリード(ゴム内の成分がにじみ出ること)が発生する

・ゴム成型時のシリコンの付着による密着不良が起こる

・気候や温度によって剥がれや変色が起こる可能性がある

・製品1つひとつに着色の為の塗装冶具の製作や塗装作業が発生するため工数がかかる

など  


2021年現在では、硬化後の着色に対応できる着色剤も登場しています。とはいえゴムの着色に関しては、混練時に着色する方法がおすすめです。

■色の再現率


ゴム製品にどんな色を求めるかは、クライアントや個人が持つ要望によってさまざまです。  


しかし実際のところ、細かい色味がどうなるかは、ゴムを製造する会社が使う着色剤の種類や製造工程によって変わります。そのためゴムについて、厳密に「〇〇色を再現してほしい」というオーダーを実現させるのは困難です。  


実際にメーカーも「オーダー通りの色を出すのは難しい」「基本は自社の色合いに準拠してほしい」と、事前に注意書きをしているケースも珍しくありません。  


またゴムに関しては、そもそも同じ色を出したり鮮やかな色に仕上げたりが難しいと言われています。同じ工場の製造ロット間でも、若干違ってくる可能性すらあります。  


理由は次のとおりです。

 

・製造工程中の熱やせん断力によって着色剤が変色するから

・着色剤によって分散性(粒度系、粒子の大きさ、比重など)が異なるから

・ 製造工程において着色剤の粒子を砕ききれず再凝集(粒子が集まる現象)が起こり、成分が安定して分散しないから

・混合時間が長いと再凝集によって分散不良を起こすから

など  


上記の問題を解決するために、ゴムの着色剤には「耐熱性」「耐候性」「油抽出性」「成形性や機械的強度への無影響」などの性能が求められます。また当然ながら、無毒・無公害性も必要です。  


なお現在ではゴム製造現場のおいての着色問題を解決するために、着色剤の粒子をうまく分散させる分散加工・二次加工の技術も進歩しつつあります。

◇ゴム用着色剤における種類


ゴム用着色剤における種類には、主に次のものが挙げられます。  


無機顔料

有機顔料

油溶染料


ゴム着色においては顔料がよく使われる傾向が見られます。順番にみていきましょう。  


▼無機顔料

無機顔料とは、自然界にある天然鉱石や金属などの化学反応によって得られる、無機化合物から作られる顔料です。  


色調の鮮明さや着色力は有機顔料より劣るものの、耐候性や耐熱性に優れています。白・黒・茶などの色をつけたいときは、無機顔料が使われる傾向にあります。  


ゴム・プラスチック着色用の無機顔料の例は次のとおりです。

カドミウムレッド

モリブデートオレンジ

カドミウムイエロー

チタンイエロー

コバルトブルー

酸化チタン

カーボンブラック など  


▼有機顔料

有機顔料とは、石油などから合成して作られる顔料のことです。無機顔料より色彩種類や色の鮮明さ、着色力に優れます。ただし各種耐性は無機顔料より劣る傾向が見られます。  


ゴム・プラスチック着色用の有機顔料としては以下のものが挙げられます。  


キナクリドンレッド

ジスアゾオレンジ

ジスアゾエロー

フタロシアニングリーン

インダンスレンブルー

ジオキサジン

総合系アゾブラウン

など  


▼油溶染料  

油溶染料(ゆようせんりょう)とは、水に溶けないまたはほぼ溶けない代わりに、鉱油や油脂、ガソリンなどに溶ける染料です。ゴム製品以外にも、印刷物やボールペンのインク、石鹸、化粧品などの着色にも用いられます。  


◇ゴム用着色剤における形状の種類


ゴム用着色剤には、「ペースト状」「マスター・バッチ」「粉末状」という3形状が存在します。  


▼ペースト状

ゴム用着色剤には、顔料とゴム用軟化剤・可塑剤などと混ぜ合わせ、ペースト状にしたタイプがあります。粉末状の顔料と比較すると、分散性に優れている傾向があります。  


▼マスター・バッチ

マスター・バッチとは、高濃度の顔料を細かい角状ゴムの中に分散させた、ペレット(粒子)状の着色剤です。ナチュラルペレット(無色のゴム原料)と混ぜ合わせる割合を変えることで色合いを調整します。  


非常に優れた分散性が特徴です。またコストパフォーマンスにも優れています。  


▼粉末状

着色剤を粉末状にしたタイプもあります。ドライカラーとも呼ばれます。  


他の着色剤と比べると非常に安価です。ただし粉末の飛び散りによって製造機械や機器周辺に残留したり、分散不良で色むらが出やすかったりのデメリットがあります。 


◇シリコンゴムの着色

着色するゴム原料のうち、微細なシリカを配合したシリコンゴムは、その透明性と着色性から、着色剤による色付けが簡単にできる特徴を持っています。  


完成品の色も鮮やかに仕上がるうえ、他の合成ゴムでは難しい蛍光色やパステルカラーとするのも可能です。  


しかし優れた着色性がある反面、着色剤の量のコントロールが困難です。少量でも大きな色の変化が発生します。その日の温度・湿度・使用材料のロットによっても変化する可能性があります。  


そのため、シリコンゴム着色に関する経験や技術を持ったメーカーでなければ、取り扱いが難しいです。  


色のついたシリコンゴム製品として、食品用ホースや生活用雑貨などが挙げられます。

■ゴムの着色には経験と知識が必要


ゴム製品を着色する方法には、ゴム原料の混練時に投入する方法と、硬化した完成品に塗装・コーディングを施す方法があります。しかし硬化後の着色は、色剥がれや形状変化への対応の面から困難です。混練時に着色剤を投入する方法が一般的になっています。  


ゴムの着色剤として代表的なものは顔料や染料です。形状にはペースト状、マスター・バッチ、粉末状などがあり、それぞれ違った特徴があります。ゴム原料や製品形状、顧客からの要望に応じた適切な着色剤を選択しましょう。

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