ものづくりプレス

2025-06-20

ガスケットの種類と用途

ゴムはシール材の原料としても多く使われています。気密性や密閉性のためのシール材がガスケットです。ガスケットにはいろいろな種類があり、用途に応じて適切なものを選ぶのが重要です。この記事では、ガスケットの概要に加えてガスケットの種類、ガスケットに関するよくある質問を解説します。これからガスケットの製造や製品選びを検討している人は、ぜひ参考にしてください。


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気密性、液密性維持に重要なシール材「ガスケット」

ガスケットは、シール材のひとつです。気密性および液密性を維持するための固定用のシール材として用いられています。内部にある気体または液体が外部に漏れないように、または外部から気体や液体が内部に侵入しないようにガスケットを使用します。  


たとえば水道やガスなどの配管の継ぎ目、マンホールやバルブなどの圧縮容器の隙間に使用されているゴムのシール材がガスケットです。固定用のため、ガスケットはバルブやナットなどで固定されています。

■ガスケットの種類と用途


ガスケットは用途や形状に応じてさまざまな種類があります。代表的なガスケットの種類ごとの特徴や、用途について解説します。


◇ジョイントシートガスケット


ジョイントシートガスケットは、繊維、充填材、ゴムといった材料を混ぜて作られた板状のガスケットです。シートという名の通り、シート状になっていて、あとから円状やフランジ形状に打ち抜き、成形したうえで使用されます。


◇ゴムシートガスケット


材料のゴムシートを打ち抜いて作られるのが、ゴムシートガスケットです。おもに以下のゴムが用いられています。

・天然ゴム

・ニトリルゴム(NBR)

・ブチルゴム

・シリコンゴム

・フッ素ゴム

 など  


ジョイントシートガスケットと同じく、必要な形状に打ち抜いて使用します。

◇ヘルールガスケット(サニタリーガスケット)


ヘルールガスケットは、ヘルール継手(サニタリー継手)専用のガスケットです。継手とは一般的に接続するための部品を指します。  


ヘルールとは、継ぎ目に溝のある管です。溝の部分にヘルールガスケットを入れて継ぎ目にし、クランプバンドと呼ばれる固定具で固定します。構造がシンプルで扱いやすく、取り付けの工具も必要が無く洗浄もできるため、医薬品や食品関係など衛生面で配慮の必要な分野で多く用いられています。

ヘルールガスケットは、ヘルールの溝に合わせて作られた溝埋めが両側の接地面にある、リング状のガスケットです。

◇うず巻形ガスケット(セミメタリックガスケット)


V字形をした金属の輪とクッション材であるフィラーをミルフィールのように重ね、うず巻き状に巻き込んで作られたガスケットです。金属製のため、ゴムや樹脂製のガスケットよりも高温・高圧な状況でもシール能力を発揮します。反対に、非常に低い温度の環境でも機能が落ちません。

一方、金属製であるため強く締め付ける必要があります。  


石油精製、石油化学、発電所、LNG基地の配管のシール材として使用されています。 巻き付け方によって、基本形、内輪付き、外輪付き、内外輪付きの4種類があります。

◇メタルジャケット形ガスケット


耐熱性のある芯材を金属で覆って作られたガスケットです。うず巻形ガスケットと同じく高温・高圧な環境で使用できますが、固定のために強い締め付けが必要になります。

◇メタルジョイント


メタルジョイントとは、金属のみを材料に加工したガスケットです。リング状に切断、成形して作られます。また、金属から作られるガスケットをメタル系ガスケットと呼び、軟鋼、純鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタン、特殊合金など用途に応じて使用する金属を選べます。

◇液状ガスケット


フランジの内側やネジ部分に液体を塗ったガスケットです。塗布してから一定時間が経過すると液体が固形化するため、接着剤を塗るように接合部分の隙間をぴったりと埋めることができます。主に配管の液漏れ防止に使用されています。

◇oリング


断面がドーナツの形(O形)をしたガスケットで、ホースを輪にしているようなイメージのリングです。リングに強い力をかけて挟むなどして、輪をつぶすことでシール性を発揮します。ニトリルゴムなどの合成ゴムや金属も素材として使用されます。  


また、oリングは固定用のガスケットとしても、運動部に使用するパッキンとしても使用されます。

■ガスケットの種類についてのよくある疑問



ガスケットの種類についてよく見受けられる質問をまとめました。


◇パッキンもガスケットの種類のひとつ?


パッキンとガスケット、いずれもシール材ですが使用する場所が異なります。ガスケットは、動かない場所に使用する固定用シール材です。パッキンは、動く場所に使用する運動用シール材にあたります。たとえばガスケットはガス管や水道管など、シールする場所が動かないところに使用します。パッキンは動かして使用するシリンダヘッドとシリンダの間を密封するために使用します。

◇車に使われるガスケットの種類は?


見た目では平たんに見える車の各パーツにも、ガスケットが使用されています。以下が代表的な車に使われるガスケットの種類です。

・冷却水を流すパイプ部分

・オイルを流すパイプ部分

・マフラーのジョイント部分

・インテークマニホールド(エアクリーナーからの空気を各部へ運ぶパーツ)とエグゾーストマニホールド(いろいろな場所からの排気をまとめてエグゾーストパイプへ送るパーツ)、 エンジンの間

・シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間  


使用する場所によって、いろいろな原料や形状のガスケットが使用されています。冷却水を流す用途はシリコンや柔軟性のあるゴムのガスケット、オイルを流す用途には耐油性と耐熱性の高いゴムのガスケット、マフラーのジョイント部分には熱と大きな負荷がかかるため、球体ガスケットが使われます。  


場所によっては、特殊な紙を素材にしたガスケットや、液体ガスケットを使っている場合もあります。たとえば、熱と大きな負荷のかかるマフラーのジョイント部分にはテーパー付きの金属製ガスケットの一種である、球体ガスケットが使われています。  


シリンダーヘッドとシリンダーブロックの間に挟み込まれるのは、ヘッドガスケットと呼ばれるガスケットです。車で使用されるほかのガスケットよりも大きく、複雑な形状をしています。 

■用途に応じたガスケットを選ぼう

ガスケットの種類とガスケットとパッキンの違いや車に使用されているガスケットについて解説しました。ガスケットはゴムや金属をはじめとした素材から使用されていて、用途によって適切なガスケットは異なります。適切なガスケットを選ぶことが、安定した密閉性や気密性を維持するうえで重要です。