ものづくりプレス
2025-04-20
メラミン樹脂(MF)とは?特徴と加工法、用法などを徹底解説
素材としての特徴や主な成形方法、食器利用時の安全性についてなど、メラミン樹脂
に関するありとあらゆる情報をわかりやすくまとめてお伝えします。
■メラミン樹脂(MF)とは
■メラミン樹脂の特徴
◇メラミン樹脂の長所
◇メラミン樹脂の短所
▼
■メラミン樹脂の主な成形加工方法
熱可塑性の汎用プラスチックは金型に樹脂を仕込んで冷却・固化させますが、メラミン樹
脂は熱硬化性樹脂ですので、金型に樹脂を仕込んだ後、再度熱と圧力を加える必要があり
ます。そうする事で原料のポリ
マーに架橋反応を引き起こし硬化させるのです。
そのため、メラミン樹脂の成形加工は一般的に圧縮成形・射出成形のどちらかの方法で行
います。(トランスファー成形法も可能ですがあまり使用されません。)
◇圧縮成形 (コンプレッション成形)
圧縮成形は、数あるプラスチック成形法の中で一番歴史が長く、仕組みも単純で、最も一
般的な熱硬化性樹脂の成形方法です。原料を金型(キャビティ)に仕込み、プレスして加
熱、硬化・成形します。
単純な成形法なので必要な機械や金型も比較的安価なのが特徴で、食器や化粧板などの製
造に向いています。金型に原料を充填してプレスするので、原料を無駄なく使う事が出来
るのもメリットのひとつです。
しかし、硬化に時間がかかりやすく、大量生産には向いていません。また金型の形状上、
複雑で精密さを求められる物もあまり得意ではありません。どちらかというと、厚みのあ
る大型な物の成形に適していますので、工業用部品では、電気スイッチや航空機の部品な
どの製造法として使われています。
◇射出成形 (インジェクション 成形)
熱硬化樹脂製品を大量生産する際の一般的な成形方法が射出成形です。融解させた原料を、
加熱した金型(キャビティ)に射出・固化させます。
成形スピードが速いので、大量生産が可能です。また複雑な形状の成形にも適しています。
食品容器や文房具など、あらゆる製品が射出成形方法で作られています。
成形過程でライナーやスプルーなどの廃棄部が出てしまうので、圧縮形成に比べると原料
のロスが生まれます。熱可塑性のプラスチックと異なり、再融解して再利用できないので、
廃棄部分を減らす事がSDGsの観点から今後の課題となっています。
■メラミン樹脂の用途
メラミン樹脂は、その特性を活かして成形品・塗料・接着剤など幅広い用途で使用されて
います。
▼成形品
耐久力や耐水性、安全性などを活かし、家庭用や食堂・レストランでの各種食器類、テー
ブルトップや化粧板など幅広い製品で使用されています。
また難燃性や耐熱性・耐久性を活かして、建築資材や船・航空機・自動車の内装や各種パ
ーツなど、工業用部品にも用いられています。
▼塗料
光沢があり着色が自由な事から、塗料としても重宝される素材です。また、電気特性も優
れている事から、自動車や電気機器の塗装にも使用されています。
▼接着剤
耐水性・耐候性に優れているうえ、扱いやすい熱硬化性樹脂なので、屋外や水回りで使う
耐水性合板用接着剤や木工用接着剤に使われています。
▼メラミンスポンジ
メラミン樹脂を発泡させ、スポンジ状に固めたメラミンスポンジ(メラミンフォーム)は
研磨剤の代用品として家庭で使用されています。また、防音材や吸音材として建築資材と
しても長年使用されています。
他にも紙や繊維に吹き付けて加工する事で寸法を安定させたり印刷性・耐水性を向上、ま
たシワ防止剤の役割を果たします。
■メラミン樹脂製食器は体に悪い?
メラミン樹脂製食器には有害物質が含まれているから使用を避けるべき、という噂があり
ますが、大きな誤解です。
メラミン樹脂製食器を加熱すると『メラミン』や『ホルムアルデビド』が溶け出すのでは
ないか?というイメージから体に悪いのではないかという説が生まれました。確かに『メ
ラミン』や『ホルムアルデビド』は有害物質ですが、メラミン樹脂は熱硬化樹脂なので通
常の使用で溶け出す心配はありません。
電子レンジ使用不可のメラミン食器が多い事からも、この誤解が広まっているようです。
メラミン食器が電子レンジで使えないのは、先述したようにメラミン樹脂の誘電率が高い
ので、電子レンジでマイクロウェーブを当てた時に食品より先に食器が温まってしまい、
そのまま加熱し続けると変形・破損の可能性があるからです。
◇ホルムアルデヒドに対する規制
確かにメラミン食器は、加熱すると僅かなホルムアルデヒドが溶け出します。しかし、そ
の量は食品に含まれるホルムアルデヒドよりはるかに少ないのです。
メラミン食器0〜2ppm
国が食品衛生法で定めた基準では「60℃を30分保持して4ppm以下」をクリアする事が
求められています。60℃を30分保持するというのは、日常的な利用法ではありえないの
で十二分に厳しい基準です。ですので、食器として日常的に利用する場合、熱い料理を盛
り付けたとしても全く問題ありません。
しかし、メラミン食器は熱水やスチーム耐性が弱いので、高温のお湯で洗う食洗機が苦手
です。対応不可と書いてあるものは食洗機での使用を控えましょう。
(過去には食洗機使用不可のメラミン食器を食洗機使用した場合のホルムアルデヒド溶出
量検査も行われていますが、基準の半分以下の数値で、人体に全く影響はないと証明され
ています。)
◇メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂
メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、いずれも食器に利用されている熱硬化性プ
ラスチックです。日本国内では、昭和34年に厚生労働省が食品衛生法に基づいて『フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂又はユリア樹脂を主成分とする合成樹脂製器具または容器包装』
告示第370号(平成18年告示第201号)規格基準を設定しました。
フェノール樹脂は最も古い合成樹脂で、フェノールとホルムアルデヒドを合成して作りま
す。メラミン樹脂と似た特性を持ちますが、機械的強度・耐熱性・耐酸性がメラミン樹脂
より優れています。しかし、塩基性染料と相性が悪く、自在な着色は不可能です。
ユリア樹脂は尿素とホルムアルデヒドを合成して作る熱硬化性プラスチックです。メラミ
ン樹脂に比べ安価ですが、耐熱性・耐水性で劣ります。文房具や日用品に多く使用されて
います。
■用途も様々なメラミン樹脂
熱硬化性プラスチックの中でも、長所が多く使い道が広いメラミン樹脂、光沢感や自在な
着色が出来るのも大きな魅力です。
素材の特性やメラミン樹脂の便利さ、確かな安全性を理解していただけたら幸いです。
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