ものづくりプレス

2025-03-25

ダイヤフラム(ダイアフラム)とは? 工業用ゴム製品としても需要の高い部品の用途

ダイヤフラムポンプをはじめ、計器類や自動車部品、身の回りの製品などで調整弁の役割を持つダイヤフラム。耐久性が求められることから、性能に優れた各種素材が使われていますが、その中でも代表とも言えるのがゴムです。

そのため、ダイヤフラムの製造や導入に際して、基本的な情報を得ることが大切です。


この記事では、ダイヤフラムの概要、ダイヤフラムの主な素材、用途について解説します。

ガスポンプ

■ダイヤフラム/ダイアフラムとは

ダイヤフラム/ダイアフラムは、英語では「隔膜(かくまく)」を意味し、もの同士を隔てている膜の総称です。


このダイヤフラムを使ったポンプをダイヤフラムポンプと言い、この場合のダイヤフラムは、空気圧などの伸縮運動で動く調整弁の「弁」の部分を指します。


ダイヤフラムポンプでは、ポンプ内の液を送り出すために一定容積のポンプ室内の容積を変化させますが、その際、このダイヤフラムが往復・回転運動することでポンプとしての機能を発揮します。


その動力には、空気、油、機械などがあり、それぞれ「エアー駆動ダイヤフラムポンプ」「油圧式駆動ダイヤフラムポンプ」「直動式駆動ダイヤフラムポンプ」と呼ばれています。  


次に、ダイヤフラムに使われている素材について解説します。

◇ ダイヤフラム/ダイアフラムの素材


ダイヤフラム/ダイアフラムは、ダイヤフラムポンプをはじめ、工業用機械、自動車など圧力を制御する機械の部品として使用されています。平形状のフラットタイプと転動しながら動作するローリングタイプがあります。  


ダイヤフラムの素材には、ゴムが多く使われています。その理由として、ほかの素材にはない伸縮性や気密性、汎用性などを備えていることが挙げられます。そのため、ダイヤフラムはパッキンやシール材と同じく、ゴムを使用した代表的な製品のひとつと言えます。ゴム以外では、金属や特殊な素材が使われることがあります。  


ダイヤフラムの素材として使われるゴムは、その種類によって以下のよう性質に優れています。

・耐熱性

・耐食性

・耐水性

・耐摩耗性

・耐油性

・耐薬品性

・電気特性

・非粘着性

・非汚染性

・すべり特性 など  


例えば、水を制御するなら耐食性や耐水性、油なら耐油性、というように、用途に応じて上記のような性質を持つゴムを選ぶことで、さまざまな流体に対応できるダイヤフラムを製造することが可能です。  


ゴムを使用したダイヤフラムには、主に以下のような種類があります。


▼合成ゴムダイヤフラム

バルブ、ポンプなどのシール材に主に使用します。合成ゴムの種類により特性も異なり、中には液体に応じて耐薬品性や耐圧性を高めたものもあります。


▼ふっ素ゴムダイヤフラム

耐薬品や耐溶剤性などが必要なダイヤフラムに使用されます。特に高温下での使用に優れていますが、低温環境での屈曲特性も優秀です。加硫方法により耐薬品性が異なるため、用途に応じた最適なものを選ぶ必要があります。


▼シリコンゴムダイヤフラム

200℃以上の高温にも耐え、耐熱性が求められる環境下のダイヤフラムに使用されています。耐油性、耐溶剤性、耐寒性も優れています。


▼バルフロンダイヤフラム

耐化学薬品・耐溶剤性が求められるダイヤフラムに使用されています。

■ダイヤフラム/ダイアフラムの用途

ダイヤフラム/ダイアフラムは、主に以下の用途で用いられています。


・圧力計、コンプレッサー用

・自動車部材

・水洗トイレの水流コントロール

・定量ポンプ

・バルブ用、コントロールバルブ用

・燃料ポンプ用、流量計用、ガス調整弁用 など  


ダイヤグラムの多くは工業用途ですが、一般家庭用の機器や自動車部材など、身近な場所にも幅広く採用されています。

■ダイヤフラム/ダイアフラム製造は用途に応じたゴム選びが重要

ダイヤフラム/ダイアフラムは、ポンプをはじめ、主に機械の圧力や水流を制御するための「弁」として使用され、独自の役割を担っています。

その素材にはゴムが多く選ばれていますが、その理由として、ダイヤフラムで制御する液体や気体に応じて、それに特化した性質を持つゴムを幅広い種類の中から選択できることが挙げられます。

適切なゴム素材を使用したダイヤフラムは、長期間にわたって水や薬液、ガス、油とあらゆるものの制御を可能にします。


そのため、ダイヤフラムの製造には、用途に応じたゴムを選ぶことが重要です。