ものづくりプレス
2024-03-11
PFAS(ピーファス)の特性とその有害性とは?
PFAS(ピーファス)は耐熱性や撥水性、溌油性といった多様な性能を持ちます。
そしてそれらの機能を1つで発現できるその性能から、撥水性のフライパンから衣類など身の回りの様々な製品に使用されています。
一方で、近年ではその有害性も指摘されており、使用の規制が進んでいます。
今回は、そんなPFAS(ピーファス)の特性と有害性についてご説明します。
PFAS(ピーファス)とは
PFAS(ピーファス)は、有機フッ素化合物の中でもペルフルオロアルキル化合物及びポリフ ルオロアルキル化合物の総称で、その種類は4700種類以上あると言われています。
様々な日用品に使用される一方で、一部のPFAS(ピーファス)は、自然界で分解されにくい性質から「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」と呼ばれており、人体や自然への有 害性が指摘されています。
工場からの廃水など水道水を汚染する可能性などが指摘されており、近年ではそれらのPFAS(ピーファス)の規制を行う法整備や代替品の開発を行う世界的な流れができています。
人体に有害なPFAS(ピーファス)の種類と特性
4700種類以上確認されているPFAS(ピーファス)ですが、全てが人体に有害なわけではありません。
自然界や人体への有害性が指摘されているものとしては以下の3種類があります。
ここでは、その特性と用途についてご説明いたします。
▽PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)
・特長
親水性が高い
親油性が高い
起泡性が高い
・主な用途
メッキ液のミスト防止剤
消火器の消火剤
殺虫剤
など
▽PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
・特長
水溶性が低い
耐光性が高い
耐熱性が高い
・主な用途
金属メッキ処理剤
フッ素樹脂製造
半導体用の反射防止剤
など
▽PFHxS (ペルフルオロヘキサンスルホン酸)
・特長
撥水性が高い
溌油性が高い
・主な用途
革製品
室内装飾品
コーティング
洗浄剤
研磨剤
など
PFHxSはPFOS、PFOAとよく似た性質を持ち、 それらの代替品として活用されることが多いです。
PFAS(ピーファス)の有害性
◎PFAS(ピーファス)による健康被害
PFAS(ピーファス)は自然界や体内でほぼ分解されることが無く、「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」と呼ばれます。一度体内に取り込むと長く残留することから、人体への様々な悪影響が指摘されています。
以下がその一例です。
・免疫機能の低下
・コレステロール値上昇
・腎臓がん発症
・前立腺がん
・甲状腺疾患の発症
・潰瘍性大腸炎
・胎児
・乳児の成長阻害
・抗体反応低下
◎人体に悪影響を与えるPFAS(ピーファス)の基準値
人体に影響するPFAS(ピーファス)の基準値として、具体的にどれほどの量を摂取すると人体に影響があるかということについてはまだ分かっていません。これに関して環境省は専門家を交え、暫定目標値の取扱いについての検討を進めています。
目安として、水道水に含まれるPFOS、PFOAの基準値として日本では2020年4月1日に「水道管理目標設定項目」が設定されています。
具体的には、健康への影響が見られない摂取量として「PFOS及びPFOAの量の和として 50 ng/L以下」の暫定基準値が設定されました。 これは、体重50㎏の人が1日あたり2Lの水道水を生涯摂取しても問題ないということを示しています。
◎PFAS(ピーファス)の流出経路
有害なPFAS(ピーファス)が自然界に流出する経路としては、泡消火剤を経由することに よって周辺の土壌が汚染されるというものがあります。 2023年には、米軍基地の工場でPFAS(ピーファス)を含む泡消火剤が流出したことで周辺土壌が汚染されました。
他にも、半導体の製造工場からの流出や、過去汚染されていた配管を通じた二次汚染が起こる場合もあります。
またPFAS(ピーファス)は水に溶けやすいため、土壌に浸透して地下水に到達したPFAS( ピーファス)が周辺地域に影響したり、工場からの廃水が水道水に含まれたりすることで人 体に取り込まれる可能性があります。
PFAS(ピーファス)規制の動向
PFAS(ピーファス)に関するこれまでの動向として、PFOSは2009年の残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約第4回締約国会議にて製造・使用が原則禁止されました。 また、PFOAに関しても2019年の第9回会議において廃絶が決定されています。
PFHxSについても同じく、22年に同会議で禁止物質への追加がきまりました。日本ではこれまでもPFHxSを使用した製品の製造が中止されていましたが、2024年6月 からは輸入も禁止になります。
まとめ
今回は、PFAS(ピーファス)の特性とその用途についてご説明いたしましたが、全てのPFAS(ピーファス)が有害性を持つわけではなく、現在のフッ素樹脂コーティングされたフライパンなどでは無害なPFAS(ピーファス)が使用されています。
有害なPFAS(ピーファス)に関しては、PFOSを含む消火薬剤の計画的な廃棄が消防所にて進み、着実に除去が進んでいます。
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