ものづくりプレス

2024-03-19

ゴム素材の比重とは?種類ごとの違いと主な用途をご紹介

製品開発において、材料置換するにあたって重要な判断材料となるものの1つに比重があります。

今回は、そんなゴムの比重測定の方法と種類ごとの比重の違いについてご紹介します!

水に浮かぶゴム製品

比重とは?

そもそも比重とは、ある物質の体積あたりの重量(密度)と、他の物質の同じ体積当たりの重量(密度)を比で表した値で、密度とは違った概念になります。

(密度とは、一定の体積当たりの質量のことで、単位があります)


基本的に、比重は調べたい物質と水の密度を比較することで求められます。密度の比であるため、単位がありません。

比重は、固体の物質に限らず、液体の物質でも測定することができます。

中でも、今回は固体の物質であるゴムを取り上げ、様々な種類を持つゴム素材の比重と、使用用途についてご紹介します。

比重測定方法の種類

ゴムの比重に入る前に、まず比重の測定方法をご紹介いたします。比重の測定方法には様々なものがありますが、ここでは大きく2つの比重測定方法を取り上げます。

◇水中置換法


水中置換法とは、アルキメデスの原理に基づいて、物体の密度を測定する方法です。具体的には、以下の手順で行います。

  1. 物体の質量を測定する

  2. 物体を水中に沈め、水中での質量を測定する

  3. 物体の体積を計算する

  4. 密度を計算する


アルキメデスの原理とは水中の物体は、それが押しのけている分の質量と同じだけの浮力を受けるという原理です。

この原理から空気中での物体の質量と水中でのその物体の質量の差を求め、水の密度で割ることで

求めたい物質の体積を求めることができます。


式:体積 = (空気中での質量 - 水中での質量) / 水の密度


最後に測定する物質の質量を体積で割ることで密度、比重が求まります。

精度は高いですが、粉末や液体の測定は出来畿内というデメリットがあります。



◇気体置換法

ヘリウムガスを使用する体積の測定方法で、水中置換法とは違い粉末や水が浸透する物質の体積、比重の測定をすることができます。


手順としては、まず体積のわかっている試料室と膨張室を用意します。片方に試料を投入してヘリウムガスを充填させ、膨張室に気体を排出することで圧力の変化が生じます。この圧力変化を測定することで試料の体積を求めることができます。

ゴムの比重とは

ゴムの比重は一概には言えず、以下の要素によって変化します。

1. ゴムの種類

ゴムの種類によって、比重は大きく異なります。例えば、天然ゴムの比重は約0.91~0.94g/cm3なのに対し、シリコーンゴムの比重は約0.95~0.98g/cm3です。

ゴムの種類

比重 (g/cm3)

主な用途

天然ゴム

0.91~0.94

タイヤ、輪ゴムなど

スチレンブタジエンゴム (SBR)

0.93~0.94

床タイル、履物など

ブタジエンゴム (BR)

0.91~0.94

防振ゴム、タイヤなど

イソプレンゴム(IR)

0.92~0.93

粘着着材、糸ゴムなど

クロロプレンゴム (CR)

1.15~1.25

一般工業用パッキンなど

エチレンプロピレンジエンゴム (EPDM)

0.86~0.87

窓わくゴム、電線ケーブルなど

シリコーンゴム(Si&VMQ)

0.95~0.98

パッキン、Oリングなど

フッ素ゴム (FKM)

1.80~2.10

半導体関連機器、化学プラントなど


2. 添加剤

ゴムには、成形の過程で加硫剤、補強剤、着色剤、酸化防止剤などの添加剤が必ず投入されます。
なぜなら、添加剤の投入によって加硫の促進や老化防止を行うことは、製品物質の向上を狙う上で必須の工程だからです。
このようなゴム原料とゴム配合剤の組み合わせにより、ゴム製品の特性や機能、値段が変わります。
比重に関しても同じように、配合剤の影響を受けます。


あわせて読みたい
ゴムの配合剤にはどんなものが使われる?

3. 空隙
ゴムには、製造過程で空隙が発生することがあります。空隙の量が多いほど、比重は小さくなります。

また、ゴムの加硫工程の前には発泡剤が投入されることがあります。
発泡剤はゴムを膨張させるガスを発生させるためのもので、ゴムの断熱性や柔軟性に影響を与えます。
この工程によってゴム内の空隙が増え比重の低下が起こります。
このような発砲ゴムは、その柔軟性や断熱性を活かし、家具のクッション材や緩衝材、防音材など、幅広い用途で使用されます。

まとめ

このように、一概にゴムといっても様々な種類があります。

また、それぞれの種類のゴムでも、加工法などによってその比重は様々です。ゴムを活用する際は、目的にあったゴム素材を選びましょう!


詳しくは、ゴムに詳しい富士ゴム化成までお問い合わせください。
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