ものづくりプレス

2024-04-17

防振ゴムとは?種類ごとの特長と活用事例をご紹介!

機械の不快な振動や建築物の微細な揺れ。これらは周辺機器の故障など、トラブルの元となります。しかし、「防振ゴム」を活用することでそれらのトラブルは防止することができます。


この記事では、防振ゴムの基礎知識からその活用事例までをご紹介いたします。

防振ゴム

防振ゴムとは

防振ゴムとは、機械や設備の振動を抑制し、騒音を減少させるために使用される素材です。防振ゴムは振動を吸収することで、工場の設備の寿命を延ばしたり精密な作業が要求される場面での騒音抑制をしたりと重要な役割を果たします。そのため工場内の発電機の振動抑制、室外機の騒音抑制など、幅広い用途で使用されています。


また、ゴムには一般的な材質として天然ゴムと合成ゴムの二種類があります。それぞれ異なる特性を持っているため、用途に応じて適切なものを選定することが必要です。 以下では、素材ごとの特長についてご説明します!

防振ゴムの種類と特徴

上で述べたように、ゴムは天然ゴムと合成ゴムに分けることができます。
そして、合成ゴムの中にもウレタンゴムやシリコーンゴム、ブタジエンゴムなど、様々な種類が存在しています。


以下では種類ごとの特徴をご紹介いたします。

◇天然ゴム製の防振ゴムの特徴

天然ゴムは、ゴムの木から採取される樹液を原料としたゴムです。


また、天然ゴムは低温環境下でもその柔軟性を保つことができ、寒冷地での使用においても性能の低下が少ないという特徴があります。これにより、天然ゴムは冷蔵設備や屋外の建設機械など、低温な環境で動作する機器の防振ゴムの材料として適しています。また、天然ゴムは高い弾力性を持っており、機械の動作によって生じる微細な振動も効果的に吸収することができます。


これにより、機械の寿命を延ばし、メンテナンスコストを削減することに繋がります。 さらに、天然ゴムは比較的安価で入手しやすい素材です。コストパフォーマンスの観点から、大量に必要な場合の使用に適しています。


一方で、 天然ゴムの防振ゴムは、耐熱性、耐油性、耐薬品性といった点では合成ゴムに劣ることがあります。そのため、これらの条件に合致する環境で使用する場合には、合成ゴムの方が適していることがあります。

◇合成ゴム製の防振ゴムの特徴

合成ゴムには様々な種類が存在しますが、今回はその中でも防振ゴムとしてよく使用されるウレタンゴムやシリコーンゴムについてご説明します!


⚫️ウレタンゴム
ウレタンゴムは合成ゴムの一種であり、
耐摩耗性
耐荷重能力
耐油性
において優れている特長を持ちます。


そのため、高い圧力や、強い摩擦力がかかる場面での使用に適しています。
また、ウレタンゴムにはスポンジ状のもの(ポリウレタン)、ゲル素材のもの等いくつか種類があります。
ポリウレタンは科学的に安定しているため、油に高い耐油性を持つだけでなく、紫外線に対しても強い耐久性を持ちます。


ゲル素材のウレタンゴムは非常に柔らかいため、高い衝撃吸収力を誇っています。
また、使用用途などに応じて硬度や弾性を調整できる特長もあります。


一方で、これらのウレタンゴムは常時80℃以上の環境では溶け出してしまうなど、耐熱性の観点では難点があります。
常時高温となるような環境下では、シリコーンゴムなど他の合成ゴムが適しているといえます。


⚫️シリコーンゴム

同じく合成ゴムの一種であるシリコーンゴムの特性として、非常に高い耐熱性と耐寒性が挙げられます。


短時間であれば350℃の環境にも絶えることができるシリコーンゴムは、半永久的に使用が可能な素材として知られています。そのため、加熱を行う設備で使用されることが多いです。また耐候性が高く、紫外線に晒されるなど、厳しい気象条件にさらされても劣化しにくいのが特徴です。


柔軟性も高く、複雑な動きや微妙な振動も吸収するため、様々な機械や設備での使用に適しています。

天然ゴムと比べると高価です。

防振ゴムの事例紹介

防振ゴムは衝撃吸収や振動減少に優れており、その特性に応じて産業機械や建築・建設、自動車産業に広く活用されています。以下に、防振ゴムの使用用途についてご紹介いたします。


◇工場内の機械における防振ゴムの利用

精密な作業が要求される環境下では、防振ゴムの利用は振動制御に大きく貢献します。防振ゴムが設備の振動を吸収し、精密な作業を可能にするため、幅広い機械に組み込まれています。


例えば、発電機やコンプレッサーなどの振動する機械やわずかな振動でも影響が出てしまう測定機器等で使用されています。


◇建築・建設分野での防振ゴムの活用

一般的なマンション等の建築物には、各種設備が設置されています。これらが振動を発し、振動が壁を伝わることで住居環境に悪影響を与える問題があります。 こういった問題に対し、機械の下にゴムを活用した防振台を設置することで建物内での振動の伝わりを軽減する手法が取られています。

◇自動車における防振ゴムの役割

自動車は路面からの振動、エンジンの振動、タイヤの回転に伴う細かな振動、様々な振動の影響を受けます。これらは自動車における快適性を損ねるだけでなく、車両の寿命を縮めることにもつながります。


防振ゴムはこれらの振動を効果的に吸収してくれるため、エンジン回りなど、様々な部品に防振ゴムは活用されています。


まとめ

このように、防振ゴムは様々な用途で活用される部品です。ゴムには様々な性質があることから、用途に合った素材を選ぶことが非常に大切です。 防振ゴムに関するご相談は、ゴムのプロである富士ゴム化成までご気軽にご連絡ください!