ものづくりプレス

2026-09-26

樹脂のインサート成形を依頼する|相談前に整理する4つの点

金属部品と樹脂部品を接着や組み立てで一体化しているが、工程が多く、強度にも不安がある。インサート成形という方法があると聞いたが、自社の品物に向いているのか分からない。設計・生産技術の現場でよく聞かれる悩みです。

この記事では、樹脂のインサート成形を依頼する前に整理しておく4点を整理します。当社の得意な製作方法としての公開情報を土台にしています。

作成者 久保(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月26日 最終更新日 2026年9月26日 本記事は2026年9月時点の情報です 読了時間 約8分

インサート成形とは、どんな工法ですか?

金属などの部材をあらかじめ金型にセットしておき、そこに樹脂を流し込んで一体化する成形方法です。当社では、樹脂の得意な製作方法の1つとしてインサート成形を挙げています。

当社が公開している得意な製作方法(樹脂)には、

「インサート成形」が挙げられています。

後付けの組み立てと、何が違うか

金属部品と樹脂部品を別々に作り、後から接着やネジ止めで組み立てる方法もあります。インサート成形は、成形の段階で一体化するため、組み立て工程そのものを減らせる可能性があります。一方で、金型にインサート部材をセットする工程が必要になるため、品物によって向き不向きがあります。

相談前に、インサート成形が向いているかを一緒に確認する

すべての品物にインサート成形が向いているとは限りません。インサート部材の形状、樹脂との接合部の設計、数量などから、この工法が適しているかを一緒に検討します。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ(得意な製作方法:樹脂=インサート成形)(自社情報・2026年9月確認)。

相談前に、何を整理しておきますか?

インサート部材の情報、樹脂側の要求、数量、目的の4点です。この4つが分かっていれば、インサート成形が向いているかどうかの判断がしやすくなります。

整理する点 内容 無い場合の対応
インサート部材材質・形状・寸法現品があれば現品調査から
樹脂側の要求強度・耐熱性・外観使用条件から候補を提案
数量今回と将来の見込み概算でよい
目的組み立て工程削減・強度向上など困っている点を伝える

インサート部材の形状が、成形条件を左右する

インサート部材の形状によって、金型への固定方法や樹脂の流れ方が変わります。複雑な形状の場合は、成形時の位置ずれや樹脂の回り込みに配慮した設計が必要になることがあります。部材の図面か現品があれば、そこから検討を始められます。

樹脂側に求める性能を、使用条件から整理する

強度、耐熱性、外観、耐薬品性など、樹脂側に求める性能は用途によって異なります。使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)を伝えていただければ、用途に合う樹脂の候補をご提案します。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

目的によって、検討の進め方が変わりますか?

組み立て工程を減らしたいのか、強度を上げたいのか、外観を良くしたいのかによって、設計の優先順位が変わります。目的を先に整理することで、検討がスムーズに進みます。

インサート成形の相談を目的の整理から工法適性の確認まで4段階で進める流れを示す図 図1 インサート成形の相談を進める4段階 STEP 1 目的を整理 工程削減か 強度向上か STEP 2 部材情報を伝える 材質・形状 寸法 STEP 3 樹脂要求を伝える 強度・耐熱 外観など STEP 4 工法適性を確認 インサート成形 が向くか判断 目的が明確なほど、工法の適性判断が的確になります。

組み立て工程を減らしたい場合

後付けの組み立てを減らしたい場合、インサート成形で一体化できる範囲を確認します。すべての組み立てを一体成形できるとは限らないため、どの部位を優先するかを整理してください。

強度を上げたい場合

接着や圧入では十分な強度が出ない場合、インサート成形による一体化で改善できることがあります。ただし強度の要求水準によっては、樹脂の材質選定もあわせて検討が必要です。

出典:富士ゴム化成「切削加工・3Dプリント」ページ(造形前の提案)(自社情報・2026年9月確認)。

見積りは、どう進めますか?

インサート部材の情報、樹脂側の要求、数量をお伝えいただければ見積りに進めます。金型の起こし方によって金額の構成が変わるため、内訳を分けて示してもらうと比較しやすくなります。

インサート成形の相談を4点整理して依頼した場合と整理せずに依頼した場合の違いを対比した図 図2 相談前に整理して依頼した場合と、整理せずに依頼した場合 整理して依頼 整理せず依頼 工法適性の判断が早い 見積りの前提がそろう 打ち合わせが1回で済む 相見積もりも比較しやすい 確認の往復が発生 見積りの前提がぶれる 打ち合わせが複数回に 比較が難しい 4点は多くありません。1つの文書にまとめる程度で十分です。

相見積もりは、部材情報と要求をそろえて取る

当社は相見積もりを歓迎しています。インサート部材の情報と樹脂側の要求を同じ内容で各社に伝えていただくと、比較しやすい見積りが集まります。

相談時の情報が少ない場合と4点がそろった場合とで検討の速さが変わることを示す図 図3 情報の整理度で、検討の速さが変わる 目的のみ 4点がそろう 情報が詳しいほど、工法適性の判断から見積りまでが早く進む。 4点はインサート部材の情報・樹脂側の要求・数量・目的です。

外観を良くしたい場合

金属の露出を減らして樹脂で覆いたい、継ぎ目を目立たせたくないといった外観面の要望も、インサート成形の目的になります。見える面と見えない面で要求水準を分けて伝えていただくと、コストとのバランスを取りやすくなります。

相見積もりでも、部材と要求をそろえて出す

複数社に見積りを依頼する場合、インサート部材の材質・形状と樹脂側の要求を同じ内容で伝えることが比較の前提になります。前提が各社でずれると、金額だけを見ても正しい比較になりません。当社は相見積もりを歓迎しています。

自社のインサート成形の相談準備は、どこまで整理できていますか?

当てはまる項目が多いほど、相談前に整理しておくと検討がスムーズに進みます。下のチェックは診断ではなく、4点のどれが未整理かを確かめるための整理です。個人情報の入力はありません。

インサート成形相談の準備チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個相談の準備が整っています。見積り依頼に進めます。
2〜3個一部が未整理です。目的の整理から始めてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず何を減らしたい・改善したいかを言葉にすることをおすすめします。

海外拠点が関わる品物では、対応範囲を確認する

当社は中国に富積貿易(杭州)有限公司を置き、上海市および江蘇省などにローカル提携工場があります。品物によって国内で作るか海外拠点が関わるかが変わるため、対応範囲を事前にご確認ください。海外側の対応可否は品物と工場によって異なります。

樹脂のインサート成形について、よくいただくご質問は?

工法の説明、対応材質、後付けとの違い、少量対応、図面の要否についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。個別の品物については、部材の現品か図面を見たうえでお答えしています。

インサート成形とは、どんな工法ですか?
金属などの部材を金型にあらかじめセットしておき、そこに樹脂を流し込んで一体化する成形方法です。当社の得意な製作方法の1つとして対応しています。

インサート部材は、どんな材質でも対応できますか?
金属を中心に対応しています。インサート部材の材質や形状によって成形条件が変わるため、事前にご相談いただくと的確なご提案がしやすくなります。

インサート成形と、後から組み立てる方法とでは何が違いますか?
一体成形することで、組み立て工程を減らせる可能性があります。ただし品物の形状や数量によって向き不向きがあるため、個別にご相談ください。

少量でもインサート成形を依頼できますか?
多品種少量を得意としており、インサート成形のご相談も承っています。数量によって金型の考え方が変わるため、今回の数量と将来の見込みをお知らせください。

図面がなくても相談できますか?
できます。インサート部材の現品や仕様が分かるものがあれば、そこから相談を始められます。

見積りを依頼するとき、何をそろえればよいですか?

インサート部材の情報(または現品)、樹脂側の要求、数量があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

インサート成形を相談する

部材の情報や樹脂側の要求が決まっていない段階でも構いません。目的をお知らせいただければ、進め方をご提案します。

見積りを依頼する

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