ものづくりプレス

2024-05-11

フッ素樹脂とは?種類・特徴を徹底解説

フッ素樹脂(正式名称:ポリテトラフルオロエチレン)は、Poly Tetra Fluoro Etylene の頭文字をとってPTFEとも呼ばれ、フッ素を含むオレフィンを重合して得られる合成樹脂の総称です。


フッ素樹脂

■フッ素樹脂の種類


種類

名称

特徴

PTFE

ポリテトラフルオロエチレン

和称は四フッ化エチレン樹脂。

生産量、使用量がフッ素樹脂の中では1番多い。

PFA

パーフルオロアルコキシアルカン

和称は四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂。

溶接加工、成形が可能。

ETFE

エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー

溶融成形が可能で、機械的特性に優れている。

FEP

パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー

和称は四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂。

PTFEに比べると耐熱性は劣るが、溶接成形が可能で他の特性もPTFEについで優れている。

PVDF

ポリフッ化ビニリデン

和称はフッ化ビニリデン樹脂(二フッ化)。

機械的に強靭で、特に引張強度、圧縮に強く、耐候性、耐薬品性もよく、溶接成形が可能。

PCTFE

ポリクロロトリフルオロエチレン

機械的特性、光学的性質に優れ、低温の 寸法安定性、耐衝撃性に優れている。

ECTFE

エチレン-クロロトリフロオロエチレンコポリマー

和称は三フッ化塩化エチレン・エチレン共重合樹脂。

化学的特性や機械的特性に優れており、溶接成形が可能。


■フッ素樹脂の特性


特性

単位

PTFE

PFA

FEP

ETFE

PCTFE

PVDF

融点

327

310

260

270

220

151-178

密度

g/cm3

2.13-2.20

2.12-2.17

2.15-2.17

1.73-1.74

2.10-2.20

1.75-1.78

引張強さ

Mpa

20-35

25-35

20-30

38-42

31-41

30-70

伸び

%

200-400

300-350

250-330

300-400

80-250

20-370

動摩擦係数

Mpa

0.1

0.2

0.3

0.4

0.4

0.4

最高使用温度

260

260

200

150

120

150

絶縁耐力

MV/m

19

20

22

16

22

1


◇耐熱性

フッ素樹脂は、通常の使用範囲である200°C〜260°Cの温度においてもほとんど変形せず、物理的・化学的性質が保たれます。これにより、他のプラスチックが変形や劣化を始める温度帯よりも高い温度に耐えることができます。


フッ素樹脂の耐熱性の要因は、フッ素樹脂の分子構造に起因しています。
例えば、PTFEの分子構造はC-C結合のまわりをフッ素原子が隙間なく取り囲んだ構造になっています。
内部のC-C結合は、フッ素原子に覆われていることにより結合が切れにくくなっています。

◇耐薬品性

フッ素樹脂は耐薬品性に優れており、ほとんどすべての液体に溶解しない樹脂として有名です。


これは、フッ素樹脂の安定した分子構造が大きく関係しています。
フッ素樹脂は、炭素原子とフッ素原子が結合したものが直鎖状につながった分子構造をとっています。
この炭素原子とフッ素原子(C-F)の結合エネルギーは化学結合の中でもとても強く、さらに炭素原子同士の結合部(C-C結合)はフッ素原子がらせん状に隙間なく覆ってるため薬品に触れても不活性となり劣化しません。

◇耐摩耗性

フッ素樹脂はあらゆる個体の中で最小の摩擦係数です。その要因はフッ素樹脂の分子構造に起因しています。フッ素樹脂の分子構造は対称性のある直鎖型であるため、分子の表面に凹凸がありません。これによってフッ素樹脂の摩擦係数は非常に低くなっています。

◇非粘着性

フッ素樹脂は、化学的に安定しており、かつ「くっつきにくい性質」、「なじみにくい性質」という3つの性質があるため、フッ素樹脂は非粘着性という性質を持ちます。

◇絶縁性

フッ素樹脂の分子構造は、原子の配列が緻密で対照的であるため、電荷分極が極めて少ない無極性高分子です。

そのためフッ素樹脂は電気を通さない性質(絶縁性)を持ちます。

■フッ素樹脂の成形方法

成形方法 ふっ素樹脂の種類
PTFE 溶融流動性ふっ素樹脂
MP FP D PFA FEP ETFE PCTFE PVDF
圧縮成形法 粉末






熱流動



液圧成形法






ラム押出成形法






ペースト押出成形法






カレンダリング成形法






含浸コーティング法






押出成形法


射出成形法



トランスファ成形法




回転成形法



ブロー成形法




あわせて読みたい

プラスチック押出成形の特徴と用途

■フッ素樹脂の用途


使用品

用途

半導体

半導体を製造する装置の部品の中で、薬品にさらされる部分に多く使用される。

自動車

自動変速機・パワーステアリング機構の油圧シール用リング・アクセルケーブル・トレンクオープナーのケーブルとして使用される。

産業機械

摺動部品として使用される。

化学工業

ガスケット・パッキン等のシール材・配管材料・タンク・ポンプ・流量計等のライニング品で使用される。

土木・建築

橋梁、海洋構造物などの重防食工事、タンク、鉄塔など耐候性上塗り塗料や保護コーティング材として使用される。

電気・電子

各種エレクトロニクス製品の被覆ケーブルなどで使用されている。

電家

家電製品やOA機器のトナーを焼きつけるローラへの応用や、各種事務機器の摺動部品などに使用されている。

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